Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

自分の人生では誰もが主人公なのか?

2011-02-24 15:31:56 | 本と雑誌
声出していこう 声出していこう
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2010-08-19

声出していこう 朝倉かすみ
myuaさんのおすすめ。この人のベストセラー?「田村はまだか」もまだ読んでいなくて、初めてこの人の本を読んだのですが。
軽い。言いたいことは、軽いわけじゃないけれど、表現が軽すぎるかも。
中学生、高校生、万年浪人生、新妻、結婚できないグータラ中年、離婚歴のあるお一人様の6人の目線で語り、それぞれが微妙に重なる地域社会で生きていて、鶴巻美容室のゲイカップルなど、共通する登場人物がいて。その町で起こる通り魔事件があって。
こういう手法は今の流行なのかな。伊坂幸太郎の手法に似ている。
みんな自分が特別だと思っていて、こんなはずじゃないと思っている。くじけそうになりながらもその自意識で毎日がんばって生きている。描き方によっては痛い話を、実に軽く描いている。
面白いけれど、ちょっと物足りないかな?何が?って聞かれても困るけれど。
で、最後逮捕された通り魔犯人って誰なんだろう?


青春小説。ミステリーではない。

2011-02-24 15:18:50 | 本と雑誌
砂漠 (新潮文庫) 砂漠 (新潮文庫)
価格:¥ 780(税込)
発売日:2010-06-29

砂漠 伊坂幸太郎
砂漠、というタイトルがいまひとつ。読み込みが足りないのかな?大学生は、大学に守られていて、その外には広大な砂漠のような実社会が広がっていて…ということなんだけれども。
西嶋のキャラがいい。デスマス調で熱く語り、熱く行動する男。そのわりにずれてたりもするんだけど。
緻密に張られた伏線が最後にビシッとつながる伊坂ストーリーを期待すると期待はずれですが、これはこれで面白い。ちょっと物足りなくはあるけれど。


ダークサイドストーリー

2011-02-15 14:12:47 | 本と雑誌
白夜行 (集英社文庫) 白夜行 (集英社文庫)
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2002-05-17

白夜行 東野圭吾
この前読んだ「ゲームの名は誘拐」とは全く異なる、どっちかというと「手紙」に近い路線の小説。ミステリーというよりは、人間ドラマ。しかも、犯罪を犯さざるを得ないダークサイドの人間を描いた作品。

それにしても悪行三昧の、モラルとか品性とかが完全に欠落した男女である。ドラマでは山田孝之と綾瀬はるかが演じたらしいけれど…綾瀬はるかのイメージじゃないなあ…

とにかく長い。854ページもあって、なんで上下に分けなかったのか?重たくて仕方なかった。1/3過ぎたらだいたい犯人はわかってしまって、後は誰がどう追いつめるのか…。動機はなんなのか…。方法は…。20年に渡る物語ですから。
もちろん東野圭吾ですから、読みやすい文体でどんどん読み進められますが、内容的にはあまりの悪行三昧にうんざりしてきてしまう。
その、使命感すら感じさせる徹底的に非情で利己的な犯行の数々は、まるで社会に対する復讐をしているように思えてしまう。

好きかと聞かれたら、あんまり…「ゲームの名は誘拐」のように、読者にヒントをわざと用意してくれて謎解きの醍醐味を味わわせてくれる路線の方が好きです。
「手紙」が好きな人にはいいかも。


ゲームの勝者は…

2011-02-08 16:09:06 | 本と雑誌
ゲームの名は誘拐 (光文社文庫) ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2005-06-14

ゲームの名は誘拐 東野圭吾
ナデシコさんが読んだと言っていたので図書館で借りて読みました。
東野圭吾なので、どうどんでん返しがくるか…ということに細心の注意を払って読んでいたので、2-3カ所登場人物がある人物を呼ぶ呼称に「おや?」と思う場面があり、結果、やっぱりね…と。
これじゃ何のことやらですが、書いちゃったらネタバレですものね!
映画になっただけあって、よくできたミステリーです。人間ドラマ的には軽め。特に考えさせられることもなく、楽しく読めるエンタメです。


殺人新幹線

2011-02-04 20:39:21 | 本と雑誌
マリアビートル マリアビートル
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2010-09-23

マリアビートル 伊坂幸太郎
グラスホッパーの続き。物騒なことを請け負う業者の方々がなぜか東北新幹線に集結し、密室で高速移動していて人間模様があるという列車サスペンス。タイトルのマリアビートルはてんとう虫。てんとう虫と呼ばれる七尾という運に見放された業者が登場する。でも…主役は誰なのかな?

不気味な中学生王子様が考える人間の行動は、おそろしいけれど、伊坂幸太郎が他の作品でも繰り返し訴えていることのような気がする。
「その判断が重要で、しかも、正解がはっきりしない、答えにくいもの」の判断を迫られたとき、人は他人に同調しやすくなる、ということ。

たしかにね。今から15年くらい前に公団がスケルトンインフィルの住宅を販売して、好きにデザインしてカスタマイズすることができますよ、と売り出したところ、ほとんどの消費者がモデルルームと同じにしてくれ、と言って、全くオーダーメードの意味がなかったということを思い出した。人は自由がいい、といいながらも、自由にしていいですよ、と言われると困ってしまうものなのだと…

テレビや新聞の情報はあてにならない、という意見も、実は誰かが言ったその意見に同調しているだけかもしれない、とか…

話自体も面白いけれど、会話の中などで展開する伊坂幸太郎のその考え方が、私は好きです。