歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

初雪はちらり

2010年01月15日 | 徒然 -tzure-zure-
周りを山に囲まれた谷合の温泉場は、
三時を合図に、
すっぽり、
陰りの底に落ちます。そして、がくんと冷えこむのです。



今日も晴れ。水色の晴れ。

影たまりの底に落ちた枯れ芝の庭から見上げる
黄昏のひとつ手前の空も、
雲ひとつない水色。

少しだけ褪せた水色。





そして、四時。


今日の手入れ作業も締め括りにかかり、
花壇の縁にしゃがみ込んで、コケのすき間の雑草を抜いていくなどの、
細やか作業。


そんな、四時。


雪が降って来ました。





ほこりと見紛う、ちいちゃな白い塵の点は、

次には、大きな綿ぼこりみたいになって、あからさまに雪と見える姿になり、
マーガレットの花ガラを摘み取っていた私の腕に、ほとん、と、落ちました。


あら雪だ、と空を仰ぐと、

だけど見えているのは相変わらずの水色の空、

やや褪せても水色、雲ひとつない空なので、

どうやらこの雪は、山の尾根の線の向こうから、
こちらの谷のふくろに降りてくる風に運ばれて、
パラパラと舞い寄せているようなのでした。


ちらちら見ていれば、尾根の少し上のあたりが、薄いピンクにぼかされてきて、


綿ぼこりの雪は、はた、と止んでは、思い出したようにまたはた、と、降り出したりして、

しかし勢いは心許なく、
マーガレットの花をかすめても、コケの上にまで積もる気配はなく、

またふっと、
記憶が飛んでしまう時のように愛想知らずにぷいと立ち止んでしまって、

今日のこれが、私の2010年の初雪だったんだな。
そんなことを小さく想っていたら、


もう五時の少し手前。

寒さに気持ちが萎え落ちる手前で、

今日の仕事は‘上がり’となったのでした。




温泉付きのプチ修業も、明日で上がりです。










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