日曜日母の23回忌の早朝、妻が前夜整えてくれた黒い服に着替える、久し振りのせいか、或は体力が衰えたのか、普段の服装とこんなにも違う、Wの服がズッシリと肩に重い、9時前狭い玄関で、これも前夜妻が用意して出してくれた黒い靴、ピカピカに光って妻の靴と2足、揃えて有った。
先に、前こごみで玄関にしゃがんで、結び紐無しの靴を右、左と、傍らにぶら下っている長靴べらを中腰で使い乍ら、やおら立ち上がった。その時妻が「お父さんは良いね~、チャンと靴が出てるもんね・・・」私、無言で妻に向き合う・・一言が「有難う御座います、感謝してます、感謝!」そして私は声を荒げて「それを云っちゃあ、お終いよ、言うな!」妻「無言・・・」一瞬気まずい雰囲気が出掛けの玄関に漂う・・今日が法事の日で良かった、誰かの結婚式に呼ばれて出掛ける場面なら、一日後味が悪いだろうと思い直し、揃って家を出た。常盤平駅まで時間を気にしながら歩く、そうだ星形住宅のイチョウ紅葉、妻に見せてやりたい、建物の写真も撮りたいと、でも「又時間が?」と言われそうなので、黙って通り過ぎて駅へ向かう私で有った。娘達夫婦は広島からホテル2泊の旅で上京してくる。大分弱った施主長兄と下の兄弟達とも会える、体調はそれ程悪くない、久し振りに好きなビールも口にして見るか、北千住までアッと言う間に着いた二人だった。