Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

平成26年度 2級建築士製図試験

2014-09-16 00:13:48 | 建築士試験
昨日、9月14日に平成26年度2級建築士製図試験が行われました。
受験生のみなさん、おつかれさまでした。

平成26年度の課題は
「介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅(木造2階建て)」
要求図面は平面図、床伏図、立面図、断面図、部分詳細図、面積表、仕上表、計画の要点等

敷地は南道路の一辺16mの正方形敷地
延べ面積は140㎡以上、180㎡以下。

今年の課題は、要求図書が矩計図がなくなり、断面図と部分詳細図と仕上表になったので、どのような課題、どのような部分の指定がくるのか、はらはらしていました。
断面図は「1階、2階それぞれの開口部を含む部分とする」
部分詳細図は「外壁を含む部分とする。基礎及び床の部分」ということで、
バリアフリーなんだから床でしょうという予想は的中しました。

ただ、この「外壁」とは、という解釈が割れていて、掃出しサッシ部分でもいいのか、ダメなのか。
ここが一つ目のポイントになっています。
外壁を含む部分というのは、内壁でなければいいので、掃出しサッシ部分でもよいと思うのですが、
これが引っ掛けポイントでここで合否が分かれるとなると厳しいですね。
私の担当した受講生さんは、課題文を実によく読んでいて、かなり迷ったようですが、
昨日復元してくださった8人のうち、5人は外壁を描き、2人は掃出しサッシを描いて、土台部分に外壁の仕上を記入し、1人は全く気づかず掃出しサッシを描いて外壁仕上を描かなかった、という状況です。
一緒に担当していた別の講師のグループは8人復元して7人が掃出しサッシを描いていたので、そこが合否ポイントになるとはちょっと考えにくいですが、、、。

ふたつめのポイントは室内スロープです。
「1階における20mmを超える段差にはスロープを設ける。」
という注釈をきちんとみんな見ていたので、私の担当では8人中7人が玄関にスロープを設けて段差処理していました。ひとりだけ、東入りの玄関を計画した受講生さんが、移乗台での段差処理にしてしまったので、これは減点されてしまうでしょう。
他のグループでは、玄関土間をGL+480mmにして、20mm以内の段差で処理している人が二人いらっしゃいました。試験問題的にはこれでOKですが、実際は20mmの段差は一番躓きやすく危険です。本当にそれで減点ないのでしょうか?
また、他のグループに多かったのは玄関土間及びポーチをGL+500としたパターン。これも課題的にはOKなのかもしれませんが、雨仕舞はどうするのでしょう?

計画の要点は
(1)道路から建築物へのアプローチについて工夫した点
(2)各室の配置について、家族による祖母の介護のしやすさを考慮して工夫した点
(3)1階の各室、廊下等について、祖母が生活することを考慮して工夫した点

さらに設計条件を見ると
(1)脱衣・入浴・外出時等には家族による介護が必要である
   外出時には屋内で使用している車椅子でそのまま異動するものとする
   →祖母室と洗面脱衣室、玄関との動線への配慮、屋内スロープが要求されていることが読み取れます。

(2)祖母の移動に配慮して、玄関ポーチまで屋外スロープを計画する
   →門や駐車スペースからポーチまでのスロープの配置への配慮が要求されている

(3)1階部分における「各要求室の配置・動線」「廊下の幅」「洗面脱衣室・浴室」「祖母室内の専用の便所」は祖母の生活、家族による介護に配慮
   →廊下の幅、洗面脱衣室との動線、専用便所の広さと便器の配置、などへの配慮が要求されている

ですので、
・祖母の動線廊下が有効800以下(芯芯910)では減点
・洗面脱衣室や玄関が祖母室に近いと加点
・屋外スロープの長さが適切に取られていないと減点
・駐車場からスロープへの動線が悪い(一度敷地外へでないとならない等)は減点
などが予想されます。

私が個人的に作成したエスキス例をアップしておきます。

http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/51/e93f2da7dbb168729b94e4ccdd4e03b8.png

みなさん、合格するといいですね!
おつかれさまでした!