Tさんのブログで紹介されていた本です。
「捨てていく」という言葉と「松谷みよ子」さんに惹かれて読んでみました。
松谷みよ子さんといえば、竜の子太郎など、民話の採集で有名な人です。
そして今でも大ベストセラーの0歳児のための絵本『いないいないばぁ』を書いた人でもあります。
その松谷さんの壮絶な私生活を小説として書いたのが『小説・捨てていく話』。
あまりにも文章が巧くて引き込まれまてしまいました。
『ひとりでおひるをすませると片づけて、掌に載るほどの童話を書きました。家には4歳の娘が待っていて、毎晩寝る前に読んでやるのです。一つでは足りなくて、二つ、三つとせがむのです。』
『踏んで歩かれましたから』
『おうおうと風が渡っていくように、泣く声がひびくのです。』
『軍歌は嫌いです。嫌いなのに否応なくあの時代へ私を連れ戻します。』
『そして変革の時代、乱世の時代を貧しくはありましたが手を携え、夢に向かって生きてきたと思うのです。となれば同志愛というべきか。捨てきれずかかえてきたもの』