特に意識して購入した訳ではないんですが、ウチには平戸(三川内焼)のお皿が数枚あります
多くの品は伊万里も平戸も良く判っていない時代に購入したもので、単純に白くて綺麗とかそんな理由で購入したように思います。
そこで古伊万里再編集シリーズの番外編として、平戸のお皿だけをまとめてみました。
① 染付波兎文四寸皿
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ワタシが初めて購入した平戸の小皿で、里文出版の「伊万里百趣」に掲載されているのと同手の品です
白抜きされた中に後ろを向いた兎が描かれており。その周りは薄濃みと墨弾きによる波文が描かれています
この世界の先輩によると、中央の白抜きされた部分は「月」を表現しているのでは、ということでした。
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裏面は鍋島写し風の七宝文が二方に描かれており、薄作りの小皿ですが、恐らくは明治期の品と想像されます
➁ 染付水鳥文五寸皿
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① よりは時代が下がるとお思われる小皿で、薄濃み、墨弾きといった技法は同じで、一部には金彩が施されています
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裏面は唐草繋ぎですが、この描き方は平戸独特のものだと思われます
③ 染付沢潟に鷺文五寸半皿
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平戸の魅力である見事な薄濃みを生かしたお皿ですが、デフォルメされた絵画的な意匠も魅力的です
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/bb/d4769f270ebc1b0721c25f74b85830b0.jpg)
鍋島写しの裏文様と雑な櫛高台ですが、表の出来栄えとはギャップが大きいため、裏と表では絵付けした職人が違うのでは?
という意見を頂いた品でもあります。
④ 染付枇杷文五寸皿
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/ba/e1c9e5a504ae110a6032e1b64027c9a5.jpg)
似たようなデザインの鍋島の栗文皿がありますが。恐らくそれをモチーフにして文様を枇杷に替えた可能性もあるでしょうか
(ちなみに平戸は枇杷の産地だとか)
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この品は裏面に見所があり、高台の中で入り込んだ絵付けで法螺貝が描かれています
裏面だけならこの品が一番かも知れません。
⑤ 染付鳥兜文六寸皿
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ちょっと見ただけでは何の文様か判りませんが、中央に描かれているのは舞楽で頭に被る鳥兜だそうです
他に見たことが無い珍柄であることは間違いなさそうです
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/7f/1050fe6b59f104c5dc9b68b52816383f.jpg)
裏面はあっさりとした紅葉散らしです
ちなみにこの品はヤフオクで「藍柿」として出品されておりました。
➅ 染付桜川の図七寸皿
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ウチにある平戸の中でも白さが際立つ美しいお皿です
桜川という和風な絵柄を余白を生かしたデザインで描き、水の流は墨弾きで表現されています
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裏面は高台の周囲に墨弾きの技法で波文を描き、その周囲に千鳥を三羽絵付けしています
染付の発色、土の白さも見事な品です。
⑦ 染付牡丹文七寸皿
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七寸サイズのお皿の器面に狂おしいばかりに大きく牡丹を絵付けした品です
後期の藍鍋島にも牡丹文がありますが、あちらは余白を生かしたデザインで、この品とはデザイン傾向が違っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/43/c2a500c0ca96ca679bd3346a1667ced1.jpg)
典型的な鍋島写しであり、木盃形の器形に七宝繋ぎ、そして櫛高台という構成ですが、やはり本歌のようではありません。
今回紹介した平戸(三川内)はいずれも「幕末」として売られていたものですが
恐らくほとんどの品は明治期のものだと思われます。とは言え、同時代の伊万里よりも魅力のあう品だと個人的には思っています。