日本一のサラリーマンといわれた男
無私の人 土光敏夫 上竹瑞夫
20歳を越えたころから、毎年、一年かけて一人の人物を調べるという習慣になっています。
(今年は藤原鎌足です。正月にテレビで放送されていたので)
土光さんの一年かけて調べたことがあります。
20年前の話しですが、当時、土光さんは「日本一のサラリーマン」といわれていました(今は清原さんが登場してしまいましたが)。当時で年収6000万。肩書き120.。それていながら月に10万で暮らしているところがすごかったですね。「めざしの土光さん」は流行語になったほど。オーナー経営者でないところがまたすごい。もし、「島耕作」のコミックシリーズがどんどん続いていって、ものすごい硬派の漫画になったとき、最後に主人公は土光さんみたいになるのかな、想像したりします。
私はこの人を尊敬しているのですが、この人の生きる原動力が何なのかが、調べてもわかりませんでした。
熱心な日蓮宗の信者さんでしたが、宗教家というわけではないし、全財産を橘学園に寄付してしまいましたが、
教育家でもないようです。行革に命をかけていましたが、政治家という枠にも収まりきれない人でしょう。
何者なのでしょう。
とりあえず「ラスト・サムライ」という肩書きは許してもらえるかな? とは思っています。
ちなみに、この本には家庭内の逸話もこっていますが、子供たちは「記憶がない」と笑います。仕事一筋で本当に奥さんに任せっぱなしだったのでしょう。それで通用したのだからいい時代ですね。
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課長 島耕作 弘兼憲史 講談社
第1巻のころはテキトーに仕事とオンナをこなしていくようなせこいキャラの主人公でした。ところが人気が上がってくると同時に作者の思い入れもつよくなって感情移入してくるんでしょうね、しだいにスケールの大きな人格になってしまいました。「島耕作」という架空の人格に、作者がほれ込んでしまうでしょう。運を開いてくれた主人公でもあり、自分のいろいろな理想像を盛り込んでいくうちに大河ドラマになってしまうというのは制作サイドからみても理想像かもしれません。悪役が脇役が、いつのまにか主役を食ってしまうという展開もよくあることで、物語の登場人物が作者の初期のイメージを越えて成長していくというのは、作者にとっても書いていて心楽しいことなのではないでしょうか