既にお引き渡しも済んでいる上田の蚕室造りの古民家改修工事。
なんですが、
まだ幾つか細かい残工事がありまして、
おっといけない!
追加工事で随分前にご依頼を頂いていたお座敷の障子紙の張替を、うっかり忘れていた私・・・
アタター
というのも、実は障子紙を特注で漉いてもらうところから始めていまして
発注したのが1年以上も前。。。
障子の張り替えは、お施主さんのお母様からのご依頼だったのですけど、別の用事で現場へ行った時に
「そう言えば障子紙は?」とご指摘を受け
あああーーー!!!!
わ・す・れ・て・お・り・ま・し・た・・・
紙を注文したままだ!
慌てて和紙を漉いてもらっていた立岩和紙さんにお電話したところ
ちゃーんと出来あがっていました!(あー 良かった)
という事で、先月中旬くらいに和紙を受け取りに立岩和紙の里へ行って参りました。
300年の伝統を持つ立岩和紙。
立岩和紙の伝承保存のため、昭和59年に建設され、平成6年には250名の紙すき体験ができる体験施設を建設するなど、時代に即した和紙のあり方の追及に取り組まれています。
こちらの立岩和紙の里では、手作り紙漉き体験が出来まして、とても人気なんだそうです
(写真は うちわ作り体験。 他に、はがき作りや、卒業証書づくりもあります)
こちらはうちわのお手本↓
遠目に見れば水彩画に見えるくらい!着色された和紙が巧みに漉き込んであります
(和紙を漉いた後、乾いた和紙に色を着けたものでは無いのです。)
す、凄い~!
このお手本を作った方が、
いつも障子紙を漉いてもらっている方なんですけど、
手漉き和紙職人さんだと思っておりましたら、こんなに素晴らしい絵心とテクニックをお持ちで驚きましたです!
ちょっと興奮してしまいました
今まである程度ご予算を用意できる案件では、こちらの立岩和紙の障子紙を使うようにしておりまして
まとまった量が必要な時は、特注で漉いて貰い、必要な寸法にカットしてもらっていました。
それで今回も、量はそれ程ではなかったのですが、大判サイズの障子紙が何種類か必要でしたので、久しぶりに立岩和紙さんにお願いしました。
しかも無漂白で!
何故、敢えて無漂白にしたかと言いますと、随分昔に奈良で文化財関係に納品している紙漉き屋さんのところで聞いた話なのですが、
無漂白の和紙は最初は黄ばんだ感じですが、日光によって自然と白くなっていき、その後、だんだんと黄色くなっていくから長持ちする、という事でした。
その事をお母様にご説明しましたら、手漉き和紙の耐久性の事は長年の経験で熟知されているお母様でしたので
無漂白で、という事になりました
(立岩和紙さんには、こんな面倒な注文をしておきながら、私のうっかりで1年もそのままにしておりまして、誠に申し訳ありませんでした)
長さが凡そ1間、継ぎ目なしの手漉き障子紙です。
これだけ大判の和紙が漉けるところは少ないと思われますし
かなり力のいる仕事なんだそうです。
なぜ、こんなに大判の和紙を漉いて貰ったかと言いますと
既存の巾広障子戸の寸法に合う障子紙があれば、お施主さんや私共でも貼れる、と思っての事だったのです。
こちらの10帖の奥座敷の平書院と障子戸の障子を今回張り替えます ↓
改修工事前の奥座敷の様子。
平書院の欄間の障子紙は、お施主さんのお母様(現在85歳でいらっしゃいます)がお嫁に来た時ぐらいから、そのままなんだそうです。
書院の筬欄間、組子は細くて細かく、この巾の障子紙は売っていません。
という事は、自分で貼り替えようと思えば、横桟で一度和紙を継がないといけないのですが
その横桟が細すぎて上手く継ぎ合わせるは、、、難しい!
ので、今まで貼り替える事が出来ず
(欄間がきつくて外せなかった事ももう一つ原因としてあったようですが)
しかし、こちらの家では、障子紙は内山和紙(手漉き)を使ってきたので
この欄間もこれまで破れる事なく存続できたのだと思われます。
ですが、その手漉きの内山和紙も手に入りにくくなり
また、障子紙を組子寸法に合わせて裁断してくれるところもなくなった、とお母様は困っておりまして、、、
それなら紙をサイズに合わせて漉いてもらいましょうと、ワタクシご提案しまして
紙を漉くところから始まったという訳でした^^;;
この通り、大判サイズで建具寸法に合わせて漉いて頂きましたので
自分で貼り替えようと思えば出来なくはなさそうでしたけども、
折角、ここまでわざわざ手漉きで作って頂いたのだから
張替はプロのお願いしよう!という事になりました
ハイ。
(ならば大判にしなくても良かったのか?と、後でふと思ったりもしましたが ま、結果オーライという事で!)
ちなみに
紙を漉く時期というのがありまして、年中漉ける訳ではないそうです。。
理由を聞きましてなるほど合点で、
暑い時期は、水に浸されている楮などの原料が腐りやすいから漉かないんですって!
(ですから6月~9月は漉かないそうです)
ところが、年中、紙漉きをやっているところもあるそうで、
その場合は防腐剤を混ぜているんだそうです。
(なんだか、食品添加物みたいな話になってきますが)
もし化学物質過敏症な方が、本気で化学物質を排除しようと思うと、まさか、障子紙まで?!な話になるわけで、、、
ですので最近は、アレルギーや化学物質過敏症の方が無漂白の和紙を求めに来られる事もあるそうです。
こうやって其々の事情に合わせようと思えば、市販品や量産品では対応できなくなり
そういう時こそ、手仕事が本領発揮されるところなんでしょうね。 時間は掛かりますけども!
という事で
和紙を発注してから1年越しにて、ようやくお座敷の障子紙張替を終えましたデス
大変お待たせ致しました
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