でっかい台風が、
すっごい勢いで、
ダーッ!と暴れて、
ダーッ!と 過ぎ去った。
*
雨戸も閉じて
身も硬くして
じーーっと我慢した “ごほうび” か
あるいは
南の海からの “おみやげ” か
スコーーーーン
と、
久しぶりに まぶしい
強い青の青空を あとに残して
嵐は
ダーッと、
過ぎてった。
甘くしっとり濡れた 道ばたには
まばゆい花を、
まぶしく散らして。
*
嵐が ゲラゲラ 暴れ狂っている最中
自分は
窓を閉ざしたオフィスの中で、黙々と、硬直的パソコン作業。
ある時突然
窓から まぶしい光があふれて
「あ、過ぎた」と知る。
まだ 風が窓を叩き付けていたけど
嵐のあとには
痛快な青空が お出ましになるはず。
ひさしぶりの 青天が 拝めるはず!
うきうきして
思い切って 窓をそっと開けてみたら
「ぶぉん!」
と
したたかな風に 閉め返された。
でも 垣間見えた 空は
久々に見る 明るい青で
うずうず
やはり 耐えられず
昼下がりの プチ休憩のタイミングで、
嵐のなごりの街に 飛び出してみた。
*
挨拶一番
どどーっ! と 突風
そしてなんだか甘い
しっとり空気
カーッ! と 勢い良く晴れたあとにも
まだ暴れ足りなかった風が ぶおん ぶおん
街のあちこちで 騒ぎ回っているのでした。
暴れる風の元気に あおられて
ちょっと テンションあがります。
ここしばらく続いていた暗い雨の 重い日々もあって
なんだか、澱(よど)んでたところでした。
そのことも、そもそも、
この嵐が来るまで はっきり気づいていなかった。
ひしひしと感じられる 来る「冬」に備えてか
つらい寒さに耐えられるように か
自分でも気づかないうちに
徐々に ちいさくちいさくちぢこまらせ
厚く厚く殻を重ね
かたくかたく強張らせ始めていた
そんな心を
「まあ、まあ、」
って
やんわりと
なでて、とろかすような、
すこし あたたかい風。
遠い南から やって来た
遠い 夏の名残のような
豪快に大笑いしている
南国生まれの誰かさんみたいな、
したたかな風。
よどんでいた気持ちや
頭の中のもやもやも
嵐は
超弩級の怒濤の力で 持ち去ってくれた気がしました。
そして
残してくれたのは、
ただ、青い空。
久々に 気持ちが軽くって
とくに意味もなく、無性に、
楽しい気がする。
*
風が ぶっ飛んでるのが、うれしい。
街が まぶしいのが、うれしい。
空気が 甘いのが、うれしい。
空が 青いのが、うれしい。
そして
気づいたら
すっきりしていた。
すっきりしたら
急に
「よし。なんとかなる。」
って、
想えて来た。
*
止まない雨は無いとか
過ぎない嵐は無いとか
今まで十分体験して来ているし
頭でも充分わかっているけれど
やっぱり
実際に 改めて新たに味わわないと
どこかですっぽり
身体は 忘れてしまっているようで
また やって来た嵐で
また、憶い出すのでした。
じかに 身体で触れて
じかに 目の当たりにして
「そうだ、ああ、こんな感じだった」
って
また、憶い出すのでした。
憶い出したり
忘れたり
それをひたすら 繰り返しながら
同じことを 何度も繰り返しながら
初めてのように、
うれしがったり。
初めてのように、
かなしがったり。
*
台風のあとは
すっきりして
少しあたたかくて
空気は甘くて
街も ようやく ほっと一息ついたようで
そんな中に
キンモクセイの香りが ほわんと ただよって
ほわんと、心地好いのでした。
すっごい勢いで、
ダーッ!と暴れて、
ダーッ!と 過ぎ去った。
*
雨戸も閉じて
身も硬くして
じーーっと我慢した “ごほうび” か
あるいは
南の海からの “おみやげ” か
スコーーーーン
と、
久しぶりに まぶしい
強い青の青空を あとに残して
嵐は
ダーッと、
過ぎてった。
甘くしっとり濡れた 道ばたには
まばゆい花を、
まぶしく散らして。
*
嵐が ゲラゲラ 暴れ狂っている最中
自分は
窓を閉ざしたオフィスの中で、黙々と、硬直的パソコン作業。
ある時突然
窓から まぶしい光があふれて
「あ、過ぎた」と知る。
まだ 風が窓を叩き付けていたけど
嵐のあとには
痛快な青空が お出ましになるはず。
ひさしぶりの 青天が 拝めるはず!
うきうきして
思い切って 窓をそっと開けてみたら
「ぶぉん!」
と
したたかな風に 閉め返された。
でも 垣間見えた 空は
久々に見る 明るい青で
うずうず
やはり 耐えられず
昼下がりの プチ休憩のタイミングで、
嵐のなごりの街に 飛び出してみた。
*
挨拶一番
どどーっ! と 突風
そしてなんだか甘い
しっとり空気
カーッ! と 勢い良く晴れたあとにも
まだ暴れ足りなかった風が ぶおん ぶおん
街のあちこちで 騒ぎ回っているのでした。
暴れる風の元気に あおられて
ちょっと テンションあがります。
ここしばらく続いていた暗い雨の 重い日々もあって
なんだか、澱(よど)んでたところでした。
そのことも、そもそも、
この嵐が来るまで はっきり気づいていなかった。
ひしひしと感じられる 来る「冬」に備えてか
つらい寒さに耐えられるように か
自分でも気づかないうちに
徐々に ちいさくちいさくちぢこまらせ
厚く厚く殻を重ね
かたくかたく強張らせ始めていた
そんな心を
「まあ、まあ、」
って
やんわりと
なでて、とろかすような、
すこし あたたかい風。
遠い南から やって来た
遠い 夏の名残のような
豪快に大笑いしている
南国生まれの誰かさんみたいな、
したたかな風。
よどんでいた気持ちや
頭の中のもやもやも
嵐は
超弩級の怒濤の力で 持ち去ってくれた気がしました。
そして
残してくれたのは、
ただ、青い空。
久々に 気持ちが軽くって
とくに意味もなく、無性に、
楽しい気がする。
*
風が ぶっ飛んでるのが、うれしい。
街が まぶしいのが、うれしい。
空気が 甘いのが、うれしい。
空が 青いのが、うれしい。
そして
気づいたら
すっきりしていた。
すっきりしたら
急に
「よし。なんとかなる。」
って、
想えて来た。
*
止まない雨は無いとか
過ぎない嵐は無いとか
今まで十分体験して来ているし
頭でも充分わかっているけれど
やっぱり
実際に 改めて新たに味わわないと
どこかですっぽり
身体は 忘れてしまっているようで
また やって来た嵐で
また、憶い出すのでした。
じかに 身体で触れて
じかに 目の当たりにして
「そうだ、ああ、こんな感じだった」
って
また、憶い出すのでした。
憶い出したり
忘れたり
それをひたすら 繰り返しながら
同じことを 何度も繰り返しながら
初めてのように、
うれしがったり。
初めてのように、
かなしがったり。
*
台風のあとは
すっきりして
少しあたたかくて
空気は甘くて
街も ようやく ほっと一息ついたようで
そんな中に
キンモクセイの香りが ほわんと ただよって
ほわんと、心地好いのでした。