Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

平成25年度2級建築士学科試験構造速報

2013-07-08 13:43:43 | 建築士試験
7月7日の七夕は2級建築士学科試験でした。受験生のみなさま、おつかれさまでした。みなさんの願いが星に届くとよいですね。

さて、恒例の解説です。印象としては、構造はかなり難しいと感じた方が多かったようです。風圧力の問題には面食らったかもしれません。しかしながら、新出の選択肢に動揺せず、過去問をしっかりと学習し、じっくりと他の選択肢を吟味できた方は、15点は取れたのではないでしょうか?

[No.1] 2 ー 9:13
断面二次モーメントの問題。これは平成16年度の問題と同じタイプですし、重心軸なので、みなさん正答できたことでしょう。
[No.2] 4 ー 18kN・m
曲げ応力度の問題。架構の絵がないので、何の問題かな?と思われた方もいるかもしれませんが、平成16年度の問題と同じタイプです。許容応力度の問題なので変形問題となっていますが、公式さえ覚えていれば解けたはず。
[No.3] 5 ー HA=+2kN HB=0kN VB=+4kN
平成23年度から2年ぶりに3ヒンジが出ましたね。3ヒンジの4つ目のつりあい式、ΣM(ヒンジ点)右=0を覚えていた方は簡単に解けたでしょう。ヒンジ点とB支点が一直線上なので、HB=0がわかった時点で、5番の選択肢が選べてしまうので、HA、VBを求めなくてもよかったわけです。A支点もピンなので、VAがあるわけですが、それを書いていないあたりが、ひっかけですよね。しかしA支点を勝手にローラーだと思って、VAを忘れて、Bを回転中心にして解いてみても、答えがないので、おかしいな、と感じたかも。。。ここにHA=ー4kNがあったら、みんなひっかかっちゃいそうでしたが…
[No.4] 1 ー NA=+3√2kN NB=ー4kN NC=+3√2kN
トラスも、比較的簡単でした。縦型トラスが寝転がったような形ですので、縦に切断して、支点のない左側を選択して絵をかけば、斜め材NAのY成分が上向き3kNはすぐにわかり、斜めなので√2をかけてあげればよいので、NA=+3√2kNがすぐに出て、それだけで1番の選択肢が選べてしまいますね。
[No.5] 1 
たわみの問題がでましたね。平成16年と平成20年に出ているタイプの問題です。なんだか今年は平成16年度からの出題が多いですね?私の受講生さんには、手書きの表をお配りしましたが、あの、反力ー最大せんだん力ー最大曲げモーメントーたわみ角ーたわみ、が梁の長さの1乗ー1乗ー2乗ー3乗ー4乗を覚えていてね、といったのを覚えていていただければ、2倍ー2倍ー4倍-8倍ー16倍がすぐにでるので、たわみ角の4倍はおかしい、8倍のはず、というのが導き出せたのではないでしょうか。しかし、平成16年度は最大せんだん力、20年度は最大曲げモーメントが「不適当な選択肢」として選択するべき答えだったのに対して、今年はたわみ角を選ばせるというあたりが、ちょっとむつかしいといえば、むつかしかったですね。
[No.6] 3
座屈の問題です。文章題で出たのは平成16年、21年。おやおや、また平成16年ですか…曲げ剛性=EI(ヤング係数×断面二次モーメント)がわかっていれば、すぐに選べる簡単な問題でした。
[No.7] 1
荷重外力の問題。これは過去問しっかりやっていれば楽勝ですね。必要保有水平耐力の計算時は1.0。
[No.8] 2 ー 200N/㎡
風圧力の問題。こんな絵が出て来たらちょっとびっくりしますよね。初出問題です。
しかし、問題をよく読んで、A点の風圧力を求めるということを理解。
過去問でいつも出ていた、「風圧力=速度圧×風力係数」と、「風力係数=外圧係数ー内圧係数」を覚えていれば、
ー0.40ー(ー0.20)=ー0.40+0.20=ー0.20
速度圧1000N/㎡ × 係数0.20=200N/㎡
計算自体は簡単です。今年も昨年に引き続き、力学の出題が6問に減っていて、その代わりに一般構造の分野に計算要素のある問題を入れてきました。今後もこのパターンが続くのではないでしょうか?
[No.9] 1
液状化の問題。これは私が直前講習で、出るよ~出るよ~、テキストp145確認しておいて~と言っていたので、みなさん、確認していただけていたのではないでしょうか?でも、出題のパターンとしては目新しいので、面食らったかもしれませんね。
[No.10] 5 ー ×胴貫 ○胴差
木造の部材名称と説明の問題。紛らわしい名称がまた出てきましたね。近年出ていなかった部材名ですが、テキストp180の「紛らわしい部材」に掲載されています。胴差に関しては、製図試験の矩計図でも記載する主要構造材ですので、確認しておいてください。
[No.11] 4 
木造の接合の問題。2番の木材の比重というのに惑わされましたか?比重が大きい木材は強度が大きいという話を覚えていれば、惑わされなかったはず。平成19年にも出ています。3番の数字が不安になりましたか?これは平成23年度に一度出ていますね。4番の選択肢、この文章では、近年は出ていなかったので、不安だったかもしれません。しかし、釘やボルトを10本以上並べて打つ場合の木材の割れの話をした時に、繊維方向が強いので、繊維にそって割れてしまう、さけるチーズ理論をお話しました。あれを思い出してほしかったところです…
[No.12] 3
木造の構造設計の問題。これは過去問で散々やった問題なので楽勝ですね。
[No.13] 4
補強コンクリートブロックの問題。JIS改訂されたのに、まだしつこくABC言ってきますね。笑。これも直前でやったことですので楽勝ですね。
[No.14] 5
鉄筋コンクリート構造の問題。これも直前でやりました。帯筋、あばら筋は、せんだん力を負担するけれども、せんだんひび割れするのはコンクリートの問題なので、ひび割れの抑制はできないのです。せんだん力を負担して、脆性破壊しないようにすることが主目的です。また、ひび割れの伸展を食い止める役割はあります。
[No.15] 5
鉄筋コンクリートの配筋の問題。これも過去問でさんざんやっていたので、楽勝でしょう。
[No.16] 3
鉄骨構造の問題。4番の選択肢が初出なので、ちょっとびっくりしたかもしれませんが、3番が明らかにバツなことは、直前でしっかりやったはずです。鉄骨の座屈3兄弟のお話ですよね。
細長比が大きい=細長い=座屈しやすい=許容圧縮応力度は小さい。
逆に細長比が小さい=太短い=座屈しにくい=許容圧縮応力度は大きい。
[No.17] 4
鉄骨構造の接合の問題。1番の選択肢が初出なので驚きましたか?突き合わせと突き合わせ以外は、せんだん力以外は違っていて、突き合わせ以外の方が1/√3倍でした。テキストp242。4番の選択肢は法規でもよく出題される問題で、直前でも確認しましたので、大丈夫だったのではないでしょうか?
[No.18] 5
耐震設計に関する問題。昨年出題された「保有耐力接合」について、ふたたび出題されました。これは部材とジョイントの話ですよね。局部座屈防止のために検討するのは幅厚比、径厚比です。
[No.19] 3
炭素繊維巻付け補強は、靭性の足りない柱が、脆性破壊(せんだん破壊)しないようにするために行う補強で、せんだん補強です。曲げ補強ではないですね。2番の選択肢が初出だったので、そちらが気になってしまったかもしれませんが、文章をよく読めば、3番の間違いに気づけたのではないでしょうか。
[No.20] 3
木材の問題。これは過去問をやっていれば楽勝ですね。LVLは平成22年、24年に引き続いての出題。最近多いですね。
[No.21] 1
コンクリートの調合の問題。平成14年に同じタイプが出ています。そのときも同じ、水セメント比は質量というところが問われていました。今年は、4番の「表乾状態における密度」という言葉に戸惑いを感じたかもしれませんが、その前に水セメント比は質量!というのを覚えていれば大丈夫だったはず。
[No.22] 4
コンクリートの材料の問題。アルカリ骨材反応は、文字通り、アルカリ分と骨材が反応して膨張する現象です。塩化物イオンは関係ありませんね。
2番の選択肢の「プラスチック収縮ひび割れ」は初出だったので、そこで不安になったかもしれませんね。
[No.23] 2
鋼材の種類の問題。3番の「SNR400B」、5番の「BCP235」というのが、初出なので、びっくりしたかもしれません。しかし2番のSS400が「一般構造用圧延鋼材」というのがわかれば選べたのではないでしょうか。
[No.24] 2
建築材料の問題。化粧石膏ボードは、防水性がないので、浴室には不向きですね。水分を吸ってしまいます。
[No.25] 2
建築材料の問題。これは楽勝でしょう。

冒頭にも書いたように、初出問題だけで構成されるような問題はないので、混じっている既出問題をしっかり落ち着いて吟味できれば、高得点が取れたのではないでしょうか。
木造の壁率比の問題が出ると思いましたが、出ませんでしたね。ごめんなさい。
液状化と耐震診断、耐震補強といった震災関連は出ると思いましたが、やはり出ましたね。
他学科に比べても、初出の割合は少ないですね。やはり初出が10問という法規が今年の鬼門だったかもしれません。

余談ですが、今回、構造の正答、選択肢1~5まで各5個ずつという、なんともキッパリとした構成でございました。。。

構造以外の講評、採点は、総合資格学院のページをご覧ください。

2次試験は木造「レストラン併用住宅」です。木造は描く量が半端なく多く、さらにレストラン併用ということで、異用途のゾーニング、アプローチ動線、搬入経路、スタッフ動線など、屋外での計画がむつかしくなるのではないでしょうか?また、新傾向ということで、適切な室の大きさを自分で決めなければならないなど計画の知識、木造の架構など構造の知識を問われる課題ですね。がんばりましょう!

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