「一体改革論」と消費税増税のカラクリ③
慶応義塾大学 経済学部 教授 金子勝さん
3、消費税率引き上げの問題
(1)中小業者、低所得者への対策がまったく出来ていない。現在、消費税率を引き上げる前から、中小業者への消費税率徴収方法をめぐって、課税強化が進行している(実態として)。自分(金子教授)は社会保障の改革が出来るのであれば、消費税、他の増税にも賛成するつもりであった。しかし、野田、民主党中枢は「一体改革」を投げ捨て、自公の要求を丸呑みしようとしている。これは、社会保障の切り下げを行い、消費税率だけを引き上げる暴挙だ。そして、自民党の国土強靭化計画200兆円投資、八場ダム建設、東京外環道1.3兆円投資に擦り寄っている。失敗した過去への後戻りをしている。どこに未来があるのか考えただけですぐ分かるはずである。
(2)税制は全体を見直ししなければ、整合性が取れない。
①なぜ、消費税率引き上げだけが浮上したのか。②消費税制度はなにが問題なのか。③納税証明書インボイス方式ーーーー消費税は、食料や電気・ガスなど生計費に課税する税です。公平だが、所得の低い人にも等しくかかるため、低所得者の生活には重くのしかかる税です。この逆進性を解決するには、ヨーロッパと同じようにインボイス方式を導入して、生活必需品とそれ以外に税率を分けるしかありません。インボイス方式は、課税事業者が物を売る際に、消費税額を記載した納品書を発行し、それがなければ仕入者は消費税の仕入れ税額控除ができないという制度です。売上げ側と仕入れ側の納税額は相反する為に相互チェックが働き、過大仕入れや過小売上げの計上による脱税行為が困難になり、そこがガラス貼りになります。
中小企業における事務処理の増大を理由に見送りされましたが、正確な所得を税務署に把握されたくないのが本当のところであり、大企業ともども反対しました。④定額給付は低額所得者に「やさしい制度」だ。そのこともうやむやにされている。⑤労働のアウトソーシングもひどくなる。ヨーロッパではすでに問題になっている。理由は、アウトソーシングで人件費が経費扱いとなり、大手企業には有利になるからである。正規労働者が減り、派遣社員が増える。⑥消費税の滞納者がどんどん増えている。内需業者は消費税率引き上げ分を商品価格に転嫁できない。そのために、中小企業は消費税を支払えなくなっている。日本経済はデフレ下にあり、消費税5%を転化できる企業は大手企業だけである。⑦消費税率の引き上げを今やることは、時期として、もっとも不適切な時期である。ヨーロッパの金融危機は収まっていない。ヨーロッパにおいて法人税率引き下げ、減収分を、消費税率引き上げで埋めてきた。その結果、消費税率はこれ以上引き上げできない率、領域まで上がってしまった。リーマンショックは第一ラウンドの危機、ギリシャ、欧州連合の金融危機は第二ラウンドである。ギリシャは増税もできなくなっている。⑧大手企業上位100社は輸出比率が高く、輸出品の消費税は還付されている。これは、実質的な減税となっている。⑨年金制度も崩壊する。男女が働き、掛け金を支払う。そして、年金給付を受けるような社会構造を作らないと持たない。女性が働くような社会構造を作れているかといえば、まったく出来ていない。
人気ブログランキングへ
慶応義塾大学 経済学部 教授 金子勝さん
3、消費税率引き上げの問題
(1)中小業者、低所得者への対策がまったく出来ていない。現在、消費税率を引き上げる前から、中小業者への消費税率徴収方法をめぐって、課税強化が進行している(実態として)。自分(金子教授)は社会保障の改革が出来るのであれば、消費税、他の増税にも賛成するつもりであった。しかし、野田、民主党中枢は「一体改革」を投げ捨て、自公の要求を丸呑みしようとしている。これは、社会保障の切り下げを行い、消費税率だけを引き上げる暴挙だ。そして、自民党の国土強靭化計画200兆円投資、八場ダム建設、東京外環道1.3兆円投資に擦り寄っている。失敗した過去への後戻りをしている。どこに未来があるのか考えただけですぐ分かるはずである。
(2)税制は全体を見直ししなければ、整合性が取れない。
①なぜ、消費税率引き上げだけが浮上したのか。②消費税制度はなにが問題なのか。③納税証明書インボイス方式ーーーー消費税は、食料や電気・ガスなど生計費に課税する税です。公平だが、所得の低い人にも等しくかかるため、低所得者の生活には重くのしかかる税です。この逆進性を解決するには、ヨーロッパと同じようにインボイス方式を導入して、生活必需品とそれ以外に税率を分けるしかありません。インボイス方式は、課税事業者が物を売る際に、消費税額を記載した納品書を発行し、それがなければ仕入者は消費税の仕入れ税額控除ができないという制度です。売上げ側と仕入れ側の納税額は相反する為に相互チェックが働き、過大仕入れや過小売上げの計上による脱税行為が困難になり、そこがガラス貼りになります。
中小企業における事務処理の増大を理由に見送りされましたが、正確な所得を税務署に把握されたくないのが本当のところであり、大企業ともども反対しました。④定額給付は低額所得者に「やさしい制度」だ。そのこともうやむやにされている。⑤労働のアウトソーシングもひどくなる。ヨーロッパではすでに問題になっている。理由は、アウトソーシングで人件費が経費扱いとなり、大手企業には有利になるからである。正規労働者が減り、派遣社員が増える。⑥消費税の滞納者がどんどん増えている。内需業者は消費税率引き上げ分を商品価格に転嫁できない。そのために、中小企業は消費税を支払えなくなっている。日本経済はデフレ下にあり、消費税5%を転化できる企業は大手企業だけである。⑦消費税率の引き上げを今やることは、時期として、もっとも不適切な時期である。ヨーロッパの金融危機は収まっていない。ヨーロッパにおいて法人税率引き下げ、減収分を、消費税率引き上げで埋めてきた。その結果、消費税率はこれ以上引き上げできない率、領域まで上がってしまった。リーマンショックは第一ラウンドの危機、ギリシャ、欧州連合の金融危機は第二ラウンドである。ギリシャは増税もできなくなっている。⑧大手企業上位100社は輸出比率が高く、輸出品の消費税は還付されている。これは、実質的な減税となっている。⑨年金制度も崩壊する。男女が働き、掛け金を支払う。そして、年金給付を受けるような社会構造を作らないと持たない。女性が働くような社会構造を作れているかといえば、まったく出来ていない。
![](http://image.with2.net/img/banner/banner_22.gif)