さくら・ことのは~川柳の部屋

言の葉はこだまことだまものおもひ…五七五の部屋へようこそ。

川柳マガジン 2017年11月号掲載句

2017-10-29 | 川柳マガジン
<川柳マガジン11月号 掲載句>

  擬態して隠れたきみが見つからぬ
     (印象吟 土橋 旗一 選・佳作)

  いい人と言われ悪さができません
     (笑いのある川柳 竹内 ゆみこ 選・佳作)

  ふたりからひとりになって見る景色
     (前句付「何てことない秋の夕暮れ」 天根 夢草 選・佳作)

  電話では気づけなかった空元気
     (全国誌上句会「電話」 赤松 ますみ 選、田辺 進水 選・佳作)

  恋でした会えなくなってから気づく
     (第16期6回 川柳マガジンクラブ誌上句会「気付く」
       江崎 紫峰 選・九客、大西 將文 選・七十秀)

  ゆるやかな変化だれにも気づかれぬ
     (第16期6回 川柳マガジンクラブ誌上句会「気付く」
       大西 將文 選・七十秀)




   
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「白衣着る」

2017-10-29 | 連作
仕事帰り、本屋さんに立ち寄り、
今月も購入した川柳マガジン。

その日は、めったとないイレギュラーなできごとで、
仕事がとてもたいへんだった。
帰宅したらすぐにでも横になりたいほど、
疲れ果てていた。

本屋さんのあるショッピングモールのベンチで、
ひと息ついてから駅に向かおうと思い、
買ったばかりのマガジンをひらく。

そこへ飛び込んできた、自分の名前。
一瞬、見間違いかと思った。

びっくりして、何度も見直す。
現実だろうか、これは。
という思いで。

うれしさよりも、自分などがという、
おそれ多い気持ちがじわじわとやってくる。

川柳マガジン文学賞大賞。

応募した作品は、
看護師としての、ありのままのわたしの思いを句にしたもので、
たいていのわたしの句がそうであるように、

 そのまんまやないか

と思われるだろうなと思っていた。

ひねりもなく、斬新な見つけも、洗練された表現もない。
それでも、わたしにとっては、
すべて自分のたいせつな思いをすくいとった実感句。

それを選んでいただけたというのなら、
ほんとうにありがたく、感謝の気持ちしかない。

思えば、一昨年の秋に準賞をいただいたのも、
病の父とともにあり、看取った際の
まぎれもない実感句をまとめた作品だった。

未熟な自分の姿も、表現のつたなさも
否定のしようがないけれど、
実感を伝えるという一点においてだけでも、
読むひとに何かを感じてもらえたなら、うれしい。

ありがとうございます。



    「白衣着る」

 白衣着る天使ではなく人として

 泣きむしのナース泣く場はわきまえる

 いのちを守るチーム茶髪もおばちゃんも

 傷つけるだけにはすまい針を刺す

 毒になる薬くすりになれる毒

 死に近い場所で際立つ生きる意味

 いのちには教えてもらうことばかり

 生きて死ぬ人みなひとの手をかりて

 重々しくも軽々しくもない看取り

 白衣ぬぎその日の味の酒をのむ




   
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