小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

厚労省のコロナ対策がしっちゃかめっちゃかになった理由

2021-07-14 00:12:26 | Weblog
私はファイザー社製の新型コロナ・ワクチン集団接種(市町村単位での接種。東京都23区のみ区単位)を2回受けて、すでに1か月経つ。2回目の接種を受けた際、問診医に「通常生活にはいつ戻れるのか」と聞いた。が、問診医の返事は冷たかった。
「当分戻れません。ワクチンを接種する前と同様の感染対策を続けてください」
そんな馬鹿な、と思ったが、接種を受ける人が行列を作って待っているなかで理由の説明など聞いて「流れ作業」の妨害をしてはまずいと思い、とりあえず理由はあとで調べることにした。

●一般のワクチンと新型コロナ・ワクチンはどう違う?
まず厚労省のホームページで「ワクチンの効果」について調べた。こういう記載があった。
「ワクチンを接種することにより、多くの方は免疫を獲得できます。ただし、ワクチンの種類によって効果(免疫がつく)が得られる割合は異なります。またワクチンの種類によって、獲得した免疫が薄れていくまでの期間は異なります」
ワクチンを接種することによって「多くの方は免疫を獲得できます」と、間違いなく記載されている。ただし、「「多くの方は」と記載されているように、まれに免疫を獲得できないケースもあることは私も一般常識として知っていた。たとえば最も身近な「インフルエンザ・ワクチン」。私の場合はインフルエンザ・ワクチンを接種した場合、インフルエンザに罹ったことは一度もない。アレルギー体質でもないし、ワクチンの効果が生じない特異な基礎疾患を持っているわけでもない。なのに、なぜ新型コロナ・ワクチンを接種しても従前と変わらない感染対策を取る必要があるのか?
で、今度はやはり厚労省のホームページで「新型コロナ・ワクチン」の効果について調べてみた。こういう記載があった。

「日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、いずれも、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています。効果の持続期間や、感染を予防する効果についても、時間の経過や接種者数の増加に伴い、研究が進んでいます。
日本では現在、ファイザー社、武田/モデルナ社、及びアストラゼネカ社のワクチンが薬事承認されており、うち、ファイザー社と武田/モデルナ社のワクチンが、予防接種法における接種の対象となっています。
いずれのワクチンも、薬事承認前に、海外で発症予防効果を確認するための臨床試験が実施されており、ファイザー社のワクチンでは約95%、武田/モデルナ社のワクチンでは約94%の発症予防効果が確認されています。
重症化予防効果については、薬事承認前に行われた臨床試験では症例数が十分ではなく解釈に注意が必要ですが、実施された臨床試験や、承認後に実際に接種された人の情報を集めた研究等から、これらのワクチンの重症化予防効果を示唆する結果が報告されており、効果が期待されています。
感染を予防する効果については、ファイザー社、武田/モデルナ社、いずれも承認前の臨床試験では確認されていませんが、現在、多くの国又は地域でこれらのワクチンの接種が進められることでデータが蓄積されつつあります。一部の国で実施された研究では、ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者(有症者・無症候性感染者のいずれも)の発生が少ないことを示唆する結果が報告されています。なお、これらのデータは臨床試験と異なり、同じ条件の対照群を置くことが困難なこと等から、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことに注意して解釈し、今後の様々な研究結果を見ていく必要があります。また、ワクチンの発症予防効果は100%ではないことを踏まえると、接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要です」

●なぜ新型コロナ・ワクチンには免疫効果がないのか
なるほど、一般のワクチンには「免疫」をつくる効果があるが、新型コロナ・ワクチンは「発症を予防する高い効果」があり、「重症化を予防する効果が期待されている」だけなのだ。ただし、「感染を予防する効果についても、(中略)研究が進んでいます」との記載もある。
が、実際どの程度感染予防効果があるのかの研究(具体的にはコロナ・ワクチンを接種すれば免疫=抗体ができたか否かの検査をすれば簡単に証明できるはず)が行われているとの発表もないし、本当に研究が行われているのかの疑問さえ持たざるを得ない。
が、実は海外では感染予防効果の研究もかなり行われているようだ。たとえばイギリスとともにワクチン接種率が最高レベルにあるイスラエルでは、性別・年齢・基礎疾患の有無などでの調査研究が行われ、ファイザー製のワクチンに関しては個別の条件にかかわらず、すべて90%以上の高い予防効果を示したようだ。「ようだ」と書いたのは、このデータの信ぴょう性が極めて疑わしいと思えるからだ。
このデータは6月30日、忽部賢志(くつなさとし)氏(国立国際医療研究センター 感染症専門医 大阪大学教授)が厚労省のホームページに発表した論文で紹介されているが、どういう調査研究方法なのかは不明である。忽部氏はそもそも、論文が厚労省のホームページに掲載されるほどの感染症の権威者である。イスラエルが発表したデータ(研究機関も調査研究方法も明らかでない)を、いくら権威者と言っても厚労省がよくホームページに掲載したなと思う。忽部氏は出所や調査研究方法不明のデータを根拠に論文でこう述べている。

「当初、mRNAワクチン(※ファイザー社やモデルナ社が開発したコロナ・ワクチンのタイプ)は「発症を防ぐ」のであって感染そのものを防ぐかどうかは分かっていない、と言われていましたが、感染を防ぐ効果も分かってきました。
発症を防ぐことと、感染を防ぐことと、別に本人にとっては同じで何が違うのか、あまり大差ないのではと思われるかもしれませんが、ワクチン接種者が感染しにくくなる、ということは、接種者がその周りの人に感染を広げる可能性が低くなる、ということです」

少なくともイスラエルの研究結果のデータを根拠に論文を書くのであれば、どの研究機関なのか(例えば研究所名なり大学名なり)、どういう方法(例えばPCR検査なのか抗体検査なのか、ちょっとほかの信頼しうる調査方法は考えにくい)で調べたのかくらいは明らかにすべきだろう。それを明らかにできないとなれば、忽部氏がでっち上げたデータと言われても仕方あるまい。
実は、私は何度も厚労省コロナコールセンターやワクチンコールセンターに電話をして確認しているが、厚労省は少なくとも現時点でワクチンに感染防止の効果があることは認めていない。にもかかわらず、にわかには信じがたいイスラエルの研究結果とやらを根拠にした論文をホームページに厚労省はなぜ掲載したのか。
 私は、ワクチン2回接種して2~3週間以降に抗体検査をすれば、抗体ができたかどうかで感染予防効果がほぼ100%に近い確率でわかるはずと思う。
が、簡単には抗体検査ができない。抗体検査をしているクリニックが少ないし、検査費用が約2万円もかかる(ネット調査)。コロナ・ワクチン接種のように無料にしろとまでは言わないが、せめて保険適用で検査が受けられるようにすれば検査件数が急増し、検査費用もインフルエンザ検査費用程度に抑えられるのではないかと思う。
政府は今月26日から海外渡航者に限ってワクチン予防接種証明書を発行するようだが、抗体検査をして免疫力を持っているという証明書を出す方がはるかに証明書としての効力も高いはずだ。だいいち「予防」というが、厚労省の認識としては「コロナ・ワクチンは感染予防のワクチンではない」という公式見解がある。そうすると、なにを「予防」するのか。「ワクチンを接種しても感染は防げないが、自分が感染しても、そのウイルスを他人に感染させることはない」とでも言うのか。そんな馬鹿なことはありえない。

●なぜコロナ・ワクチンが承認されたのか?
少なくとも厚労省が認めているコロナ・ワクチンの効果は「感染しても発症を抑える効果、重症化を抑える効果」だけである。これは厚労省が承認したワクチン(ファイザー・モデルナ・アストラゼネカの3種)のすべてに共通した承認基準である。
すでに述べたように、厚労省の定義によれば、ワクチンとは「ワクチンを接種することにより、多くの方は免疫を獲得できます。ただし、ワクチンの種類によって効果(免疫がつく)が得られる割合は異なります。またワクチンの種類によって、獲得した免疫が薄れていくまでの期間は異なります」という性質を持っていなければならない。
が、コロナ・ワクチンに関していえば、「多くの方は免疫を獲得」する効果はないとしている。せいぜい、コロナに感染したのち、発送を抑えたり、重症化を抑える効果しか確認されていない。とすれば「コロナ・ワクチン」と称しているものは免疫(抗体)をつくるためのワクチンの本質的効果ではなく、感染後の「治療薬」に近い薬効が承認の基準になったと考えたほうが正しいのではないか。
これはどういうことか。この本質的矛盾に、どうして誰も気づかないのか。NHKにも何度か、この大矛盾を伝えているのだが、理解できる能力を持った記者が一人もいないのかもしれない。

では、なぜ厚労省は「ワクチン」として承認したのか。
しつこいようだが、ファイザー社製をはじめ、いま厚労省が承認しているコロナ・ワクチンの効果は「感染しても発症を抑える効果と重症化を抑える効果」だけである。コロナ・ウイルスを予防する効果については「研究中」と公表しているだけだ。何を根拠に忽部氏の根拠不明の論文を厚労省はホームページに掲載したのか。
当然、何らかの政治的意図があってのこと、と考えざるを得ない。おそらくオリンピック・リスクを乗り切るためと考えられる。
オリンピック開催まで10日を切った。いまさら中止はできない。が、私はかなりの確率でクラスターが発生すると信じている。クラスター発生のリスクが最も高いのは選手村だ。組織委は選手村への選手の入村は競技5日前以降で、競技終了2日後には退村させるという。さらに選手たちには毎日PCR検査を受けさせるという。そこまで厳しい措置をとるということは、感染選手の入村を前提にしているからだ。つまり水際対策では感染者の入国を防げないことが分かっているからだ。実際、たった9人のウガンダ選手団の水際対策の失敗で弱点が露呈した。
さあ、どうするニッポン。

【追記】 18日のTBS『サンデーモーニング』によれば、イスラエル保健省が、「ファイザー社製ワクチンの感染予防率は64%」と公表したようだ。厚労省がホームページに掲載した忽部氏が「予防効果がある」とした根拠の「イスラエル」のデータは、私が危惧したように、完全なでっち上げ、ねつ造であることが判明した。厚労省はホームページから直ちに忽部論文を削除するとともに謝罪を表明すべきである。もちろん忽部氏の公職は直ちに罷免すべきは当然、厚労省の責任者の処分も免れえない。(18日)





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