昔……というか、
小学校の3、4年生だった頃から中学生になったあたりまで、
Mは大きな妄想を抱いていたことがある。
家族旅行でどこぞへ行くために汽車に乗り、その駅に着いた時、
本当は、Mが移動しているわけじゃなくて駅がここに設置された。
と、思ったことから始まった妄想。
そうなるともう止まらない。
Mの行くとこ行くとこ、巨大なセットが組まれて大人も移動してくる。と。
もちろん子どもの常識でも「ん、なわけない」とは思っていた。
だけど、この景色は白々しいカンジがする……とか、
ここにいる人達はみんなMを見て見ないふりをしている……とか、
ワケのわからないカンカクが
Mの中で渦巻いていたことも確かだった。
てか、同じような妄想はみんなするのかな??
自分で思うに、
当時のMの実家はいつもゴタゴタしていたし、
父と母がその場だけ取り繕った家族ごっこをしたところで
全てが空々しくMには映っていたワケで……。
それがMの妄想を煽ったのだろうと考えられる。
そんな少女時代を経て大人になったM。
そのMが、15年くらい前に驚きの映画と出会った。
なんと、Mが妄想したものと同じ世界観の映画だった。
タイトルは……、タイトル?? 覚えてない。
まるっきりMの妄想そのものの映画だったのに、タイトルを覚えていないとは、
いかにも全てがどうでもいいMらしい……。
なんだっけ?
ちょっと調べてみよう。
見っけ!
ネットは便利だぁ~~。
「トゥルーマンショー」だった。
1998年のアメリカ映画だったとは……
Mが賢かったらもっと前に原作を書けたじゃない?
賢くないことがとても残念……。
主人公は男性なんだけど、
Mの思ってた世界観がそのまま映画になってたことに驚いた。
彼が自分の人生が張りぼてでできていたことに気づくのは、
海で泳いで、沖合までいったとき。
……だったと思う。
懐かしい。
DVDでもう一度観てみたいなぁ。
……てか、あればいいけど。
妄想って、たかが妄想だと自己完結したら何にもならないけど、
膨らませて外に発信すると、「何か」にはなるものなんだなあ……。
これを映像化してどれだけ稼げたんだろう……と、
ソッチの「何か」を考えるM。
いやらしいわぁ。
ただ、その「何か」の中には
「アブナイ人物」と思われる危険性も含まれるワケで、
何の儲けもないのに、ただヘンなヤツ呼ばわりされると、
ちょっとカナシイ。
妄想……、気をつけねば。