政党、国民が政権と野党に分かれて争う姿が長期間続いています。良くこれで国が破綻せずに動いているなーーと思うほどの政争です。行政と、司法、議会の関係は日本よりもまともではないかとも思います。
安倍の言うことに批判ができない自民党議員、司法は言いなり、日銀は人事権を握られ安倍の言いなり。野党は共産党、社民党以外は自民党の協賛政党に成り下がっています。NHKは自らの使命を忘れて政権放送機関に成り下がっています。民主主義、三権分立が機能している点ではタイのほうがずっと優れているのだと思います。
<FT>既視感を覚えるタイの政治危機
タイのインラック・チナワット首相が7日、憲法裁判所によって職権乱用疑惑で失職させられた。ニワットタムロン・ブンソンパイサーン氏の首相就任でタイは6年間で6人目の首相を迎えることになった。ニワットタムロン氏は、6カ月前に反政府の抗議者たちが街頭でデモを繰り広げてからタイを支配している危機を受け継ぐことになる。
■では、タイの政治闘争は今回限りで落ち着くのだろうか?
とてもそうはいかない。インラック氏――およびインラック内閣の9人の閣僚――の追放は、インラック氏を支持する「赤シャツ」軍団が大挙して結集した場合、対立が激化する可能性を生み出している。
2010年に赤シャツ軍団が2カ月間バンコクの一部を占拠した事件は、これから起きるかもしれないことの一端を覗かせていた。当時は、抗議行動が軍によって鎮圧された時に大勢の人が亡くなった。
一方、野党も、憎いチナワット一族出身の人物が権力の座から追い落とされるのを見るという理屈抜きの興奮にもかかわらず、裁判所の判断に完全には満足しないだろう。タイ貢献党が主導する政府は、インラック氏の兄で、野党にとっては同氏より嫌われ者のタクシン・チナワット元首相に近い人物の指揮下で権力の座にとどまっている。
7日の出来事の1つの重要なメッセージは、双方とも譲歩しない決意をかつてないほど固めているように見える、というものだ。
■裁判所が即座に首相を失脚させられるというのは、立憲民主制の国において奇妙なことだが・・・
インラック内閣のほぼ3分の1が失脚させられるのは言うまでもない。読者は奇妙に思うかもしれないが、タイではそれが当たり前になりつつある。インラック氏は、2008年以降、裁判官によって降板させられた3人目の首相だ(他の首相のうちの1人は、首相に就任する前に出演したテレビの料理番組に対する支払いを受けたことで解任された)。
タクシン氏と連携する政党は解散させられ、それらの政党の幹部は何年もの間、政治活動を禁じられた。
憲法裁判所でのインラック氏の裁判では、縁故主義の疑惑――タクシン氏の元妻の兄が国家警察庁長官になる場所を作るために、インラック氏が自身の国家安全保障担当顧問を解任したという疑惑――は、インラック政権に対する他の汚職疑惑と同様、明らかに調査される価値のあるものだった。
だが、批判的な向きによれば、インラック氏が6日――判決のわずか1日前――になって1日だけ自身を弁護する証言を行った裁判で、裁判所は権力の範囲を逸脱して厳罰を言い渡し、性急な判断を下したという。
■では、それは単なる縁故主義の裁判以上のものなのだろうか?
政府の支持者たちは、裁判所は、タイの封建主義の過去に根差した権利意識を抱き、タクシン氏の政党が過去13年間繰り返し得てきた選挙の勝利を踏みにじりたいと思っている、エリート層が支持する野党が使う武器だと話す。一方、裁判所の支持者たちは、裁判所は、縁故主義や法の乱用に傾くタクシン派の傾向に対する必要な安全装置だと反論する。
双方が相手に対して繰り広げる批判には一定の妥当性がある。だが、違いは、最大野党の民主党が1992年以降選挙で勝利を収めていないのに対し、タクシン派は一貫してタイの有権者の支持を得てきたことだ。多くのタイ人は、王族と軍部と議会の間の力の均衡が82年前の絶対君主制の終焉以来燃えやすい不安定状態にある制度の下で戦われている、この果てしないように見える闘いに不安を募らせ、警戒している。
クーデターに悩まされた歳月のうち、14年間を除くと一貫して国家元首の座にあるプミポン・アドゥンヤデート国王の王位継承が決定的な瞬間になるかもしれない。
■考えられる次の火種は何だろうか?
赤シャツと反政府の黄シャツの双方とも、今後1週間ほどの間に大規模な集会を計画している。インラック氏と政府にとっては、年間100億ドル以上の費用を費やしてきた惨憺たるコメの補助金制度に関連した職務怠慢疑惑に関して、国家汚職追放委員会(NACC)の別の公判も迫っている。
その先に目を向けると、7月20日に選挙が実施される可能性があるが、最大野党の民主党と人民民主改革委員会(PDRC)の街頭の抗議者たちは既にボイコットすると言っている。どちらも、PDRCのデモ隊が妨害工作をし、後に――ご推察の通り――憲法裁判所が無効とした2月2日の総選挙でも同じことをした。差し当たり、タイでは、全く同じことが一から繰り返されているようだ。