自民党政権が進めた原子力政策の結果として、福島第一原子力発電所が事故を起こし、福島県浜どおり地方が汚染され、避難地域になったことは誰デモが知っていることです。その点では、東京電力、歴代自民党政権、原子力産業、御用学者の刑事責任、政治責任は明確です。その自民党政権が賠償費用を減らしたいと東京電力に代わって、避難地域の住民に帰還を促す。帰還できる環境、条件を整備し、何の不安もない形まで整備して、帰還を要請するならば、良いとしても、汚染の不安、生活上の不安がある地域に故郷だから、帰るのが当然と言われても、帰還できないのは当然のことです。
避難者を思い、避難者の立場で考えれば、分かりきったことです。誰が事故を起こし、故郷を放射能で汚染したのかーーそれは歴代自民党政権であり、東京電力です。彼らの政治的な責任は消えることはないのです。
<信濃毎日社説>住民の帰還 国と東電に問われる責任
「来年春以降を目指す」。福島県楢葉町の松本幸英町長が会見し、町民に帰還を促す目標時期を明らかにした。
東京電力福島第1原発の事故で被ばくした楢葉町では全町民が避難生活を強いられている。町は今春、町民の避難先で懇談会を開いてきた。帰郷への不安の声を聞き、その時期を町自ら判断するためだった。
国は町内の住宅地や道路などの除染は3月に終えたとする。電気やガスもほぼ復旧した。それでも町が、帰還までに1年近い間を置いたところに、条件を整えることの難しさがうかがえる。
一応の除染とインフラを戻すだけでは、避難者は帰るに帰れないだろう。放射線量の低減策を続けるとともに、コミュニティーを再建し、就労の場を確保しなければならない。3年前から時が止まったままの避難区域の復興は、これからが本番だ。
福島県の調査によると、原発事故で避難している人の多くが、帰郷の条件に「放射線の影響や不安が少なくなる」「原発事故の今後について不安がなくなる」ことを挙げた。懇談会で示された楢葉町民の意向も同様だった。
避難者のためらいをよそに、国は帰還への動きを徐々に広めている。4月には福島県田村市の都路(みやこじ)地区で避難指示を初めて解除。川内村でも協議を始めた。
政府は都路地区の解除に当たり、再度の面的な除染はしないと断言している。年間被ばく線量を1ミリシーベルト以下とする政府目標に達していないばかりか、森林はほとんど手付かずなのにもかかわらずだ。被ばくの心配を拭うには、長期的な取り組みが求められる。
避難区域で計画されている、汚染土壌や放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設も帰郷の不安材料になっている。必要な施設だけれど、肝心の住民への説明はなおざりだ。安全策を丁寧に説明し、理解を得ることが欠かせない。
賠償の問題も大きい。政府は避難指示解除後は、避難者に支払う毎月の慰謝料を1年で打ち切るとしている。住宅損害への賠償も十分とは言えない中で、生活再建のめどが立つのだろうか。
除染や賠償の問題に早く区切りを付け、原発事故克服の目につく成果としたい政府の思惑が透ける。苦しんでいる自治体や避難者の立場に立って、復興指針も賠償指針も何度でも見直し、暮らしの再建を支えていかなければならない。それだけの責任が、国と東電にはあるはずだ。