国民多数が求めるのは原子力発電所を稼動させずに、廃炉にすることです。しかし、安倍、自民党政権は、国民の多数が反対する原発再稼動に突き進み、電力会社、原子力産業、大手金融機関の要請を国民の要求の上におき、強行しようとしています。そもそも電力受給は安定しており、現在、原発再稼動の緊急性は全くありません。家庭も企業も節電、省エネに取り組みそのことが社会的な常識になってさえいます。安倍、自民党、電力会社にとっての利益源を確保し、利益を永続的に上げる仕組みを維持したいと言うのが彼らの本音です。
そのためには、当面の小さな障害である規制委員会の負の影響力をも排除したい。それが、安倍、菅、経済産業省の意図です。彼らにとって障害となるものはすべて、排除する。特に、政権が持っている人事権を使って政治支配を強化すると言う、露骨な介入を繰り返しています。NHK会長、経営委員への籾井、長谷川、百田の就任も然りでした。また、内閣法制局長官人事もその1つでした。本当に彼らはおろかな政治屋です。このようなことを通じて、国民に彼らの本質を非常に分かりやすく、お知らせする効果もあるからです。彼らが口と言葉で国民をどんなにずるく、だまそうとしても、このようなことにより彼らの欺瞞的な体質、政治意図、政治の私物化を証明しているからです。
彼らの思惑を政治に反映させるために人事介入することを黙って容認することは出来ないと思います。徹底してこのような政治、行政機関の公的性格を捻じ曲げ、私物化することを許してはならならないと思います。
<北海道新聞社説>原子力規制委員会人事案 撤回も視野に再検討を
原発再稼働にひた走る安倍晋三政権の露骨な人事介入と言わざるを得ない。
政府は、原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理と大島賢三委員が9月の任期満了時に退き、その後任に田中知(さとる)・東大大学院教授と石渡(いしわたり)明・東北大教授を充てる人事案を提示した。
田中氏は日本原子力学会の元会長で、「原子力ムラ」の中心にいた人物とされる。電力会社の関連団体から報酬を受けていることが判明するなど、適格性を欠くとの厳しい指摘がでている。委員は、原発推進とは明確に一線を画し、政府から独立して審査に当たるのが責務だ。田中氏の人選には重大な疑義が残る。
人事案がすんなりと同意されるなら、規制委の中立性が損なわれる。国会は、人事撤回も視野に入れ、田中氏の適否を徹底的に審議すべきだ。
規制委は現在、北海道電力泊原発など全国11原発の再稼働に向けた安全審査を進めている。東京電力福島第1原発事故の反省に基づき、科学、技術の見地から厳格な審査に徹することが使命だ。
今回の人事では、地震の想定で厳しい立場を貫いてきた島崎氏の去就が注目された。再稼働を強く求める経済界や自民党議員から批判の声が上がっていたからだ。こうした事情が退任の背景にあるなら、国民の納得など得られまい。地震の専門家である島崎氏が退くことで、審査姿勢が甘くなることへの懸念も拭えない。
規制委のメンバーに地震の専門家が不在となることも、審査のバランスを欠くことにならないか。
問題視される田中氏の経歴をさらに詳しくみてみよう。田中氏は、原子力業界団体の理事を歴任し、2011年度には東電の関連団体から50万円以上の報酬を受け取っていた。
民主党政権時代に定めた規制委の人選基準によると、就任前の直近3年間に原子力関連団体から報酬を得た人物は除外すると規定している。田中氏はこの基準に抵触する恐れがある。ルールをないがしろにしてまで田中氏を起用する政府の狙いはどこにあるのか。審査を骨抜きにして原発再稼働に道を開く意図があるなら、到底容認できない。
原子力規制に対する国民の信頼と期待を裏切らないためにも、政府は田中氏を選んだ理由について説明責任を果たさねばならない。
国会で議論を重ね、疑念が拭えないなら白紙に戻すべきだ。