名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

升田将棋研究(293);相振り飛車(大野源一)

2023-03-21 | 升田将棋研究

今日の棋譜20230321

1955年9月、大野源一先生と王将戦です。

76歩34歩56歩54歩。古い棋譜でもこういう先後同型はたまにあるのですが、たいていは落ち着いた展開になります。でも

22角成同飛53角。この手順は大野流向い飛車と言われますが、後手を持っているのは升田先生です。大野先生が76歩34歩56歩としたのは、大野流向い飛車にしたかったわけなのでしたが、升田先生がまねをしたら、反対を持つことになった、という流れです。

本譜は57にも空間があるので、後手も57角と打ち込んで馬の作り合いです。大野先生は居飛車もあったのですが中飛車に。この当時の相振り飛車はかなり珍しいです。

馬を作り合い

玉を囲うことになります。升田先生は美濃囲いを選択しました。

大野先生は居玉のまま向い飛車に。手損がばからしいと思うのですが。

8筋の歩を交換して馬は57へ。

2筋は38金で受けておきます。仕方がないけれど、玉を囲いにくくなったとしか思えませんが。

互いに左銀を繰り出しますが、先手の88飛は後手の33馬の射程に入っているのが嫌なところです。作戦負けでしょう。

飛は5筋で向かい合いました。

駒組がほぼ終わっている升田先生から動きます。

銀を交換して66銀と打たせ、ポイントを稼ぎます。

44馬47馬64金。飛をぶつけて交換して来いと。大野先生は居玉なのですから、56歩を打って駒組に戻りたいところなのですが、後手から87銀~76銀成も見えるから、おとなしくしてはいられなかったのでしょう。

52飛成同金に84歩

84同歩94歩同歩同香。なるほど端の位も8筋の歩交換も生かした手順でした。94同香92飛71玉94飛成となれば形勢互角くらいです。

93歩と受けられて53歩。香を取られる前に攻めるしかありません。

53同馬22飛。桂取りですがそれほど厳しくはないです。51飛の受けは升田流。駒得になるだろうからゆっくり指そうと。

49玉14歩が入って、大野先生は65桂。これがどれだけ厳しいかですが、65桂よりは65銀とぶつけたいところではないでしょうか。

44馬32飛成33馬。25飛成と引き上げても仕方なかったのですが、竜を殺されました。

33同竜同桂53桂成。これは軽い攻め方で

53同金42角52飛33角成。桂をさばいて馬を作りました。でも後手の左桂をさばかせたことにもなります。

89飛11馬56銀。ちょっとだけ駒得になったけれど、先手玉が危ないです。

56同馬69飛成48玉

44桂34馬49金まで。

 

大野流の向い飛車は、馬を作らせて、代わりに手得を生かして指す作戦です。その馬をねらって動けるかどうかが優劣を決めます。本譜は馬の作り合いなので互角のはずですが、大野先生が玉を囲わずに攻めようとしたのが失敗でした。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.60 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/09/28(水) 00:00:00
棋戦:王将戦
戦型:相振飛車
手合割:平手  
先手:大野源一
後手:升田幸三
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 3四歩(33)  
   3 5六歩(57)  
   4 5四歩(53)  
   5 2二角成(88)
   6 同 飛(82)  
   7 5三角打    
   8 5七角打    
   9 5八飛(28)  
  10 2四角成(57)
  11 7五角成(53)
  12 3三馬(24)  
  13 8八銀(79)  
  14 7二銀(71)  
  15 7七銀(88)  
  16 6二玉(51)  
  17 8六歩(87)  
  18 4二銀(31)  
  19 8五歩(86)  
  20 7一玉(62)  
  21 8八飛(58)  
  22 8二玉(71)  
  23 9六歩(97)  
  24 2四歩(23)  
  25 8四歩(85)  
  26 同 歩(83)  
  27 同 馬(75)  
  28 8三歩打    
  29 5七馬(84)  
  30 2五歩(24)  
  31 3八金(49)  
  32 5三銀(42)  
  33 9五歩(96)  
  34 6四銀(53)  
  35 6六銀(77)  
  36 5二飛(22)  
  37 5八飛(88)  
  38 4二金(41)  
  39 7七桂(89)  
  40 5三金(42)  
  41 4六歩(47)  
  42 5五歩(54)  
  43 同 歩(56)  
  44 同 銀(64)  
  45 同 銀(66)  
  46 同 馬(33)  
  47 6六銀打    
  48 4四馬(55)  
  49 4七馬(57)  
  50 6四金(53)  
  51 5二飛成(58)
  52 同 金(61)  
  53 8四歩打    
  54 同 歩(83)  
  55 9四歩(95)  
  56 同 歩(93)  
  57 同 香(99)  
  58 9三歩打    
  59 5三歩打    
  60 同 馬(44)  
  61 2二飛打    
  62 5一飛打    
  63 4九玉(59)  
  64 1四歩(13)  
  65 6五桂(77)  
  66 4四馬(53)  
  67 3二飛成(22)
  68 3三馬(44)  
  69 同 龍(32)  
  70 同 桂(21)  
  71 5三桂成(65)
  72 同 金(52)  
  73 4二角打    
  74 5二飛(51)  
  75 3三角成(42)
  76 8九飛打    
  77 1一馬(33)  
  78 5六銀打    
  79 同 馬(47)  
  80 6九飛成(89)
  81 4八玉(49)  
  82 4四桂打    
  83 3四馬(56)  
  84 4九金打    
  85 投了        
まで84手で後手の勝ち

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升田将棋問題集20230320

2023-03-20 | 升田将棋研究

先手番升田先生の手を考えます。

第1問

 

ここで仕掛けます。(直前は79角を57へ、後手は73角を84へ)手の流れから考えると

A 24歩  B 34歩  C 45歩

 

第2問

 

王手の受け方は?

A 67歩  B 88玉  C 69玉

 

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升田将棋研究(292);相矢倉(五十嵐豊一)

2023-03-20 | 升田将棋研究

今日の棋譜20230320

1955年9月、五十嵐豊一先生と順位戦です。

升田先生の先手で矢倉です。

56歩と64歩の対抗で

升田先生は棒銀に。相矢倉(急戦矢倉)の棒銀も指されるようになりました。

15銀ではなくて35歩のほう。後手が銀矢倉にしなかったからでしょうか。

35同歩同銀42角。いつでも24歩から角銀の総交換は出来そうです。先手有利まではいきませんが、自然な攻めでしょう。

升田先生は67金左~78玉と囲います。これも土居矢倉というのか? 

73角に46歩。角を交換することは無くなったようです。

角を57と84に移動し合ったところで、升田先生は45歩から攻めます。

45同歩37桂34歩

24歩同歩同銀同銀同角。攻めの銀を守りの銀と交換したので、玉の堅さが違います。あとは右桂を使えば先手が良くなりそうなところですが。

23歩に15角。

14歩26角35銀。これで後手は駒得になるのですが、使えていない駒が多いので、もっとゆっくり指すのが本筋だったのでしょう。(44銀~54銀とか)

35同角同歩45桂。駒損でも攻め駒は4枚、先手有利に見えます。相矢倉は駒損でも有利になることが多い戦型なのです。

65歩に33歩の攻め合い。もちろん先手の攻めのほうが厳しいです。

33同桂同桂成同金寄45桂66歩68金引。先手玉がもう少し堅ければ楽勝ですが。

五十嵐先生の34角は攻防の手で、33桂成同金43歩。この対応は悩ましくて、43同金44歩は嫌だけど、42歩の受けか

本譜の41歩の受けか。いずれにせよ後手玉が狭くなってしまいました。駒得もほとんどなくなったし、先手有利になっていそうです。升田先生は55銀を打って足場を作りました。56角と出られるのが嫌なので、55金ならば手堅かったのですが。

65桂44銀打。65桂は持ち駒を打ったので(81桂を使ったのではないので)、やはり(感覚的には)先手が良さそうです。

44同金同銀56角。この後手の攻めがどれだけ厳しいかですが、

69玉57桂打79玉。77桂成同金の形は詰めろがかかりにくいです。78銀同金69銀と1枚捨てれば別ですが。後手玉は詰まないけれど、銀を渡して42銀からの詰み筋もちらつきます。

ということで飛を使う攻防の手っぽい51角を選びましたが、33歩を打たれて、詰めろではないけれど32金から飛を取られる手が見えています。

22玉66銀まで。銀に逃げられてはだめか。

 

旧型と言ってよいでしょうか(歴史的には56歩54歩を突く矢倉のほうが早そうです)、46歩や64歩を突く矢倉は駒組に手がかかるので作戦負けになりやすいです。それでも銀矢倉にした方が受けやすかったのでしょう。最後まで63銀が遊んでしまいました。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.60 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/09/24(土) 00:00:00
棋戦:順位戦
戦型:矢倉
手合割:平手  
先手:升田幸三
後手:五十嵐豊一
後手省略名:五十嵐
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 8四歩(83)  
   3 6八銀(79)  
   4 3四歩(33)  
   5 7七銀(68)  
   6 6二銀(71)  
   7 2六歩(27)  
   8 4二銀(31)  
   9 4八銀(39)  
  10 3二金(41)  
  11 5六歩(57)  
  12 6四歩(63)  
  13 2五歩(26)  
  14 3三銀(42)  
  15 3六歩(37)  
  16 6三銀(62)  
  17 7八金(69)  
  18 5二金(61)  
  19 6九玉(59)  
  20 4一玉(51)  
  21 5八金(49)  
  22 7四歩(73)  
  23 3七銀(48)  
  24 4四歩(43)  
  25 2六銀(37)  
  26 4三金(52)  
  27 7九角(88)  
  28 3一角(22)  
  29 3五歩(36)  
  30 同 歩(34)  
  31 同 銀(26)  
  32 4二角(31)  
  33 6六歩(67)  
  34 3一玉(41)  
  35 6七金(78)  
  36 5一角(42)  
  37 7八玉(69)  
  38 7三角(51)  
  39 4六歩(47)  
  40 8五歩(84)  
  41 5七角(79)  
  42 8四角(73)  
  43 4五歩(46)  
  44 同 歩(44)  
  45 3七桂(29)  
  46 3四歩打    
  47 2四歩(25)  
  48 同 歩(23)  
  49 同 銀(35)  
  50 同 銀(33)  
  51 同 角(57)  
  52 2三歩打    
  53 1五角(24)  
  54 1四歩(13)  
  55 2六角(15)  
  56 3五銀打    
  57 同 角(26)  
  58 同 歩(34)  
  59 4五桂(37)  
  60 6五歩(64)  
  61 3三歩打    
  62 同 桂(21)  
  63 同 桂成(45)
  64 同 金(43)  
  65 4五桂打    
  66 6六歩(65)  
  67 6八金(67)  
  68 3四角打    
  69 3三桂成(45)
  70 同 金(32)  
  71 4三歩打    
  72 4一歩打    
  73 5五銀打    
  74 6五桂打    
  75 4四銀打    
  76 同 金(33)  
  77 同 銀(55)  
  78 5六角(34)  
  79 6九玉(78)  
  80 5七桂打    
  81 7九玉(69)  
  82 5一角(84)  
  83 3三歩打    
  84 2二玉(31)  
  85 6六銀(77)  
  86 投了        
まで85手で先手の勝ち

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升田将棋問題集20230319

2023-03-19 | 升田将棋研究

先手番升田先生の手を考えます。

第1問

 

どこから攻めましょうか。

A 55桂  B 24桂  C 26桂

 

第2問

 

これは角銀交換になりますが、どこでしょうか?

A 75同角  B 34歩  C 44角

 

第3問

 

持ち駒が豊富なので即詰みです。

 

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升田将棋研究(291);矢倉中飛車(松田茂行)

2023-03-19 | 升田将棋研究

今日の棋譜20230319

1955年9月、松田茂役先生と王将戦です。

升田先生の先手で矢倉です。

また右銀を繰り出して

5筋の歩を交換しました。

53銀に58飛。矢倉中飛車になりました。

44銀左のぶつけに46銀と引くのは仕方が無いようですが、

64歩54歩42銀66銀。左銀も繰り出して、中央の勢力は優ります。

右桂を使って攻撃力はありそうですが、先手玉が飛に近いので、攻めれば反動は大きそうです。

45桂に52歩。これはありがたかったかな。57歩同飛45銀同銀65桂打という筋もありそうなところでしたから。

飛を浮いたのは角頭を守るためでしょうか。65歩55銀左同銀同銀75歩・・・の時に違います。

松田先生は82飛~41玉の手待ちです。

升田先生も手待ちを入れつつ玉を固めたのですが、後手の松田先生はこの局面33桂で打開しました。昔の棋士は美意識があったので、後手番でも千日手を打開することが多かったです。でも打開するならば、先手が居玉のうちに動けばよかっただろうと思います。

33同桂成同銀上55銀左。激しい戦いが始まります。

84桂44銀同銀。こうなると後手玉の薄さが気になります。

24桂には同歩同歩とすると23銀が防ぎづらいようですから65桂で攻め合います。

32桂成同玉66角76桂

35歩に75銀と打ちましたが、86歩同歩88歩も有力だったでしょう。

44角同角34歩。後手玉は薄く、44角が消えれば詰まされてしまいます。

88角打同金同角成。これで後手玉が逃げ出せるようになった

と思ったら、69玉に41玉ではなくて57桂打。駒を渡しても大丈夫なのか?

57同銀同桂不成同飛48銀。詰めろではなさそうですが、68桂成同玉57銀不成から王手は続きます。問題は後手玉が危ないことです。升田先生はいっぱいもらったので

33銀同馬同歩成同玉34歩。後手玉が下に逃げるのは簡単ですね。44玉22角も簡単そう。なので34同玉ですが

26桂25玉55飛。35合駒は34銀36玉35飛同玉46角36玉26角・・・角が2枚あるので詰みます。

26玉17角37玉28金まで。

 

松田先生はどこかで玉を逃げだして(41~51)勝ち目があったと思うのですが、詰まないのに先手玉を追いかけてはいけませんでした。攻め合いは後手に分があったようです。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.60 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/09/13(火) 00:00:00
棋戦:王将戦
戦型:矢倉
手合割:平手  
先手:升田幸三
後手:松田茂役
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 8四歩(83)  
   3 6八銀(79)  
   4 3四歩(33)  
   5 7七銀(68)  
   6 6二銀(71)  
   7 2六歩(27)  
   8 4二銀(31)  
   9 4八銀(39)  
  10 3二金(41)  
  11 5六歩(57)  
  12 5四歩(53)  
  13 2五歩(26)  
  14 3三銀(42)  
  15 5七銀(48)  
  16 5二金(61)  
  17 4六銀(57)  
  18 4一玉(51)  
  19 5五歩(56)  
  20 同 歩(54)  
  21 同 銀(46)  
  22 8五歩(84)  
  23 7八金(69)  
  24 5三銀(62)  
  25 5八飛(28)  
  26 4四銀(33)  
  27 4六銀(55)  
  28 6四歩(63)  
  29 5四歩打    
  30 4二銀(53)  
  31 6六銀(77)  
  32 6三金(52)  
  33 7七角(88)  
  34 7四歩(73)  
  35 3六歩(37)  
  36 7三桂(81)  
  37 3七桂(29)  
  38 9四歩(93)  
  39 4五桂(37)  
  40 5二歩打    
  41 4八金(49)  
  42 3一玉(41)  
  43 9六歩(97)  
  44 1四歩(13)  
  45 1六歩(17)  
  46 8四飛(82)  
  47 5六飛(58)  
  48 8二飛(84)  
  49 6九玉(59)  
  50 4一玉(31)  
  51 5八金(48)  
  52 3一玉(41)  
  53 4八金(58)  
  54 4一玉(31)  
  55 5八金(48)  
  56 3一玉(41)  
  57 6八金(58)  
  58 4一玉(31)  
  59 7九玉(69)  
  60 3一玉(41)  
  61 5八飛(56)  
  62 3三桂(21)  
  63 同 桂成(45)
  64 同 銀(42)  
  65 5五銀(66)  
  66 8四桂打    
  67 4四銀(55)  
  68 同 銀(33)  
  69 2四桂打    
  70 6五桂(73)  
  71 3二桂成(24)
  72 同 玉(31)  
  73 6六角(77)  
  74 7六桂(84)  
  75 3五歩(36)  
  76 7五銀打    
  77 4四角(66)  
  78 同 角(22)  
  79 3四歩(35)  
  80 8八角打    
  81 同 金(78)  
  82 同 角成(44)
  83 6九玉(79)  
  84 5七桂打    
  85 同 銀(46)  
  86 同 桂(65)  
  87 同 飛(58)  
  88 4八銀打    
  89 3三銀打    
  90 同 馬(88)  
  91 同 歩成(34)
  92 同 玉(32)  
  93 3四歩打    
  94 同 玉(33)  
  95 2六桂打    
  96 2五玉(34)  
  97 5五飛(57)  
  98 2六玉(25)  
  99 1七角打    
 100 3七玉(26)  
 101 2八金打    
 102 投了        
まで101手で先手の勝ち

 

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升田将棋問題集20230318

2023-03-18 | 升田将棋研究

後手番升田先生の手を考えます。

第1問

 

麩の交換を逆用します。

A 44銀  B 34銀  C 51角

 

第2問

 

4筋の歩交換も、自然に逆用して後手有利に。

A 35銀  B 36歩  C 45歩

 

第3問

 

「寄せのセオリー」を適用します。

A 57歩  B 58銀  C 46角

 

第4問

 

かなり味の良い手です。

A 57歩  B 35角  C 29飛成

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升田将棋研究(290);四間飛車に矢倉引き角(塚田正夫)

2023-03-18 | 升田将棋研究

今日の棋譜20230318

1955年9月、塚田正夫先生と全八段戦です。

後手升田先生の四間飛車です。前にも振り飛車を指していた時がありましたっけ。明治大正生まれの先生ならば香落ち上手の経験も多かったのです。

塚田先生は36歩を突いてから77銀。玉頭位取りではなくて

引き角にするというのは、かなり珍しいです。当時の新戦法なのかもしれません。香落ち下手ならば端をねらえるので、こういう定跡はあったのかも。

引き角のあとで玉頭位取りにするというのもあり得ましたが、位はとらずに

87玉型の矢倉です。金を締まる前に3筋の歩を交換しましたが、このタイミングが問題で、37銀と上がってから交換すべきだったのでしょう。

51角68角32飛。3筋から反撃されます。37銀としてあれば、35歩44銀36銀と返せたのですが、

78金44銀37歩34飛。石田流に組まれるので作戦失敗です。対抗型では矢倉よりも高美濃のほうが堅いでしょうし、右の銀桂を使いにくいのです。

現代ならば銀冠に組みなおすのでしょうけれど、右で動くとすれば4筋の歩を交換するくらい。

46同歩同角35銀。動けばそれが裏目に出ます。

68角62角47銀33桂。升田先生としては理想的な展開です。

88玉に46歩とか36歩とかが普通なのですが、45桂でもいいのかな。

塚田先生は35角同角46銀打の勝負手です。角が逃げて45桂をとれたらまあまあでしょう。でも36歩同歩46角とか、37桂成同銀46歩とかも見えますし、

単に46同角同銀37桂成。こんなあっさりした手でも困るのか。

37同銀36歩46銀45歩。35歩には銀飛の取り合いでも先手有利とはいえないですが、44飛と逃げられて57銀37歩成同桂36歩くらいでも困ります。もちろん45同銀には37歩成で飛の取り合いにはできないです。

43角31飛を入れてから45銀37歩成

68飛47と54銀。塚田先生の桂得だけれど後手の と金の存在が大きいです。

73金に33歩同飛53桂。苦心の手順ですが、こんな桂の使い方しかないのでは。

71金34歩43飛同銀成。駒得が拡大したとは言えるのですが。

57歩に対しての受けがなくて、52成銀58歩成。飛を取られるので駒損に転落します。

42飛68と同金引58と

58同金28飛68金右35角。角桂交換になっていて、玉の堅さを同等と見ても、瞬間の攻め駒の数は0対4です。手順に飛角を配置されて、35角は攻防の手ですし、先手劣勢は明らか。

61桂成57銀で、先手玉は2手すき。後手玉は3手すきにもなっていません。57同金同角成68銀打69角でも受けにくいし、先に飛を切られる57同金78飛成同玉57角成でも受からないです。この後手玉はゼットなのですね。

69金36角。この角も攻防の手です。

79金61金同成銀67桂。受けは難しくて

87玉79桂成同金

29飛成49歩に31金ですか。43飛成には61銀なので

62飛成49竜78金打67桂まで。

 

まだ振り飛車ブームではありませんが、時々振り飛車が見られるようになってきた頃です。居飛車側の急戦も持久戦も未開発でした。升田先生の指し方は粗削りだけど現代的に見えます。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.60 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/09/08(木) 00:00:00
棋戦:全八段戦
戦型:四間飛車
手合割:平手  
先手:塚田正夫
後手:升田幸三
手数----指手--
   1 2六歩(27)  
   2 3四歩(33)  
   3 7六歩(77)  
   4 4四歩(43)  
   5 2五歩(26)  
   6 3三角(22)  
   7 4八銀(39)  
   8 3二銀(31)  
   9 6八玉(59)  
  10 4三銀(32)  
  11 7八玉(68)  
  12 4二飛(82)  
  13 9六歩(97)  
  14 9四歩(93)  
  15 3六歩(37)  
  16 6二玉(51)  
  17 5八金(49)  
  18 7二玉(62)  
  19 5六歩(57)  
  20 8二玉(72)  
  21 6八銀(79)  
  22 7二銀(71)  
  23 7七銀(68)  
  24 5二金(41)  
  25 7九角(88)  
  26 2二飛(42)  
  27 6六歩(67)  
  28 6四歩(63)  
  29 6七金(58)  
  30 6三金(52)  
  31 8六歩(87)  
  32 7四歩(73)  
  33 8七玉(78)  
  34 4五歩(44)  
  35 3五歩(36)  
  36 同 歩(34)  
  37 同 角(79)  
  38 5一角(33)  
  39 6八角(35)  
  40 3二飛(22)  
  41 7八金(69)  
  42 4四銀(43)  
  43 3七歩打    
  44 3四飛(32)  
  45 1六歩(17)  
  46 5四歩(53)  
  47 1五歩(16)  
  48 8四歩(83)  
  49 4六歩(47)  
  50 同 歩(45)  
  51 同 角(68)  
  52 3五銀(44)  
  53 6八角(46)  
  54 6二角(51)  
  55 4七銀(48)  
  56 3三桂(21)  
  57 8八玉(87)  
  58 4五桂(33)  
  59 3五角(68)  
  60 同 角(62)  
  61 4六銀打    
  62 同 角(35)  
  63 同 銀(47)  
  64 3七桂成(45)
  65 同 銀(46)  
  66 3六歩打    
  67 4六銀(37)  
  68 4五歩打    
  69 4三角打    
  70 3一飛(34)  
  71 4五銀(46)  
  72 3七歩成(36)
  73 6八飛(28)  
  74 4七と(37)  
  75 5四銀(45)  
  76 7三金(63)  
  77 3三歩打    
  78 同 飛(31)  
  79 5三桂打    
  80 7一金(61)  
  81 3四歩打    
  82 4三飛(33)  
  83 同 銀成(54)
  84 5七歩打    
  85 5二成銀(43)
  86 5八歩成(57)
  87 4二飛打    
  88 6八と(58)  
  89 同 金(67)  
  90 5八と(47)  
  91 同 金(68)  
  92 2八飛打    
  93 6八金(58)  
  94 3五角打    
  95 6一桂成(53)
  96 5七銀打    
  97 6九金(68)  
  98 3六角打    
  99 7九金(69)  
 100 6一金(71)  
 101 同 成銀(52)
 102 6七桂打    
 103 8七玉(88)  
 104 7九桂成(67)
 105 同 金(78)  
 106 2九飛成(28)
 107 4九歩打    
 108 3一金打    
 109 6二飛成(42)
 110 4九龍(29)  
 111 7八金打    
 112 6七桂打    
 113 投了        
まで112手で後手の勝ち

 

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升田将棋問題集20230317

2023-03-17 | 升田将棋研究

先手番升田先生の手を考えます。

第1問

 

守るか攻めるか。

A 27香  B 88玉  C 59香

 

第2問

 

ここは少し読まなくてはなりません。

A 74歩  B 64桂  C 24桂

 

第3問

 

より安全を求めます。

A 99香  B 84角成  C 66金

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升田将棋研究(289);相矢倉(花村元司)

2023-03-17 | 升田将棋研究

今日の棋譜20230317

1955年9月、花村元司先生と順位戦です。

升田先生の先手で矢倉です。

57銀が早いのは、急戦矢倉をねらっているから。

後手が5筋の歩を突かないので55歩。これだとゆっくりした展開になるでしょう。

駒組が進んで

48角~37角、角の動きは4手かかっています。そのために玉を囲うのが遅れているから大丈夫でしょうか。

63銀57銀54歩。銀の立て直しにも手数がかかるし、5筋の歩を切られると手数がさらに遅れる計算です。先に玉を囲っておくところだったのでしょう。

54同歩同銀56銀までは予定通りなのでしょうが、花村先生としては玉を囲い終えたし、1歩持ったので端攻めです。

96同歩97歩同香85桂。右桂をさばくと65歩を突きやすくなるというのも利点です。

86銀97桂成同銀までは良いのですが、香車を捨てるとは。こんなに急がなくても良かったでしょう。

96同銀55歩同銀同銀同角。桂歩2の損です。

51香46角58銀、ちょっとうるさい攻めですが、飛角が参加していないからなあ。

79玉に67銀成とはがすのでは足りません。47銀成68角65歩。角筋が通りました。でも58香成77角57成香のほうが自然でした。

65同歩62飛55歩

57歩59香。駒損でも攻め駒が4枚になれば良いのですが、それは簡単ではないです。

75歩56銀46成銀57金。強く受けられて

56成銀同金76歩

88玉72飛64桂。角筋を止められて

92飛94歩63歩。桂を殺したけれど

83銀91飛72桂成。桂を取り切れず、飛を封じられました。

75角に57角のぶつけは少しありがたいでしょうか。

57同角成同金55香56歩

15角は変な手ですが、37角の合わせならば。

37同角成同桂58歩同飛。割打ちがあるけど飛で取られる方が大変なのか。

56香同金69銀68飛

78銀成同玉98角88銀。銀桂香と金の交換です。駒損はひどくなり、攻め駒は2枚だけ。

51飛55歩54歩73角

52飛66金55歩76金。76の歩を払われると、先手の入玉が見えてきます。

56歩55歩75歩同金64金。花村先生らしい妖しい手が出ました。

64同歩55飛84角成

57歩成66飛54金。金を捨てて と金ができただけでした。守りの金も攻めに使おうとしたのですが、

63歩成68と77玉。68同玉59飛成同玉89角成も自信はなかったでしょう。

59飛成99金。角を捕獲されても二枚替えなので平気なのですが、入玉されると持将棋の点数では劣ります。

55金64飛56飛成76歩。これで先手の入玉を阻止できません。

78と86玉54金74飛89角成

89同金同と77銀91桂93歩成。後は良いでしょう。

先手玉が捕まらなくて、ここまで。

 

花村先生はうまく桂をさばいて有利になったはずですが、香を捨てて攻めてからは切れ模様です。升田先生の受けに余裕がありました。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.60 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/09/03(土) 00:00:00
棋戦:順位戦
戦型:矢倉
手合割:平手  
先手:升田幸三
後手:花村元司
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 8四歩(83)  
   3 6八銀(79)  
   4 3四歩(33)  
   5 7七銀(68)  
   6 6二銀(71)  
   7 2六歩(27)  
   8 4二銀(31)  
   9 4八銀(39)  
  10 9四歩(93)  
  11 2五歩(26)  
  12 3三銀(42)  
  13 5六歩(57)  
  14 3二金(41)  
  15 5七銀(48)  
  16 5二金(61)  
  17 4六銀(57)  
  18 4四歩(43)  
  19 5五歩(56)  
  20 3一角(22)  
  21 7八金(69)  
  22 4二角(31)  
  23 6九玉(59)  
  24 4一玉(51)  
  25 7九角(88)  
  26 3一玉(41)  
  27 3六歩(37)  
  28 2二玉(31)  
  29 6六歩(67)  
  30 4三金(52)  
  31 5八金(49)  
  32 9五歩(94)  
  33 6七金(58)  
  34 7四歩(73)  
  35 5七角(79)  
  36 7三桂(81)  
  37 4八角(57)  
  38 6四歩(63)  
  39 3七角(48)  
  40 6三銀(62)  
  41 5七銀(46)  
  42 5四歩(53)  
  43 同 歩(55)  
  44 同 銀(63)  
  45 5六銀(57)  
  46 9六歩(95)  
  47 同 歩(97)  
  48 9七歩打    
  49 同 香(99)  
  50 8五桂(73)  
  51 8六銀(77)  
  52 9七桂成(85)
  53 同 銀(86)  
  54 9六香(91)  
  55 同 銀(97)  
  56 5五歩打    
  57 同 銀(56)  
  58 同 銀(54)  
  59 同 角(37)  
  60 5一香打    
  61 4六角(55)  
  62 5八銀打    
  63 7九玉(69)  
  64 4七銀成(58)
  65 6八角(46)  
  66 6五歩(64)  
  67 同 歩(66)  
  68 6二飛(82)  
  69 5五歩打    
  70 5七歩打    
  71 5九香打    
  72 7五歩(74)  
  73 5六銀打    
  74 4六成銀(47)
  75 5七金(67)  
  76 5六成銀(46)
  77 同 金(57)  
  78 7六歩(75)  
  79 8八玉(79)  
  80 7二飛(62)  
  81 6四桂打    
  82 9二飛(72)  
  83 9四歩打    
  84 6三歩打    
  85 8三銀打    
  86 9一飛(92)  
  87 7二桂成(64)
  88 7五角(42)  
  89 5七角(68)  
  90 同 角成(75)
  91 同 金(56)  
  92 5五香(51)  
  93 5六歩打    
  94 1五角打    
  95 3七角打    
  96 同 角成(15)
  97 同 桂(29)  
  98 5八歩打    
  99 同 飛(28)  
 100 5六香(55)  
 101 同 金(57)  
 102 6九銀打    
 103 6八飛(58)  
 104 7八銀成(69)
 105 同 玉(88)  
 106 9八角打    
 107 8八銀打    
 108 5一飛(91)  
 109 5五歩打    
 110 5四歩打    
 111 7三角打    
 112 5二飛(51)  
 113 6六金(56)  
 114 5五歩(54)  
 115 7六金(66)  
 116 5六歩(55)  
 117 5五歩打    
 118 7五歩打    
 119 同 金(76)  
 120 6四金打    
 121 同 歩(65)  
 122 5五飛(52)  
 123 8四角成(73)
 124 5七歩成(56)
 125 6六飛(68)  
 126 5四金(43)  
 127 6三歩成(64)
 128 6八と(57)  
 129 7七玉(78)  
 130 5九飛成(55)
 131 9九金打    
 132 5五金(54)  
 133 6四飛(66)  
 134 5六龍(59)  
 135 7六歩打    
 136 7八と(68)  
 137 8六玉(77)  
 138 5四金(55)  
 139 7四飛(64)  
 140 8九角成(98)
 141 同 金(99)  
 142 同 と(78)  
 143 7七銀(88)  
 144 9一桂打    
 145 9三歩成(94)
 146 8三桂(91)  
 147 同 馬(84)  
 148 6五銀打    
 149 7三飛成(74)
 150 7四歩打    
 151 同 金(75)  
 152 8八と(89)  
 153 6四と(63)  
 154 7八と(88)  
 155 6五と(64)  
 156 同 金(54)  
 157 7五金(74)  
 158 同 金(65)  
 159 同 玉(86)  
 160 5四龍(56)  
 161 6五角打    
 162 6三金打    
 163 5四角(65)  
 164 同 金(63)  
 165 6六銀(77)  
 166 4八角打    
 167 5七香打    
 168 投了        
まで167手で先手の勝ち

 

 

 

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升田将棋問題集20230316

2023-03-16 | 升田将棋研究

後手番花村先生の手を考えます。

第1問

 

ここは2択ですが、24歩同歩の突き捨てが入っていないから、反撃が強いほうが良いでしょう。

A 45同銀  B 53銀引

 

第2問

 

振り飛車党ならば当然の手なのでしょう。後で利いてきます。

A 37銀成  B 47歩  C 44角

 

第3問

 

寄せ合いに入ります。

A 48角成  B 36桂  C 65銀

 

第4問

 

持ち駒を使い切りました。

A 36飛成  B 36銀  C 51金

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