現在でも、十分に監視社会になっているにも関わらず、一層ひどい監視社会に権力機構がしようとしています。戦前の日本社会がそうであったように、政権、天皇制に批判的な人物、組織を徹底弾圧しました。その行き着く先が中国、朝鮮半島、東南アジアへの軍事侵略になりました。安倍、自民党政権が狙っていることは時代を超えた、過去の侵略的国家への改変です。そのために特定秘密保護法を最大限利用し、監視社会、権力者を批判させない社会の確立であることはあきらかです。
法案審議でマイナンバー制度のもつ危険性が指摘されました。今回、その危険性が指摘されたとおり利用されつつあります。安部、自民党政権は、法案提起時点では出来る限り、その狙いをぼかし、うその宣伝を行いながら、法制化した時点で、運用において勝手な解釈を行い、国民の弾圧に使おうしています。ナンバー制度、秘密保護の乱用を許してはならないと思います。
<信濃毎日社説>秘密保護法 適正評価 監視社会
特定秘密保護法で問われる一つに適性評価制度がある。秘密を扱える人かどうかを政府が調べ、判定する。対象は10万人規模になる見通しだ。関連業界で働く民間人を含め、多数の国民のプライバシーが侵害される危うさをはらむ調査である。
国会ではこれまで、適性評価について深い議論が行われていない。このままでは政府が自分に都合のよい仕組みを作り、運用する展開になりかねない。
通常国会の会期末まで1カ月余りしかない。適性評価の在り方をはじめ、秘密法の危険性に切り込む論戦を与野党に求める。
適性評価は、(1)スパイ・テロ活動との関係(2)犯罪歴(3)情報取り扱いの経歴(4)薬物乱用(5)精神疾患(6)飲酒の節度(7)経済的な状況―の7項目で行うことになっている。特定秘密を扱う人は個人情報が政府に把握されることを甘受しなければならない仕組みである。
「なぜ酒の飲み方まで調べるのか」。野党議員の質問に対し政府は「酒が原因で物をなくしたり、自傷行為に及んだりしたことがないかを調べる。(適性は)総合的に判断する」と答えている。関連して政府は異性関係も含めて調べる可能性にも触れている。
これまでの議論で見過ごせない一つは共通番号(マイナンバー)と結び付ける可能性だ。評価の結果をマイナンバーで整理するようなことは、よもやありますまいな―。こんな趣旨の質問に対し政府は、制度の細部を詰める中で検討する、という意味の答弁をしている。
マイナンバーはもともと税や社会保障の事務の効率化を目的とする制度である。10万人規模の個人情報が税や年金のデータと一緒に管理される可能性を政府は否定していない。秘密法は究極の監視社会を招き寄せる危険をはらむ。
精神疾患などの調査では医師の守秘義務に抵触する可能性が出てくる。政府の答弁は「本人の同意を得た上で医師に照会する」。だから問題ない、との見解だ。
医師への照会を本人が拒むことは事実上、できないだろう。強制色を帯びるのは避けられない。
適性評価の具体的な仕組みは外部の有識者が加わる情報保全諮問会議が検討することになっている。諮問会議は1月に第1回会合を開いたきり開店休業状態だ。この点からも、12月と想定される施行は認めるわけにいかない。