7月6日日曜日に平成26年度2級建築士学科試験が行われました。
受験したみなさん、お疲れ様でした。
速報というには遅くなりましたが、今年度も構造の解答解説をしたいと思います。
No.1 断面一次モーメント 正解2
断面の性質からは、10年に1度だけ断面一次モーメントで、あとは断面2次モーメントなので、あまり重きを置かないでいたら…でてしまいましたね。
しかし総合資格の総合模試を受けられた方は、そっくりの問題が出たばかりですから、復習をしていた方はできたのではないでしょうか?
20×40と、40×20の同じ断面積の二つの長方形に分けると、重心の位置を足して2で割れば出るので簡単ですね。
Xoが(10+20)÷2=15、Yoが(40+10)÷2=25です。
No.2 応力度(変形問題) 正解1
等分布荷重が出てしまいました。l×l=1,000,000からl=1000が出せたでしょうか?
No.3 曲げモーメント 正解2
これは反力がちゃんと出れば、簡単でしたね。
No.4 反力 正解1
久しぶりに段違いのひっかけ反力が出ましたが、この問題はよく練習していたので、みなさん解けたのではないでしょうか?
No.5 トラス 正解5
これも簡単でしたね。斜材なので、斜材が苦手な方、プラスマイナスを間違えてしまった方はいるかも…?
No.6 座屈 正解3
平成6年に出たきり、出ていなかったタイプの問題が出てしまいました。
しかしテキストで解説していたし、総合模試で、「座屈は弱軸でおきる!」という解説をしていたので、覚えていてくれたのではないかと思います。
ただ、これは、ひっかかる人、多かったかもしれないですね。
これも平成6年と同じで、A、B、C、いずれも断面積が144?なので、短辺の長さ順に断面二次モーメントが大きくなり、結果、座屈荷重が大きくなります。
No.7 構造計算 正解4
これは冷静に読めば、地上面祖度区分は風圧力の時に出てきた言葉と気づけたのではないでしょうか?
No.8 荷重外力 正解4
これは直前講習でもさんざんやった部分なので大丈夫だったはず。
床>柱梁基礎>地震力の順です。
ただ、選択肢3が新出なので、惑わされてしまったかも…
No.9 地盤基礎 正解3
これは簡単でしたね。独立基礎は不同沈下の抑制には不利です。ベタ基礎が有利ですね。
No.10 木造 正解5
これも直前講習でも確認した部分です。説明は「方杖」についてのものです。
No.11 木造 壁率比 正解2
壁率比については今度出続けるであろうとの予測が当たりました。
また、まだ、今年は長方形平面だろうという予測も当たりました。
長方形平面の場合は、左右上下の壁の枚数だけカウントして比べればいいので、簡単ですね。オンザラインの壁がカウントできるのを忘れないように。
来年あたりはそろそろL型など長方形でない平面の問題が出るかもしれませんね。
選択肢2は上が3枚に対して下が1枚なので壁率比が1/3<0.5なので不適当です。
No.12 木造 金物 正解3
選択肢4のあおり止め金物というのが新出ですが、他は過去にも出ているものですから、それほど難しくはなかったはず。
No.13 壁式鉄筋コンクリート造 正解5
これはむつかしく感じたのではないでしょうか?壁式は数字が出るから、数字をしっかり確認しましょう!と直前講習で言っていたので、確認してくれた人は、できたと思うのですが。また、正解のコンクリートの設計基準強度は18N/?以上、というのも、直前講習でやりました。
ただ、選択肢1の問題。2階建ての建物の1階の耐力壁の鉄筋比は0.20%以上必要なので、0.15%はダメ、これが不適当、と思った方が多かったのではないでしょうか?
「構造耐力上安全であることを確認したので」という部分があるから、これは「最も」不適当ではない、ということなのでしょう。
非常に判断に悩む問題だったと思います。
これは不正解だった方が多かったのではないかと思います。
No.14 鉄筋コンクリート造 正解4
この問題は、不適当として選ばなければならない選択肢4が新出なので、悩んだのではないでしょうか?しかし他の選択肢が正しいということは、直前講習などでも繰り返しやっていたので、不安ながらも4を選ぶことができたのではないでしょうか。
剪断力を負担しているのはあばら筋ですから、コンクリートの断面を大きくしても、剪断耐力は大きくなりません。あばら筋をたくさん入れないと。短柱の場合と同じですね。
No.15 鉄筋コンクリート造 正解1
これも、柱の中心線を超えて定着していればよい、と簡単に解説して済ませていた問題なので、「全部中心線を超えているではないか?!」と困ったのではないでしょうか?
テキスト欄外に小さな字で書いてあるのですが、絵はどれも正しいのですが、定着長さlの取り方が、最上階だけ違うのです。柱のツラからではなく、鉄筋の曲がったところからの長さになるので、1が不適当なのですね。
これも難しく感じた方が多かったのではないでしょうか?正答率は低いかもしれません。
No.16 鉄骨造 正解5
これは選択肢5が明らかに不適当で、2.5倍以上必要というのは、直前講習でもやったので、できたのではないでしょうか?
しかし選択肢3が 新出で、数字が絡んでくるので、惑わされてしまったかもしれません。
No.17 鉄骨造 正解3
これは直前講習でやったものばかりですから、皆さん正答できたでしょう。
まわし溶接を「行ってはならない」のではなく、「行わなければならない」。
No.18 耐震設計 正解2
これは難しく感じたと思います。2の選択肢も、さらっと読んでしまうと正しく思えてしまったのではないでしょうか?剛性率と層間変形角には関係があるのですが、そのままではなく、逆数を使うのです。これもテキスト欄外に小さな文字で書いてあるのですが、そこまできっちり学習をしていないと、見逃してしまったかもしれません。
また、選択肢1や3が新出なので、惑わされてしまったかもしれません。
この問題は正答率が低かったかもしれません。
しかし、今後この部分の出題がコンスタントにある可能性は高いでしょう。
No.19 構造計画 正解4
これは直前講習でもやったので、みなさんできたのではないでしょうか。
鋼構造のほうが固定周期は「長い」。
また、選択肢3は、たわみに関しての文章題が出るのではないかという私の予測が当たりました!座屈のオイラー式とは逆に、たわみの公式ではヤング係数と断面2次モーメントをかけた曲げ剛性が分母にあって、ヤング係数が大きければたわみが小さくなりますが、この公式には他には荷重と梁の長さしか出てこないので、ヤング係数が変化しなければたわみも変化しません。鋼材の場合は、強度も関係ありません。(コンクリートの場合は関係があります)
No.20 木材 正解2
これも直前講習でやったので、できたはずです。説明は「繊維飽和点」ではなく、「気乾状態」です。
選択肢1の「軟木」という単語は新出ですが、選択肢2に気づけば惑わされなかったでしょう。
No.21 コンクリート 正解1
これもなんども出ている問題ですから大丈夫でしょう。
早強コンクリートは早期に強度が出る代わりに、水和発熱が大きくひび割れしやすいので、マスコンクリート(大きな体積をいっきに打つ場合)にはひび割れしやすいので、不向きです。マスコンクリートには、じっくりゆっくり水和する中庸熱ポルトランドセメントが適しています。
No.22 コンクリート 正解4
これも直前講習でやったので、できたでしょう。設計基準強度はクリアしなければならない最低ラインなので、一番小さい値です。それをクリアするために、調合管理強度や調合強度は大きめに設定されているのです。
No.23 鋼材 正解5
これもどの選択肢も直前講習でやったので、できたはずです。
焼き入れをすると硬くなり、耐摩耗性が向上しますが、粘りがなくなり、もろくなってしまいます。
No.24 材料(ガラス) 正解3
これも直前講習で確認しましたので、できたと思います。
選択肢3の説明は「複層ガラス」に関するものです。
No.25 材料(その他いろいろ) 正解1
これも直前講習の確認問題でやりましたね。
ウール系は吸水すると断熱性能が急激に低下してしまいます。湿気に強いのはプラスティック系断熱材(ポリスチレンフォームやウレタンフォーム)です。
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「午前中の教科(計画法規)は簡単だったが、午後(構造施工)が難しかった」
という声を聞いたので、おそるおそるでしたが、実際に採点をしてみると、みなさんよくできていたと思います。
初めて聞くような文章も混じっていたので、難しく感じたかもしれませんが、直前講習でやった問題もたくさん出題されていたので、点数は取れていたのだと思います。
今年も構造は足切り点の引き下げなどはないレベルと思います。
さて、いよいよ製図試験ですね。
今年は大変です。図面が1つと、仕上表も増えています。
まず描き上げなければ合格できませんが、作図スピードは、描いた枚数分しかアップしません。
講習をお休みせず、宿題を確実にこなして、手を鍛えていかないと、今年の製図試験は難しいと思います。
みなさん、がんばってくださいね!
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