昨日7/3に2級建築士学科試験が行われました。受験生のみなさま、大変お疲れさまでした。
昨夜採点会に行ってきました。
私の教えていたレギュラーコースは全員が合格することができてホッとしています。
昨夜はみんなで楽しいお酒をいただきました。
さて、構造の試験ですが、試験元から正答が発表されるわけではないので、あくまでも個人的な解説ですが、試験問題の解説を行いたいと思います。
まず全体としては、力学分野に関しては久しぶりの出題になる3ヒンジがでたりしたので、ちょっとビックリするかもしれませんが、全体としてはそれほど難しくなく、多くの方が5点以上をゲットしていたので、比較的簡単だったと思います。
一方一般構造、材料の方は、ますますマニアックな問題が出題される傾向にあり、テキストに掲載のないものも結構でてしまったので、難しかったかな、という印象です。
ただ、全体でいうと、構造が苦手で模擬試験でクリアできなかった方々も足切りクリアしていたので、例年並みあるいは例年よりも簡単だったと言えるかもしれません。
ヒヤリングした感じでは、今年は計画と施工がポイントになるかもしれませんね…
さて、問題解説です。
No.1 力のつりあい 正答4 2.8m
等分布荷重と等変分布荷重を集中荷重に置き換えて合力を出し、A点からの距離をバリニオンの定理を使って求める問題。去年も同じタイプが出題されていますし、模擬試験でもやったので、みなさんできたのではないでしょうか?
No.2 応力度 正答3 8kN
単純梁に集中荷重が2つかかっているタイプで、荷重の大きさを求める変形問題。
Mmaxが出せるかどうかが鍵でしたが、平成15年の問題を使って本講義で解説していたので出来たのではないでしょうか?
No.3 断面2次モーメント 正答2 1:7
断面2次モーメントの比の問題です。ただ、選択肢に7:1というのがなかったので、比でよくやる間違いはしないですんだのではないでしょうか?
No.4 応力 正答4 8.0kN・m
右側を選んだ方が楽なので、右側ローラーの反力を求めると4kN上向き。これは簡単でしたね。
No.5 3ヒンジ 正答4 1:2
3ヒンジは久しぶりの出題で、できなくてもいいよ、と言ってしまったので、正答率が低いかもしれませんね、3ヒンジの4つめの式、ヒンジ点の左または右の回転の合計はゼロになる、を覚えていれば難しくなかったのですが。
ΣMo(ヒンジ点)左=0を立てると、外力Pがありますが、Pの作用線上にo点があるので、Pは考えなくてよくなるのです。なので、過去問でやったのと同じように、HA×2l-VA×l=0となり、2HA=VA。
ここからあわてて2番の2:1を選ばないように気をつければ、正答にたどり着けました。
また、図式で考えても、Pがo点で回転を生じさせないことに気付けば、架構の三角形の比と反力の比が相似形になることからすぐに1:2が選べます。
No.6 トラス 正答2 +√2kN
左右対称系ではないので、ちょっとむつかしかったかもしれません。ローラーの反力上向き3kNが出せたかどうかが一つめのポイント。
トラスは捨ててもいいけど、勘を働かせろ、ということを直前期に言ったので、2か4かで悩んで、4にしてしまった人が多かったかもしれません。
上向き反力3kN、下向き外力2kNですから、NAYが下向き1kN。下向きが引張りなのか圧縮なのか。引張りですよね?そこがわかれば間違えないはずなのですが…
No.7 座屈 正答3
これは座屈の出題パターン3つのうちのひとつで、絶対に落しちゃダメ、といっていたタイプなので、大丈夫ですよね?オイラー式、書きましたか?5にマークしてしまった方は、オイラー式を書かなかった方ですよ…
これは口を酸っぱくして、耳にタコができるまで言ったので、全員できたと信じているのですが…
No.8 構造計算 地震力 正答5
これは直前講習で強調していたので、絶対に間違えなかったはず!振動特性係数Rtは固有周期Tが長くなるほど小さくなる!
No.9 荷重・外力 正答3
積雪荷重は屋根の勾配が60度以上で零とすることができる、ので45度は×。
5番の選択肢は初めて登場なので、これにつられてしまった方は残念…。
No.10 基礎・地盤 正答1
これも直前講習でやっておいてよかった!形容詞で判断なので、密実な>固い です。
4の選択肢が初出なので、悩んだかもしれません…
No.11 木造 正答5
選択肢1~4が初出のマニアックな問題ですが、5は過去にも出ていて、直前講習でやっていたので大丈夫だったのでは?
際根太は大引に直交方向に走る部材で、平行に走るのは根太掛けです。
No.12 木造 正答2
これも直前講習でやりました。引張り筋かいは15×90でいいのだけれど、圧縮筋かいは座屈を考慮して30×90必要です。
No.13 木造接合 正答1
これは3と5は過去問に出ていたので、正しいと判断できますが、残りの1、2、4が初出の難問です。ただ、言い方が全くちがうけれど、1番の言っていることは、力学特性の違う釘とボルトの耐力は足し算できるかできないか?ということだとすると、過去何度も出て来て、直前講習でもやった部分になります。日本語をむつかしくしてケムに巻く作戦でしょうか…難問でした。
No.14 鉄筋コンクリート 正答2
許容曲げモーメントは、圧縮側が壊れるギリギリの応力と、引張り側が壊れるギリギリの応力のうちの、小さい方の数値を採用しないと壊れてしまいます。例えば圧縮側が大きくて、引張り側がちいさい場合、圧縮側の大きい数値を採用して、OKになっても、引張り側はそれよりも小さい力で壊れてしまうので「小さい方の数値」を採用しなければなりません。
3の選択肢がくせ者で、柱の小径は普通コンクリートで1/15以上、軽量コンクリートで1/10以上と数値を覚えていたので、これが間違い!と思ってしまった方が多いかも…しかし1/10>1/15なので、1/10にしていれば安全側なので○になります。日本語マジックにやられてしまったのではないでしょうか?
4の選択肢は初出ですので、これも一瞬びっくりするかもしれませんね。
難問の部類だと思います。
No.15 壁式鉄筋コンクリート 正答3
これも、直前講習で、計算問題が出る時には壁の最小長さに注意!と言っていたので、大丈夫だったと思います。45㎝以上は計算に算入、未満は不算入なので、0.4mの壁2面は入れず、0.45mの壁は算入します。なのでX方向の壁の総長は765cm。これを床面積8m×5mで割るので、約19.1㎝/㎡になります。
No.16 鉄筋コンクリート 正答4
これも3と5の選択肢が初出なので、ビックリしますが、冷静に読めば4のフックは135度以上は何度もやってきた問題ですから、間違えないですよね?
No.17 鉄骨 正答3
またマニアックな数字をついてきました…スパンの1/300は覚えますが、片持ち梁の1/250以下は、テキストでも細字なので、やられた…という気がします。
1の選択肢も、「圧縮側フランジに」という部分で悩んでしまったかも。どこにつけるかまでは講義していなかったので…。やや難問ですね。
No.18 鉄骨 接合 正答2
これは過去に何度も出て来て、直前講習でもやったので、皆さん出来たのでは?
ボルトの軸のせん断力は足しません。
No.19 構造計画 正答1
地震力は柱に水平力として作用するので、鉛直荷重のみ検討は不適切です。しかしこの言い回しは初出なので、迷われたかも。しかも3、4、5の選択肢についても初出なので、これは難問でした。
No.20 材料 木材 正答5
自然乾燥での湿度との平衡状態は気乾状態。繊維飽和点は水にどっぷり浸けて、これ以上吸えない状態でした。これは直前講習でもやったので大丈夫だったのでは?
ただ2の選択肢は初出でしたね。
No.21 材料 コンクリート 正答3
これも直前講習でやりました。粒径はバラバラな方が実績率がいいという話。5の選択肢は2.1t/?~2.5t/?で覚えていたので、2,200~2,400kg/?と言われてビックリしてしまったかもしれません。
No.22 材料 コンクリート 正答1
これも直前講習でやりました。>の記号が反対向きです。調合強度が一番大きい。
4の選択肢が初出ですが、それ以外は過去に何度も出ているので、出来たはず。
No.23 材料 鋼材 正答5
これは全員正解できましたよね?!鋼材のヤング係数は強度に関係なく一定。口をすっぱくして、耳にタコができて、応力度ひずみ度曲線を見飽きるまでやったので、大丈夫でしたよね?
No.24 材料 石 正答4
これはなかなかの難問でした。ただ、大理石は酸に弱くて、外装に適さない、という話はしていたので、そこから推理を働かせて選んでいただけたら…
1と5は初出で、難問だと思います。
No.25 材料 外装材等 正答5
これは難問!
以上いかがでしたでしょうか?
みなさまのよい結果を楽しみにしています。
来週からは製図が始まります!暑い夏、がんばって合格しましょう♪
早速ですが、No.15の壁式についてです。
0.45mを算入すると言われてますが、
両サイドの開口部の高さの30%の判断はどうされているのでしょうか?
両サイドの開口の高さの30%の判断に関しては立面図がないので、検討しようがありませんね。過去の問題でもその点に関しては検討しないで選択してきましたので、今回もそのようにしています。今後もし立面図も与えられての問題が出題されたら、注意が必要ですね。