“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

「鼻血で批判されるのは人権侵害」 渦中の前双葉町長が憤り

2014年05月14日 16時49分34秒 | 臼蔵の呟き

美味しんぼの論争に続きです。日刊ゲンダイに掲載された反論です。いろいろな意見が出ていることとを知ったうえで、考えて見ることに意味があるように思います。

<日刊ゲンダイ記事>

「私が鼻血を出すことが犯罪とでも言うのか」――。
こう憤りの声を上げているのは、井戸川克隆・前福島県双葉町長だ。

 井戸川前町長は、小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載中のマンガ「美味しんぼ」に実名で登場。福島県内を取材して鼻血を流す主人公らと対面する場面では、自身も鼻血を出した経験を振り返りつつ、原因について「被曝したから」と話す姿が描かれている。
 ところが、この「福島で鼻血」の描写に対して政府や自治体側が猛反発。福島県は「極めて遺憾」との見解を公表したほか、福島県双葉町も「風評被害を助長する」として小学館に抗議文を送った。
 さらに、石原環境相が「全く理解できない」と不快感を示し、下村文科相も「福島県民にとってひどい迷惑だ」と発言するなど大騒動になっている。

■    本当に「被爆」と「鼻血」は無関係なのか

 だが、この状況は異常だ。井戸川前町長は個人の体験と感想を語っただけ。それも架空人物が主人公のマンガの中でだ。これが許されないなら、マンガ好きの麻生財務相が愛読する「ゴルゴ13」は話が成り立たなくなる。

 あらためて井戸川前町長に聞くと、こう言った。
「(福島の住民が)鼻血を出すという話は、今回、ことさら強調して語ったわけでも、(取材者を)誘導したのでもありません。私は以前からメディアの前でずっと同じことを言い続けていました。これまでは取り上げられてこなかっただけです。だいたい私が鼻血を出した、と話したことが批判されるべきことなのか。それを(閣僚らが)批判するとは人権侵害ですよ」

 その通りだ。井戸川前町長が言う通り、「福島で鼻血」の話は過去の国会でも取り上げられている。

■    12年6月の東日本大震災復興特別委員会で、当時、野党だった自民党の森雅子・現少子化担当相は<例えば、具体的にこんな心配の声をお寄せいただいています。子どもが鼻血を出した、これは被曝による影響じゃないかと心配なんだけれども…>などと質問しているのだ。

 ほかにも、因果関係はハッキリしないものの、原発事故の被災者に鼻血の症状が見られることは以前から確認されている。

 チェルノブイリ事故の被災者らを支援しているNPO法人「チェルノブイリへのかけはし」によると、「被災した子どもたちの2~3割に鼻血の症状が見られた」(野呂美加代表)という。

 何でもかんでも「風評被害」と決めつけて議論すらさせないから不安が募るのだ。福島県も石原も下村も、マンガに噛みつくヒマがあったら、年間被曝線量を20ミリシーベルトに引き上げても「安全」という具体的な根拠を県民に示すべきだ。


ウクライナ住民投票 外交努力で混乱収拾を

2014年05月14日 10時59分55秒 | 臼蔵の呟き

国連自体に問題があるとは思えませんが、国家を二分するような問題について当事国、周辺国が有効な対応、話し合いができないのは本当に困ったことです。政治指導者が問題を話し合い、解決の糸口を見出すこと出来なければ、解決することは難しくなるばかりです。

今回の問題は、ウクライナ内部の政治的対立がきっかけを作り、その対立にEU,アメリカ、ロシアが関与してクリミア半島、自治共和国の編入に至っています。ウクラナイ国内の政治勢力が話し合う姿勢を見せない限り、ウクライナ以外の国の関与支援も、限界があると思います。

ロシアがかつて、ソビエト連邦時代に、同胞であったことを踏まえて、政治的、軍事的に強硬に関与していることが一層、事態の収拾を困難としています。ロシアが隣国の政治、領土に関与するとみる周辺国に与える影響は良いものではありません。政治経済、外交関係にとってもウクライナ領土の割譲、自主投票の煽動などは周辺国がロシアに対して懸念を強めるだけではないかと思うのですが。

<琉球新報社説>ウクライナ住民投票 外交努力で混乱収拾を

 ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州で実施された「国家としての自立」の是非を問う住民投票で、親ロシア派勢力は賛成票が圧倒的多数を占めたと表明した。
 ウクライナは国家分断状態に陥っている。対立するロシアとウクライナはもとより、国際社会も、あくまで混乱の平和的解決に向け、外交努力を尽くすべきだ。
 東部2州の住民を含むウクライナの全国民には国の将来の在り方を自ら決める自己決定権があり、その権利は尊重されねばならない。
 しかし、今回の住民投票は民主的正当性に疑義がある。親ロ派は今回の投票結果を当然評価し、ウクライナ政権に対し幅広い「自決権」を要求する構えだ。これに対し、政権側は住民投票を「法的に無効だ」と非難している。
 住民投票は設問にある「自立」が独立を意味するのか、自治権拡大を意味するのか、住民の共通理解がないまま強行された。2州で向かうべき目標、将来像について熟議が尽くされたとも言い難い。

 ただ、住民投票の評価は歴史的背景も踏まえ慎重に行うべきだ。
 ウクライナは、1991年のソ連崩壊後に独立国になったが、ウクライナ東部については歴史的にロシアに支配された期間が長く、ロシア語を使い、文化的、経済的にロシアとの結び付きが強い。
 東部2州とロシアとの結び付きを考慮せず、投票した住民の思いを全否定するのはフェアではない。
 混乱を一刻も早く収拾すべきだ。2州では州庁舎などを占拠した親ロシア派勢力・武装集団と実権奪還を目指す政権部隊との戦闘で多数の死傷者を出している。
 さらにドネツク人民共和国指導部が独自の軍隊の編成を示唆するなど、東部はこのままだと治外法権化が一段と進む見通しだ。

 これ以上の流血事態は何としても回避すべきだ。国連やロシア、欧州連合(EU)が速やかに仲裁に乗り出し、親ロ、親欧州両派の直接対話を促すときだ。ロシアと良好な関係を築きつつある安倍政権も混乱の外交的解決に向け、働き掛けを強めてもらいたい。
 5月25日にはウクライナ大統領選挙が実施される。2月の政変に伴う混乱を収拾する好機であり、親ロ、親欧州両派は選挙に積極的に参加してほしい。国家再建や民族問題の折り合いの付け方について、民主的な議論を尽くすべきだ。


美味しんぼ批判 行き過ぎはどちらだ

2014年05月14日 10時00分12秒 | 臼蔵の呟き

東京新聞の反論社説です。なかなか面白い論争です。他紙、自治体などからの反論、批判があったので、東京新聞としての見解を発表したのだと思います。この論議は重要な意味を持つと思います。東京電力、自民党政権、行政機関の姿勢、対応こそが指摘され、問題なのではないかと思います。

<東京新聞社説>美味しんぼ批判 行き過ぎはどちらだ

 被災者の切実な声が届くのか。それとも風評被害を増すのだろうか。漫画「美味しんぼ」が物議を醸している。何事にせよ、問題提起は必要だ。だがその表現には、もちろん思いやりも欠かせない

 「美味しんぼ」は一九八三年から週刊漫画誌上で連載されており、昨今のグルメブームの発信源とされている。東日本大震災後は、被災地を取り巻く食の問題などにほぼ的を絞って、問題提起を続けてきた。

 前号で、主人公の新聞記者が東京電力福島第一原発を取材直後に鼻血を流す場面が論議を呼んだ。

 そして今週号では、福島第一原発のある双葉町の井戸川克隆前町長や関係する学者らが実名で登場し「大阪が受け入れたがれきの焼却場周辺でも眼(め)や呼吸器系の症状がある」「福島にはもう住むべきではない」などと訴えて、騒ぎはさらに広がった。

 福島県の佐藤雄平知事は「風評被害を助長するような印象で極めて残念」と強く批判した。

 漫画作品だけに、創作部分も多いだろう。表現の隅々にまで、被災者の心と体に寄り添うような細心の注意が必要なのは、言をまたない。その意味で、配慮に欠けた部分もある。

 しかし、時間をかけた取材に基づく関係者の疑問や批判、主張まで「通説とは異なるから」と否定して、封じてしまっていいのだろうか。

 東電が1号機の格納容器から大量の放射能を含んだ蒸気を大気中に放出するベント作業をした後も、住民にそれを知らせなかった。「そうとは知らず、われわれはその放射線を浴び続けてたんです」と、前町長は作中で訴える。

 SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射能の拡散情報が、住民に伝えられなかったのも事実である。

 またそれよりずっと以前から、原発は絶対安全だと信じ込まされてきたというさらに強い疑念がある。それらが払拭(ふっしょく)できない限り、被災者の心の底の不安はぬぐえまい。素朴な疑問や不安にも、国として東電として、丁寧に答える姿勢が欠かせない。情報隠しの疑念こそ、風評の温床なのである。

 問題提起はそれとして、考える材料の提供である。登場人物が事故と被害をどう見ていくのか。作品を通じ、作者は社会に訴えようと試みる。行き過ぎはないか。もちろん、過剰な反応も。


福島原発事故と連載漫画「美味(おい)しんぼ」の表現

2014年05月14日 06時00分21秒 | 臼蔵の呟き

漫画での表現、事実かどうか、医学的、科学的観点からの見解などが取材調査されて表現されることは最低限度の義務ではと思います。

事故、放射能汚染で住民がどのようなことで困り、生活再建、医学上の問題が発生するかは、漫画の取材、作者が追うべき問題、課題ではなく、政府、厚生労働省、福島県などが責任を持って、追跡し必要な情報提供をすべきものです。また、被災自治体の住民が、そのような訴えを行っているのであれば、その聞き取り、実態調査を行い、必要な医学的調査も必要だと思います。そのことを行えば、このような問題は解決することと思います。

何回も、訴えてきましたが、東京電力と自民党政権、経済産業省の政治責任、東京電力経営陣の刑事責任追及がないことこそが最大の問題です。同時に、このようなあらゆることをあいまいにしながら、一番厳しい検査、安全基準を通過した原発は再稼動するのだ。また、再稼動をしなければ困るなどの自治体、安倍、自民党政権の唯我独尊的な動きこそが問題にされなければならないと思います。

<毎日新聞メデイア時評>美味しんぼ

 小学館発行の漫画誌「ビッグコミックスピリッツ」の連載漫画「美味(おい)しんぼ」が物議を醸している。話題になっているのは、4月28日に発売された号で、東京電力福島第1原発を視察した主人公らが、鼻血を出すなど、体調不良を訴えるシーンだ。同誌の編集部には読者からの問い合わせが殺到し、ネット上でも大きな反響が広がった。

 作品中では鼻血が放射線の影響だと断定しているわけではない。が、作中に実在の人物として登場する井戸川克隆・前福島県双葉町長は「私も出る」「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と語っている。

 ともあれ、虚心に作品を読む限り、作者は、主人公らの体調悪化の原因が放射線の影響であることをかなり誘導的に示唆している。そして、漫画作品にとって重要なポイントは、「断定しているか否か」ではなくて、「どんな印象を与えるか」なのである。

 当作品について、4月29日の毎日新聞は、スピリッツ編集部と井戸川前町長に取材した記事を掲載している。記事の末尾に、放射線防護学を講じる2人の専門医のコメントを載せた、全体として、慎重な言い回しの文章だ。

 これに対して5月3日の東京新聞は「ニュースの追跡」欄で、「確かなのは『分からない』」と題した、「美味しんぼ」の描写を擁護する論調の記事を掲載した。

 さらに5月4日の福島民報は、Q&Aのコーナーを使って、「放射線被ばくで鼻血は出るのか」という真正面からの問いを設定している。回答者は、県の放射線健康リスク管理アドバイザーである長崎大教授の高村昇氏。回答の内容は「鼻血は種々の原因によって起こることが知られていますが、少なくとも福島県内における鼻血が放射線被ばくによるものであるとは考えられません」といういたって明快なものだ。

 三つの記事を読み比べて思うのは、震災後3年あまりを経て蓄積された放射線の知識について、新聞は、そろそろ踏み込んだ記事を書くべき時期に来ているということだ。その意味で東京新聞の記事は論外。福島民報は、作品とは別に鼻血に論点を絞った点で冷静。毎日新聞はバランスの取り方において妥当だったと評価できる。(東京本社発行紙面を基に論評)

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 ■人物略歴 おだじま・たかし    1956年東京・赤羽生まれ。早稲田大教育学部

<福島民報>

 小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」に掲載された漫画「美味(おい)しんぼ」で、東京電力福島第一原発を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出したり、登場人物が「今の福島に住んではいけない」と発言したりする描写が掲載されたことについて、県は12日、「本県への風評被害を助長するもので断固容認できず、極めて遺憾」との見解を発表し、ホームページ(HP)に反論文を掲載した。
 県はHPで「登場する特定の個人の見解が、あたかも福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない表現」と指摘。「県民をはじめ、本県を応援する方々の心情を全く顧みず、深く傷つけるもの」と懸念を表明した。
 県は4月末、小学館から「鼻血や疲労感の症状に放射線被ばくの影響が考えられるか」などの質問に回答するよう求められたことを明らかにし、7日付で小学館に対し「一般住民は(鼻血などの)急性放射線症が出るような被ばくはしていない」などと反論する申し入れを行った。世界保健機関や国連科学委員会の報告書を引用し、「将来にも被ばくによる健康影響の増加は予想されない、との影響評価が示されている」と説明。科学的知見や丁寧な調査に基づいた偏らない客観的な表現にするよう、強く申し入れた。

 <毎日新聞4月29日記事>漫画「美味しんぼ」

  小学館が28日に発売した週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」5月12、19日合併号の人気漫画「美味(おい)しんぼ」(雁屋哲作・花咲アキラ画)で、東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが鼻血を出す場面が描かれ、読者から問い合わせが相次いでいることが分かった。同誌編集部は「綿密な取材に基づき、作者の表現を尊重して掲載した」などとするコメントを発表した。

 漫画の内容は、主人公である新聞社の文化部記者の山岡士郎らが取材のために福島第1原発を見学。東京に戻った後に疲労感を訴えて鼻血を出し、井戸川克隆・前福島県双葉町長も「私も出る」「福島では同じ症状の人が大勢いる。言わないだけ」などと発言している。

 一方で、山岡を診察した医師が「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」と答える場面もある。

 同誌編集部はホームページに掲載したコメントで「鼻血や疲労感が放射線の影響によるものと断定する意図はない」「風評被害を助長する意図はない」などとしている。

 原作者の雁屋氏は今年1月、豪州在住の日本人向け情報サイトで2011年11月〜13年5月に福島第1原発の敷地内などを取材したことを明かし、「帰って夕食を食べている時に、突然鼻血が出て止まらなくなった」「同行したスタッフも鼻血と倦怠(けんたい)感に悩まされていた」などと語っていた。

 井戸川氏は28日の毎日新聞の取材に「雁屋さんから取材されて答えたことがそのまま描かれている。(描写や吹き出しの文章は)本当のことで、それ以上のコメントはない」と話した。

 「美味しんぼ」は1983年に連載開始。グルメブームの火付け役となったともされる。

 被ばくと関連ない

 野口邦和・日本大准教授(放射線防護学)の話 急性放射線障害になれば鼻血が出る可能性もあるが、その場合は血小板も減り、目や耳など体中の毛細血管から出血が続くだろう。福島第1原発を取材で見学して急性放射線障害になるほどの放射線を浴びるとは考えられず、鼻血と被ばくを関連づけるような記述があれば不正確だ。

 ストレスが影響も

立命館大の安斎育郎名誉教授(放射線防護学)の話 放射線影響学的には一度に1シーベルト以上を浴びなければ健康被害はないとされるが、心理的ストレスが免疫機能に影響を与えて鼻血や倦怠感につながることはある。福島の人たちは将来への不安感が強く、このような表現は心の重荷になるのでは。偏見や差別的感情を起こさない配慮が必要だ。