立花隆は巨大な山だ。哲学、政治、脳、宇宙、生命科学、歴史、音楽…。
新書にしては分厚い(415P)、さぞかし難解な本だろう、と思っていたのですが…
むさぼり読んで書いた膨大な仕事と、その人生を初めて語った。
僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと
新書にしては分厚い(415P)、さぞかし難解な本だろう、と思っていたのですが…
安保闘争、「田中角栄研究」、ロッキード裁判批判との闘い、脳死、言論の自由、旅、死ぬこと、、疑問に思うこともありましたが、興味深く読みました。
◼️人は無数の小さな旅の集積体
人間の肉体は、結局、その人が過去に食べたもので構成されているように、人間の知性は、その人の脳が過去に食べた知的食物によって構成されているのだし、人間の感性は、その人のハートが過去に食べた感性の食物によって構成されているのです。
すべての人の現在は、結局、その人が過去に経験したことの集大成としてある。その人がかつて読んだり、見たり、聞いたりして、考え、感じたすべてのこと、誰かと交わした印象深い会話のすべて、心の中で自問自答したことのすべてが、その人のもっとも本質的な現存在を構成する。考えたすえに、あるいは深い考えもなしにしたすべての行動、その行動から得られた結末について反省と省察を加えたすべて、あるいは獲得されたさまざまの反射反応が、その人の行動パターンをつくっていく。
人間存在をこのようなものとしてとらえるとき、その人のすべての形成要因としての旅のもつ意味の大きさがわかります。
…さまざまな分野に広がっていく「知的な旅」でもありました。
…小さな変化の集積体として常住不断の変化をとげつつある存在といってよいでしょう。