Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

2級建築士学科試験 構造 2017

2017-07-03 10:16:20 | 建築士試験
【2級建築士学科試験 2017】
昨日、2017年7月2日に、2級建築士学科試験が行われました。受験したみなさん、お疲れ様でした。勉強した成果を発揮できましたでしょうか?
隔年で難易度が、難→易→難→易と移り変わる傾向があり、今年は難しいのではないかとずっと言っていたのですが、蓋をあけてみたら、例年通りというか、わりと簡単な部類の試験だったようで、報告のあったみなさんの結果をみると、大変高得点の方が多かったように思います。やはり、過去問を徹底的に学習した方は高得点がとれたと思います。
ただ、N学院とS学院とTで、解答が一致していないようで、それによって点数が変わっていますので、8月の合否発表まではどうなるか、まだ分からない部分もあります。
それでも、8月の発表まで待っていたら、製図の準備が間に合いませんから、ぎりぎりで不安な方も、気持ちを切り替えて、製図の学習をしてください。

さて、学科Ⅲ 構造について、今年も振り返ってみたいと思います。
簡単な問題に関しては答えを掲載していません。

[No.1] 断面1次モーメント 
断面1次モーメントの出題は、平成26年以来3年ぶりですが、今回も同じ面積に分割できたので、それぞれの重心位置を足して2で割ればいいという簡単な問題でした。みなさんできたのではないでしょうか?直前では断面2次モーメントしか復習しませんでしたが、直近にやった模試で、断面1次が出ていたので、模試をしっかり復習した方は万全だったはず。

[No.2] 最大曲げ応力度 
等分布荷重の中央の点の最大曲げ応力度を求める問題で、非常に簡単な問題でした。ただ、反力×距離、だけで、等分布のかかっていることを忘れた場合、間違って5を選んでしまうかも。また、断面係数が割り切れないので、分数の割り算になってしまうので、計算する時に落ち着いて計算しないと、計算ミスをしてしまうかもしれません。しかしながら、基本的な問題といえます。直前講習でも復習したので、みなさんできたのではないでしょうか?

[No.3] 応力(曲げモーメントとせん断力)
斜めの荷重が出題されたのは久しぶりですが、三角比をつかってX方向、Y方向に分割できていれば、問題なく解けた問題ではないでしょうか?ただ、せん断力の、聞かれている位置がAB間だということを見逃して、荷重の左側のせん断力を求めてしまうと、間違えてしまうかも知れません。また、もちろん、反力がきちんと左右間違えずに出せないと解けない問題ではありますが、ごく基本的な問題なので正答率は高いと思われます。

[No.4] 3ヒンジラーメンの反力とせん断力 正答5
平成23年、平成25年に続いて、10年間で3度目の出題の3ヒンジラーメンです。今回は反力だけでなく、せん断力まで聞かれたので、少し難易度が高くなっています。また、水平反力の+−の符号が、”左向きを「+」とする”というもので、戸惑ったのではないでしょうか?課題文をよく読む必要がある問題ですね。また、過去問の様に、5つの式のうち、どれかひとつで一つ目の反力が求まるというタイプではなく、ΣMD右=0とΣMA=0で連立方程式にしないと解けないので、難しかったかもしれません。また、水平反力を求めさせておいて、梁のせん断力をたずねるということは、鉛直反力も求めないとせん断力は出ませんから、いろいろと仕掛けて来たな、、、という印象です。ただ、選択肢をよく見ると、HBが求まった時点で正答を選ぶことができるので、せん断力が解けなくても正答に行き着けたかもしれませんね。

[No.5] トラス 
縦トラスなので、切断法で上を選べば、簡単に解くことができる基本的な問題です。トラスは毎年苦手な方が多い分野ですが、今年は正答率が高いのではないでしょうか?

[No.6] 座屈 
平成27年と同じ引っ掛け問題です。もう、引っかかった方はいらっしゃらないと思いますが、、、
座屈長さの大小関係なので、とても簡単ですね。座屈長さの係数を覚えていれば簡単に解けるごくごく基本的な問題です。
直前でも復習していたので、万全だったと思います。

[No.7] 荷重・外力
積雪荷重の問題。屋根勾配が60°を超える場合、零とすることができる。まさに、直前で確認した問題ですね。簡単です。

[No.8] 地震力
これも、頻出の基本的問題なので、正答率高いはず。直前でもしつこく確認しましたよね。標準せん断力係数の3つの数字、1次設計と層間変形角は0.2以上、軟弱地盤の木造は0.3以上、必要保有水平耐力の計算時は1.0以上は、絶対に覚えてね、と言っていたので、よくぞ出てくれました!といった感じです。

[No.9] 地盤・基礎
これもごくごく基本的な問題ですね。耳にタコができるほど、圧密沈下ときたら粘土、即時沈下と液状化が砂、と繰り返していたので、万全だったでしょう。

[No.10] 木造部材名称
これも何度も何度もやった問題ですね。方杖と方立。簡単です。

[No.11] 木造壁率比(四分割法) 正答4
平成24年、平成26年に続いて、3年ぶりの出題です。これもそろそろまた出るよ〜と直近に確認したので、大丈夫だったのではないでしょうか?そろそろ長方形以外のものが出るかな?と戦々恐々としていましたが、今年も長方形でしたので、左右、上下の壁の数を数えて、バランスの悪いものを選べばいいだけですので、簡単だったのではないでしょうか?
ただ、以前の問題が3対3が4問に対して不適当なものだけ1対3という分かりやすいものだったのに対して、今年は3対4とか2対3が混じってきているので、小/大≧0.5というのを覚えていないと戸惑ったかもしれませんね。

[No.12] 木構造 正答1
これは不適当で選ぶ選択肢が初出題なので、さんざん「初めて見る問題はたいてい不適当ではない」と言っていたので、迷ってしまったかもしれませんね。ただ、残りの選択肢がすべて正しいことは、過去問をしっかり学習した方はわかっていたはずなので、消去法で選べたのではないでしょうか?
選択肢1の言っている「土台継手の下木の端部にアンカーボルトを設置した」というのは、上木の端部に設置しないと外れてしまうので、上木の、に直さないとならないということです。現場では両方にアンカーを付けることも多いので、現場に出ている方も???と思われたかもしれませんね。


[No.13] 壁式コンクリート造2階建て
これも直前で確認した数値なのでみなさんできたのではないでしょうか?2階建てというところをしっかり読んでいたら、15㎝以上必要というのをやりましたよね?その他の選択肢では、1番と3番がちょっと目新しい感じですが、惑わされずに選べたのではないでしょうか?

[No.14] 鉄筋コンクリート構造 正答5
これは1.3.4に関しては直前でも確認した、頻出選択肢なので、すぐに除外できたと思います。2の選択肢が初出なので、惑わされてしまったかも。5の選択肢は、柱の柱頭と柱脚に大きなせん断力がかかるので、帯筋間隔が密になる、というのがテキストの絵にあったのを覚えていたかどうか、、、
また、去年の問題で、開口に接する部分の帯筋比は0.4%以上というのをやっていたので、そちらと混同すると間違えてしまうかもしれませんね。ちょっと難しかったかも。

[No.15] 鉄筋コンクリート 主筋の継手位置 正答4
これはちょっと初出タイプの問題なので、戸惑ったかもしれませんね。
柱も、梁も、主筋は曲げモーメントを負担しているので、M図のイメージがあると解けた問題ですが、不静定ラーメンのM図は力学でもやっていないので、難しかったかもしれません。講義では時々板書していたんですけどね、、、


[No.16] 鉄骨造
これは直前で数値を確認した問題なので、大丈夫だったでしょう。根巻きの2.5倍以上はさんざん確認しましたよね?
ただ、5番の選択肢は初出でしたので、びっくりしたかも。5番はガセットプレートとかに惑わされると混乱しますが、よく読むと、長方形断面の部材の最大せん断応力度は、平均専断応力度(Q/A)に1.5(長方形の係数)をかけて出し、その値が、許容せん断応力度以下であることを確認する、という応力度の話をしているので、落ち着いて読めば正しいことが分かったかもしれません。
何れにしても、初めて見た選択肢が出た時は、落ち着いて、明らかに×を探すという鉄則にそっていれば、引っかからなかったはずです。

[No.17] 鉄骨造 接合
これも、2番の選択肢にびっくりしてしまったかもしれませんが、1が、何度も出ている×の選択肢なので、迷わず選べたのではないでしょうか?

[No.18] 構造計画
これも、すべて過去問でやって来た問題ですね。木造筋交の向きを同じ方向にしてはいけません。互い違いになるように配置します。これは今年製図が木造ですから、立面図に筋交を描きいれなさい、と言われた時にも気をつけてくださいね。

[No.19] 耐震設計
これもすべて過去問でやって来た問題です。特に正答の1番は、直前でも、「逆数」というのが入っているかいないか、よーく読んでね、と言っていた部分。間違えなかったはず!

[No.20] 木材
これもすべて過去問でやって来た問題ですね。簡単すぎるくらい。1番は気乾状態のことを言っています。

[No.21] コンクリート 正答1
これは、初出が不適当というちょっとドキッとする問題ですね。しかし、施工で習ったのかもしれませんし、2〜4に関しては正しいことが過去問から判断できたはずなので、消去法で選べたかもしれません。

[No.22] コンクリート
これはコンクリートの基本中の基本ですね。長期は設計基準強度の1/3、短期はその2倍で2/3。これも直前で確認しましたよね。

[No.23] 鋼材
これも過去問ででたものばかりの基本問題ですね。鋼材の降伏点とヤング係数は温度が上がるほどどんどんさがるので、300〜400℃で最大になるということはないですし、もしこれが引張り強度の話だとしても、200〜300℃で最大で400℃ではかなり下がってしまっています。
引張り強度だと読み違えても、間違いに気づくはずですが、やはり主語をしっかり確認する必要がある問題ですね。思い込みは怖いです。
来年、「降伏点は200〜300℃で最大となり、、、」と出題された時に、引っかからないようにしてくださいね!

[No.24] ガラス
これも基本的な問題なので間違えようがないと思いますが、2ちゃんねるを見てると、線入りガラスが防火戸に使えるかどうかでもめているようでしたが、使えません。網入りだけです。Low-Eペアは初出ですが、これは計画で習ったのではないでしょうか?夏と冬でどちら側にコーティングするべきなのかはいろいろあるようですが、、、

[No.25] 材料
これは4と5で迷ったかもしれません。ちょっと難しいかも。
4のGRCについては日本GRC工業会のホームページを見ると、設問の通りの建材だということがわかります。
http://www.grc.gr.jp
5の木片セメント板ですが、木質セメント板には木片セメント板と木毛セメント板があり、木毛を材料をするものは「木毛セメント板」なので、5が不適当でしょう。
ところで、今年の製図の課題で外壁材の指定があるので、この25番の問題はちょっと気になりますね〜 
ボード類の特徴や用途、施工上の注意点などを調べてまとめておいた方がいいかもしれませんね。

以上、今年も構造は比較的簡単な問題が多かったですね。しかし、やはり、過去問をしっかり覚えきれていないと、惑わされてしまうかもしれません。一朝一夕には合格できないテストなのは変わりないので、合格した方は、がんばったかいがありましたね。おめでとうございます。まんいち、落ちてしまった方も、勉強の方法を間違えず、継続学習して記憶を定着できれば合格できますので、来年頑張りましょう!お疲れ様でした。

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