週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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十五夜の月

2011-09-13 00:03:01 | 法話のようなもの

以前、こんな問題を出されたことがありました。

「月で爆発が起きたとすると、その爆発音が地球に届くのは何時間後でしょうか?」

月と地球の距離は約38万km。
光速は毎秒約30万kmだから、爆発自体はすぐ見えるはず。

けれど、音の速さは光の速さより、ずっと遅い。
音速は毎秒約340m、時速1225km。
しかしこれは、摂氏0度で、1気圧という条件下の数字で、1度上がるごとに毎秒0.6m速くなる。

さて、答えはなんでしょう?

正解は・・・「音は聞こえない」です。

音が伝わるのは空気が振動しているからです。
月の気圧は地球の10億分の1で、ほぼ真空状態。
宇宙にも空気はないため、月の爆発音は地球に届くことはありません。

音が届くことを前提にしたかのような問いですし、音は届くという思い込みがあったのではないでしょうか。

なんとなく、人の思いも同じような気がします。

言葉にすれば、思いは伝わるという前提があり、同じ世界を見ているという思い込みはありませんか?

1つの言葉が必ずしも、同じ概念のもとで使われているというわけではありません。
それぞれの過ごしてきた時代背景や、それぞれの持つ思想によって、同じ言葉にそれぞれの持つ異なる概念や価値観がついていることもあります。
空気の摩擦によって、音が歪んでしまうかのように、伝えたい言葉や思いが、こちらの意図とは異なる意思となって届くこともこともあります。

同じ言葉で、同じ味わいを共有することの難しさ。
そして何より怖いのは、相手との間に、振動する空気がないということ。

理解し合うということが、どれだけ険しく困難なことであるのか・・・。
9月11日の次の日の月を見ながら、そんなことを考えました。

     

十五夜のお月さまです。
どうやら爆発は・・・してなさそうですね(笑)



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