<北海道新聞の報道> 

安倍晋三首相に近い自民党若手議員の憲法改正を推進する25日の勉強会で、「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい」などと、安全保障関連法案をめぐり報道機関を批判する意見が相次いだ問題には道内からも26日、反発する声が相次いだ。

 「貧しい発想で理解できない」。札幌在住のジャーナリストで元朝日新聞東京本社編集局長の外岡秀俊さん(62)は自民党議員の発言に首をかしげ、「本来、政治家は報道を通し、国民の声に謙虚であるべきなのに、自分たちに批判的な意見に耳を傾けようとしていない」とみる。 

 室蘭工大の清末愛砂(きよすえあいさ)准教授(憲法学)は「広告料というお金の問題をちらつかせ、間接的に表現の自由を奪おうとするやり口は許せない」と指摘する。

 沖縄県の地元紙2社については、出席議員から政府に批判的だと不満が出たほか、作家の百田尚樹氏(59)が「つぶさないといけない」などと言ったことが波紋を広げた。札幌市中央区で居酒屋を経営する洲鎌(すがま)亨さん(51)=沖縄出身=は「自民党議員は政権に都合のいい意見ばかりを取り入れ、建設的な議論ができていない」とあきれる。

 沖縄出身者でつくる北海道沖縄クラブ(札幌)の八木政明会長(74)は「読者の県民をも侮辱した」と強調。太平洋戦争の沖縄戦の遺族でつくる北海道沖縄会の阿部忠蔵副会長(77)は「先の大戦は国民の言論を封殺して始まった。民主主義国家とは思えない発言で驚く」と話した。