玻璃の天 (文春文庫) 価格:¥ 500(税込) 発売日:2009-09-04 |
玻璃の天 北村薫
直木賞受賞のベッキーさんシリーズの第2弾。
短編集ですが、大きな流れがあって、ベッキーさんの正体がだんだんと判明してきました。
最期の「玻璃の天」とは、玻璃=ステンドガラス、天=天窓の意味なのですね。
お金持ちならではの殺人計画が、ありえない~けど、面白いです。「玻璃の天」は建築が絡んでくるところも面白い。
「幻の橋」でのベッキーさんの言葉が印象的。
「大きな不正を前にした時、人は誰も抗議したくなると思います。ただ、何が正しく、何が正しくないかを決められるのは時だけでしょう。水中の魚に、己を囲む水は見えないものだと思います。公の裁きですら誤ることはあるのです。まして、個人が自分の正義を掲げ、立場の違う個人を殺すことなど、許されるわけがないと思います。」
伊坂幸太郎の小説にも通じるところがあるようであり、昨今の「事業仕分け」を見ていても、人は立ち位置が異なると、正義もまったく逆になってしまう典型のようであり。。。しみじみと思いつつも、エンタメ娯楽ミステリです。