Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

SUMIKA Project見学会3-コールハウス-

2009-10-26 16:23:05 | 建築

Fujimori1
藤森照信氏設計「コールハウス」
見た瞬間の印象は、「宮崎駿アニメから飛び出してきた建築!」
Fujimori
↑平面図(SUMIKA Projectパンフレットより)
西沢氏と藤本氏の作品が脳内イメージの具現化だとすると、藤森氏の作品は真逆の自然志向、具体主義。「洞窟」というコンセプトからして、あまりにわかりやすい。
そして徹底した素材主義。
Fujimori2_2
外壁は焼き杉。(しかし全面半分だけで、後ろ半分は黒く塗装した板だった。予算の都合?)中心となる主室全面の開口が洞窟の入口のイメージ。
Fujimori3 Fujimori4
1階の主室。3間×3間の九の間。古来、人が集いくつろぐのに最適とされる寸法の室。5,460mm四方の約30㎡、18帖なので、かなり広いのかな、と思ったけれど、20人が入るとちょうどいい。まあ、普通の住宅で20人は集まらないので、広いのかもしれないけれど、それほど広いと感じなかった。それは天井が斜めになっているからかもしれない。中央にテーブルが置かれ、正面には暖炉。茶の間、といった感じ。
Fujimori6 Fujimori16
洞窟らしさ、のためか、天井だけではなく、床も45度に角が立ち上がって、部屋を丸めている。壁は藁をまぜた漆喰による手荒し仕上。施主である東京ガスの社員の方と学生と、素人手作業で作るのが藤森流。ガス暖炉も。
二股に分かれたアカマツの柱は藤森氏の実家の森から伐採して太鼓落しに仕上げたもの。暖炉とともに主室のシンボル的な存在である。
Fujimori7 Fujimori8
主室の奥には子供室へ続くハシゴと、寝室へ続く階段があり、子供室へのハシゴは大人が登るとスネを打つように、登りにくく設計されている。(が、子どもサイズの私の身長では難なく登れてしまったが!)
Fujimori18 Fujimori17
左が子供室。右が寝室。寝室のベッドボードは主室の天井の勾配なりに斜めになっている。寝相が悪いと落ちてしまいそうなベッドはちょっと不安。子供室は幅1間のうなぎの寝床のような室だけれど、こっちの方が居心地よさそう。
Fujimori9P1040790
寝室の小さな扉を開けるとそこは茶室「源」。といっても炉があるだけで水屋すらない3帖敷きの簡素な茶室。

Fujimori20Fujimori10
お客は外のはしごを登って、秘密の入口のような床に空いた開口から訪れる仕組み。
お迎えのため、豪華な金箔張り?!
Fujimori12 Fujimori11
左の写真が、茶室へのハシゴを登っているところ。飛び出した茶室、はしご、屋根を貫通する木の枝がなんとも宮崎アニメっぽい。
茶室の床を見上げると、炉に使っている壺が見える。これ、実は宇都宮の餃子店「青源」の味噌壺。「青源」の源の字が見える。茶室の名前「源」はここからとったとか。
今回以前にSUMIKA Projectを訪れた先輩が「藤森さんのが一番いいかなあ。住めそう。」と言っていたけれど、たしかに、一番普通の住宅に近いかもしれない。それでも、トイレの建具が異様に小さかったり、いろいろ支障はありそうだけれど。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿