最近、車を運転していると小さな猫をよく見かけます。
たぶん、春先に生まれたくらいの可愛らしい野良猫なのですが、彼らは車の前をなんとも優雅に通り過ぎます。
少しずつ動く車に驚くこともなく、自分のペースを崩すことなく歩く猫。
『ねこに未来はない』
ふと、そんな本があったことを思い出しました。
動物は今を生きる生き物。
だから猫も、過去を懐かしんだり、未来を心配したりはしない…という意味ではありません。
猫には未来を予測する能力を司る前頭葉が欠如しているのだそうです。
後先を考えることがないいう意味で、猫には未来がない。
猫はどの動物よりも、今だけを生きています。
そして、それゆえ猫は、他の動物よりも交通事故にあう確率が高いと言います。
立ち止まることもなく、振り返ることもせずに道路の向こう岸へと急ぐ猫。
彼らが立ち止まれないのなら、立ち止まり、振り返り、その意味を考えながら再び歩き出すことのできる脳の機能を司ったもののすべきことは、そう多くはありません。
それは何かと予見することが、猫が考えることのない彼らの未来を、車という凶器によって閉ざしてしまわないために一番必要なことなんだろうなと、車の運転席で猫が通過するのを待ちながら考えてました。