半年前に亡くなった息子さんを偲んで毎日陰膳を供えているそうだ・・
息子さんが好きだったお寿司も息子と自分の二人分を買って来て仏壇に上げるそうだが、この夏の暑さでは仏様のお寿司は直ぐ駄目になってしまうので・・
「勿体無いけど捨てざるを得ない・・」とこの足の速さにはS君も困っている様子・・
「家では仏壇はないけど、ご先祖様に奥様が自分の分をお供えして、拝んで、ほんの一二分したらお下げして普通に戴くようにしてるよ・・いつからって昔からそうしてるよな~・・」
S君の居間には立派なお仏壇が飾って有って常日頃仏様に供養するS君の気持ちは私達の軽い気持ち(少なくとも私は軽くて薄い信仰心しか持っていないようです)とは余りに差があり過ぎるようですが・・
然し、S君は「そうですね~うちも今度からそうしよう・・」と素直に頷いてくれました。
お寿司を腐らせては「勿体ない」神様仏様に「勿体ない」と自ずと意味は違いますが・・
お寿司の話から「買い物は西友へ?」「え~アチコチ自転車で行きますが・・西友が多いですね~・・カートは初めは恥ずかしかったけど、今はもう慣れて・・ショッピングカートは杖代わりなんですよ・・私にとっては自転車も杖代わりで押して歩くし、カートも杖代わりで寄りかかって押して歩くから・・」
「成程、そう言えばこの頃西友でも、カスミ(南柏のスーパー)でも店内でカートを利用するお客さんが増えたね~・・」
西友では比較的に店内通路が広いようなので気にならなかったけど、カスミスーパー店内の通路は少々狭くて混雑する夕方などは、買い物に訪れるお客同士知り合いに出会うとカートを前に、或は横に店内で立ち話に夢中で他のお客さんは大迷惑・・
通路は塞がれて止む無く迂回を余儀なくされる・・
オマケにショッピングカート利用のお客様はカートを前向きに自分の目は左右上下の棚の品物に視線はアチコチウロウロして定まらない・・ぶつかりそうになって「アッっどうもスイマセン」
車だったら、わき見運転で事故続発の筈なのだが・・
今迄、私は一人でカスミに買い物に行って「ショッピングカートで纏まった買い物をする人には、お客にも、お店の売り上げアップにも必要な物、然し人の通り道を塞いでしまって何て邪魔なんだろう」と思っていたのだが・・
S君の杖代わりの話で少し考えを改めたのです・・
そう言えば、スーパーの店内で杖をついている人を殆ど見かけない・・
車椅子の人は付き添いの人と一緒に買い物を楽しんでいるし・・
振り返って「普通に歩いて買い物を楽しめる自分は幸せ」と・・
「アレッ又プリン?・・」
「そうなの・・上のTさんが又お隣に来て、この間は迷惑をかけたから・・Uさん断っても置いて帰ったそうよ・・」
「気の毒にな~・・洗濯機の洪水に余程ショックだったんだろう・・いっそ生協の仲間に入れてあげたら?・・」
私の提案に妻は一言「それはダメみたい・・」年寄りでも女同士暮し向きは夫々違うようなのです。
プリン美味しかった・・ゴチソウサマ
S君がメダカを飼っていると聞いて驚いた・・
何故って?いつだったかS君と同じく1階に住んでいる直ぐ隣の住民が、自分のベランダとその前のスペース(本来は団地内の芝生なのだが)に大きな四角い水槽を幾つも並べてメダカを飼って・・
噂では副業としてメダカを販売して・・これも噂では良い商売をしている等と・・
事実芝生の上に「めだか」の幟迄立てて・・
「コレはチョッとやり過ぎでない?」と憂慮していたら・・
流石に1週間で幟は隅の方に片付けられていたが・・
今回、隣に住んでるS君からこの顛末を聞けて納得したのです・・
誰かが苦情を市役所支所に申し入れたか、或る日市役所の人が現場へ来て厳重に注意して以後自粛営業?にしたらしいのですが・・
ここが団地内で無ければ良かったのでしょうが、メダカに夢中になって商売にしてまで広げるとは矢張りルール違反をしてはいけません。
団地内のトラブルも住民同士だと、どうしてもしこりが残ったり、後で恨みをかって事件発生ともなりかねません・・
例の3人姉妹の引っ越しみたいに、残念な結末になる事もありますから・・
移動させられた水槽は同じメダカ仲間の駐車場管理人の車庫脇に・・
暑い日差しが降り注ぐ緑色の水槽の中、何も知らずにメダカ達、スイっスイっと泳ぐ姿が見られます。
ところでS君のメダカ・・ホームセンターで1匹50円消費税込み54円で20匹買って来て水槽で飼い始めたのが「ドンドン殖えて今じゃ三つの水槽に200匹はいるだろう」と嬉しそうに、まるで自分の子供が増えたみたいに喜んで・・
「メダカじゃそんなに餌も食わないで懐にも響かないだろう・・」「・・でも四日に一袋も餌が・・」そうかお互い年金暮らしです・・
一人暮らしのS君にとってはメダカ飼育が最高の趣味と云えるのかも知れません。
偶然にも今朝NHKTVでメダカの展示が栃木県なかがわ水游館から放映されていたのを見て、あの小さなメダカでも100種類も有ると聞いて・・S君の様な楽しみ方が理想的なのかな~と思った次第です。
私の趣味は何も無し・・ここの処散歩が趣味になればと頑張っているのですが3日坊主になりかねませんね・・
散歩の途中で妻に電話を「サボテンのとんかつ食いたいのだけど、買っていい?・・」暫らく間が有って「とんかつだけなら・・」
二人だけのお盆13日「とんかつだけよ」と念を押されたのは正解、完食したのは奥様自慢?のキャベツだけでした。ゴチソウサマ
両膝にサポートをしたS君が我が家の壁に寄りかかるように「寄っコラショ」と口には出さないが・・傍目にはきつそうだが本人は至って明るく元気に様子に先ずは「ホッと・・」一息。
私より小柄なS君は68kgの体重を医者から「5kg減らせ」と云われて見事にクリアして先ずは現状に満足の体?・・
「薬を飲んでるんです10種類、昼に5種類、寝しなに2種類・・」「えっそんなに?・・何で?」
「糖尿があるんで・・それと血圧、関節痛・・尿も出にくい・・便秘も・・下剤を毎日飲んでる・・」未だその他にも病名が出て来そうなので、取り敢ず自分に関心がある便秘について「下剤毎日飲んで平気なの?・・」「毎日出るから大丈夫です」
聞けば下剤を飲まないと直ぐ下腹が痛くなって、とても我慢出来なくなる・・それよりオシッコが出なくて困っている・・」何れにしてもS君の体は何だか大変のようだ・・
傍から妻が「お父さんは今牛蒡茶を飲んでいるいるけど・・良いみたいよ・・」
然しS君の便秘のレベルは可成り高いようで・・牛蒡茶には全く反応は無い・・
さっきからTVは高校野球が映っていたがS君の声が大きく、立て続けに話し続けるので野球そっちのけでクスリと病気と体調の話が面白い?から私達夫婦は只々聞き入るバカリ・・
何処からか電話が掛かってきた・・向こうで妻が話している・・
「私のとこへも良く変な電話が掛かって来るんですよ・・でも話し出すと直ぐ切れちゃうんです、どうやら爺さんでは無いと向こうで思っちゃうみたい・・」とS君は言うのだ。
声だけで詐欺師撃退とは恐れ入った話だ・・
かれこれ1時間余りs君の話は尽きない・・自分の飼い始めたメダカの話、スーパーのカートの話、ブルーベリーの話・・S君の話に大半は「へ~そんなことが?・・」「そうね~・・」「ウン尤もだ・・」と相槌を打つ二人でした。
沢山の病名を持ち、沢山の薬を服用していても、大儀そうな体でS君は久々に我々との会話を楽しんだか?来た時より更に元気になって・・
帰りきわ「私だけ喋っちゃって、申し訳け無かったです」と明るいS君。
玄関でドアの位置に戸惑って再び苦笑いのS君ですが、慣れない下り階段を手摺り頼りに一段一段慎重に降りていきましたが・・
フッと気が付いたら、元気を貰ったのは私達夫婦の方でした。
折角ですから、次はメダカか、スーパーのカートの話をしようと思いますが・・
向かいの棟1階にS君はいる。
団地住まいは私達と同じ位の長さで、S君は私より5歳位年下かな・・
昔亡くなった奥様と私の妻が女同士団地仲間で付き合っていた頃からの縁で・・
S君が赤帽ドライバーの仕事をしていた頃、私の仕事に巻き込んでしまって年上の私の仕事を10年程手伝って貰った時期も有った・・
その後、年上の奥様を亡くし、3年前には唯一の息子さんが脳梗塞で倒れ、永い看病生活の末に半年ほど前に亡くなられて・・
亡くなられた息子さんの葬儀には身内だけでする手筈で・・いや息子さんが病院で亡くなられたのを団地内で他の誰にも知らせずにいたらしいのだが・・
隣り棟2階の私の妻が気配を知って・・
団地近くの葬儀場で行われた身内だけの葬儀にも私達夫婦だけが参列して・・
その後、一人暮らしのS君・・
時々窓越しに自転車で買い物に出掛けたりする姿を見掛けて・・
「Sくん元気のようだな~」「あ~そうみたいね~」と安心したり・・
散歩の途中でバッタリ出会えば・・「自転車で買い物?・・変わりない?・・」「え~何とか・・リハビリ行ったり・・でもしんどいですわ・・アチコチ膝も痛くて・・ゆっくりゆっくりですわ・・」「ま~お互い元気で・・」
男同士だと何も会話が続かない?でも毎日元気で過ごしている事の確認ができて・・
帰ってから「S君に会ったよ・・ウン元気そうだった・・」「良かったね~、私もここ何日もお家に気配が無かったり、夜灯りが点いていなかったりで心配していたのよ・・良かった・・」
そのS君が四日ほど前の午後突然我が家に来てくれたのです。
団地の狭い玄関先で
「田舎から野菜を送られて来たんだけど・・とても食べきれない量なのでお裾分けに・・それと家で採れたブルーベリーも少しだけど・・」
S君の大きな声で玄関に出た私「ま~上がれや・・」妻も「そうよ折角来たのだから上がってよ・・」「でも~・・・そうですか・・それじゃチョッとだけ・・」躊躇するS君を無理やり座敷の方へ促した私ですが・・
振り返ってドアを閉めようとして・・何故かモタモタ?「家と反対にノブが付いているから・・」そうか部屋の構造が反対になっているのだ・・S君の家は入り口の左側に・・我が家は右側に・・ノブもドアも屋内の部屋位置も大きさは同じでも全て逆になっている・・
戸惑うS君は苦笑い、私達も大笑い「成程ね~・・」
他人様の家に訪問するのも、訪問されるのも滅多にない団地の人々ですが・・
さて、膝の悪いらしいS君を6畳の座敷に招き入れた私達ですが・・・・
「もう1回分有るかな・・」「そうか昨日ブルーベリー買って来なかったので助かったな~」ゴチソウサマ