☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?
☆ 今日の棋譜
昭和54年12月、有吉道夫先生と第6回名将戦決勝第2局です。

大山先生の四間飛車に有吉先生は玉頭位取り。待ってました。

大山先生は6筋の歩交換を嫌い

有吉先生は3筋から動きます。実はこれは受けの手で

72飛からの位の奪回に対応しています。74銀に75歩とできる仕組み。

大山先生は34歩と捨てて銀を出ます。(これを嫌うなら35飛の前に34歩51角を決めるのもある)

86歩は75歩に87銀としようということだったのですが、銀をぶつけて

ここで一段落。これは四間飛車ガイドに出ている手順で、懐かしいです。この将棋が元だったのですね。どちらからも銀を取りたくない形です。
先手としては79角~88玉~78金としたいのですが、後手から45歩~76銀同歩65歩もあるのでやりにくいです。1歩持っているので55歩43銀56銀というのはありそう。

有吉先生は固めて待ち、45歩に


銀を捨てて

飛車を成って桂を取ります。持ち駒の銀を捨てるので少しもったいない手順でした。

大山先生は駒得を広げようとするのですが、こういうのは危ないのです。

銀を取り返され

それでもちょっと駒得。でも45銀にはどうしたのかな?32香とかあるけれど、角銀を助けにくいです。

有吉先生は79角と待ったので竜を殺され

52銀から63銀成としがみつきます。

それから銀を出て駒の補充ですが、45銀ではなくて74桂83玉62桂成もあったか。

角を取ったけれど、桂を打たされ

3枚で後手玉を寄せられるか。後手玉は薄いのでかなりの攻めです。

どうやら大山先生に受けがあって、攻め駒不足。

と金と2枚飛車(竜)で寄せ合いです。

有吉先生は角を捨て

62金ですがまだ詰めろではないです。

71馬92玉によい詰めろがないようで95歩でしたが、これで投了図。詰めろがほどけず、金も手に入りません。
52手目74歩までが定跡だった(この将棋で定跡化された)のですが、いろいろあるところでは玉を固める手を選ぶのが有吉流。68金直と固めてから攻め続けます。
77手目も79角は玉を固めて待つ選択肢ですが、これがぬるかったのでしょう。1手遅れて、その差が最後まで取り返せませんでした。
その辺りまでは先手をもって最善を考え、良くなってからの大山先生の受け(攻めて69桂と使わせるのも受けです)を学びましょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:有吉道夫9段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4三銀(32)
9 7八玉(68)
10 4二飛(82)
11 5六歩(57)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 7五歩(76)
18 5二金(41)
19 7七銀(68)
20 6四歩(63)
21 5八金(49)
22 7一玉(62)
23 5七銀(48)
24 6三金(52)
25 7六銀(77)
26 8四歩(83)
27 6六歩(67)
28 8二玉(71)
29 6七金(58)
30 5四銀(43)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 3六歩(37)
34 8三銀(72)
35 3五歩(36)
36 同 歩(34)
37 3八飛(28)
38 7四歩(73)
39 同 歩(75)
40 7二飛(42)
41 3五飛(38)
42 3四歩打
43 同 飛(35)
44 7四銀(83)
45 8六歩(87)
46 7五銀(74)
47 7七歩打
48 8六銀(75)
49 8七歩打
50 7五銀(86)
51 3八飛(34)
52 7四歩打
53 6八金(69)
54 4五歩(44)
55 2四歩(25)
56 同 歩(23)
57 7五銀(76)
58 同 歩(74)
59 4四銀打
60 同 角(33)
61 3一飛成(38)
62 7一金(61)
63 2一龍(31)
64 3六歩打
65 2四龍(21)
66 3五銀打
67 3四龍(24)
68 2八歩打
69 5五歩(56)
70 同 銀(54)
71 5六歩打
72 2九歩成(28)
73 5五歩(56)
74 3七歩成(36)
75 5六銀(57)
76 1九と(29)
77 7九角(88)
78 3三歩打
79 4三龍(34)
80 3二銀打
81 5二銀打
82 4三銀(32)
83 6三銀成(52)
84 2二飛(72)
85 2三歩打
86 同 飛(22)
87 4五銀(56)
88 2九飛成(23)
89 4四銀(45)
90 3九飛打
91 6九桂打
92 4四銀(43)
93 7四角打
94 7二銀打
95 6二金打
96 6三銀(72)
97 同 角成(74)
98 6二金(71)
99 同 馬(63)
100 7二金打
101 6一馬(62)
102 7一桂打
103 6二銀打
104 8三銀打
105 9七角(79)
106 6二金(72)
107 同 馬(61)
108 7三銀打
109 6一馬(62)
110 4八と(37)
111 7九金打
112 3八飛成(39)
113 7五角(97)
114 7四歩打
115 6四角(75)
116 同 銀(73)
117 6二金打
118 5八と(48)
119 7一馬(61)
120 9二玉(82)
121 9五歩(96)
122 6八と(58)
123 同 金(79)
124 5八金打
125 投了
まで124手で後手の勝ち

先手番大山先生の次の手は?
☆ 今日の棋譜
昭和54年12月、有吉道夫先生と第6回名将戦決勝第2局です。

大山先生の四間飛車に有吉先生は玉頭位取り。待ってました。

大山先生は6筋の歩交換を嫌い

有吉先生は3筋から動きます。実はこれは受けの手で

72飛からの位の奪回に対応しています。74銀に75歩とできる仕組み。

大山先生は34歩と捨てて銀を出ます。(これを嫌うなら35飛の前に34歩51角を決めるのもある)

86歩は75歩に87銀としようということだったのですが、銀をぶつけて

ここで一段落。これは四間飛車ガイドに出ている手順で、懐かしいです。この将棋が元だったのですね。どちらからも銀を取りたくない形です。
先手としては79角~88玉~78金としたいのですが、後手から45歩~76銀同歩65歩もあるのでやりにくいです。1歩持っているので55歩43銀56銀というのはありそう。

有吉先生は固めて待ち、45歩に


銀を捨てて

飛車を成って桂を取ります。持ち駒の銀を捨てるので少しもったいない手順でした。

大山先生は駒得を広げようとするのですが、こういうのは危ないのです。

銀を取り返され

それでもちょっと駒得。でも45銀にはどうしたのかな?32香とかあるけれど、角銀を助けにくいです。

有吉先生は79角と待ったので竜を殺され

52銀から63銀成としがみつきます。

それから銀を出て駒の補充ですが、45銀ではなくて74桂83玉62桂成もあったか。

角を取ったけれど、桂を打たされ

3枚で後手玉を寄せられるか。後手玉は薄いのでかなりの攻めです。

どうやら大山先生に受けがあって、攻め駒不足。

と金と2枚飛車(竜)で寄せ合いです。

有吉先生は角を捨て

62金ですがまだ詰めろではないです。

71馬92玉によい詰めろがないようで95歩でしたが、これで投了図。詰めろがほどけず、金も手に入りません。
52手目74歩までが定跡だった(この将棋で定跡化された)のですが、いろいろあるところでは玉を固める手を選ぶのが有吉流。68金直と固めてから攻め続けます。
77手目も79角は玉を固めて待つ選択肢ですが、これがぬるかったのでしょう。1手遅れて、その差が最後まで取り返せませんでした。
その辺りまでは先手をもって最善を考え、良くなってからの大山先生の受け(攻めて69桂と使わせるのも受けです)を学びましょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:有吉道夫9段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4三銀(32)
9 7八玉(68)
10 4二飛(82)
11 5六歩(57)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 7五歩(76)
18 5二金(41)
19 7七銀(68)
20 6四歩(63)
21 5八金(49)
22 7一玉(62)
23 5七銀(48)
24 6三金(52)
25 7六銀(77)
26 8四歩(83)
27 6六歩(67)
28 8二玉(71)
29 6七金(58)
30 5四銀(43)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 3六歩(37)
34 8三銀(72)
35 3五歩(36)
36 同 歩(34)
37 3八飛(28)
38 7四歩(73)
39 同 歩(75)
40 7二飛(42)
41 3五飛(38)
42 3四歩打
43 同 飛(35)
44 7四銀(83)
45 8六歩(87)
46 7五銀(74)
47 7七歩打
48 8六銀(75)
49 8七歩打
50 7五銀(86)
51 3八飛(34)
52 7四歩打
53 6八金(69)
54 4五歩(44)
55 2四歩(25)
56 同 歩(23)
57 7五銀(76)
58 同 歩(74)
59 4四銀打
60 同 角(33)
61 3一飛成(38)
62 7一金(61)
63 2一龍(31)
64 3六歩打
65 2四龍(21)
66 3五銀打
67 3四龍(24)
68 2八歩打
69 5五歩(56)
70 同 銀(54)
71 5六歩打
72 2九歩成(28)
73 5五歩(56)
74 3七歩成(36)
75 5六銀(57)
76 1九と(29)
77 7九角(88)
78 3三歩打
79 4三龍(34)
80 3二銀打
81 5二銀打
82 4三銀(32)
83 6三銀成(52)
84 2二飛(72)
85 2三歩打
86 同 飛(22)
87 4五銀(56)
88 2九飛成(23)
89 4四銀(45)
90 3九飛打
91 6九桂打
92 4四銀(43)
93 7四角打
94 7二銀打
95 6二金打
96 6三銀(72)
97 同 角成(74)
98 6二金(71)
99 同 馬(63)
100 7二金打
101 6一馬(62)
102 7一桂打
103 6二銀打
104 8三銀打
105 9七角(79)
106 6二金(72)
107 同 馬(61)
108 7三銀打
109 6一馬(62)
110 4八と(37)
111 7九金打
112 3八飛成(39)
113 7五角(97)
114 7四歩打
115 6四角(75)
116 同 銀(73)
117 6二金打
118 5八と(48)
119 7一馬(61)
120 9二玉(82)
121 9五歩(96)
122 6八と(58)
123 同 金(79)
124 5八金打
125 投了
まで124手で後手の勝ち
20170507今日の一手

4月22日の名南将棋大会から、AさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
少し前から。

多分先後逆で、後手のAさんが角換わり腰掛銀に右玉で対応したのだと思います。本来先手のKさんは無難に63金と桂頭を備えたのですが、それでもAさんは75歩と動きました。75同歩や86歩もありそうでしたが、65歩55銀同銀同歩75歩と進んで問題図。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。(持ち歩がないのでカウントします。)
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒角銀2枚。24歩同歩か同銀はすぐに入るので3枚みたいなものです。
後手の攻め駒は持ち駒角銀2枚。こちらも86歩同歩は入ることが多いのですが(手抜かれてまずいこともあります)、先手玉からは遠いので攻め駒と数えるのはまだ早そう。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
先手は1歩損ですが、攻めてしまおうとしています。ゆっくり待っていてもあまりよいことはありません。
ではどこから攻めるか。狙い目は63金が浮いていること。角や銀を打ち込んで飛車を取る(角と交換する)攻め筋があります。わかりますか?
その際に75歩同歩と突き捨てが入っている形ですから、それがマイナスにならない手を選ばなければなりません。74角(あるいは銀)を打たれて受けられた、となれば失敗です。
1歩持っていれば74歩同金に71角や63角があって簡単なのですが、歩を入手できないのでその筋ではありません。
× 83銀はたまにある筋ですが

銀を捨てて両取りで取り返す、というのは後手玉が薄い時には有効です。この場合はあまり薄くないのでやらないほうが良さそう。83同飛に72角が両取りですが、74角で受けが利きます。

83角成同角81飛74角打91飛成66歩

これはかなり厳しそう。38玉と29飛が射程に入っています。84香はありますが、47角成同金74角

これは受けがないです。
後手が飛車を逃げても

72角62金81角成41飛

というのもぱっとしません。82馬に63角が好点です。
× 実戦は61角でした。

66歩24歩同歩66歩62金

と進んだのですが、これなら71銀61金82銀不成

で成功です。銀を手放しての角飛の交換はあまり得でもないのですが、73桂が取れる形です。
この後は桂を取って玉頭から継ぎ歩攻め。後手は駒損でも1筋から反撃して、先手玉が左に逃げ出して入玉できるか、という将棋になりました。駒得が大きかったので先手有利でしたが逆転負け。
さて61角の受け方は、62金ではなくて62飛

狙われている(83銀と打たれる)飛を逃げておくのが良い受け方です。52銀や72銀ともたれておいても次のねらいがありませんから、83角成なのですが74銀

84馬に82飛で馬が死んでいます。助けるには51銀ですが、83銀62銀成同金
角銀と飛の交換ではだめですね。
○ 正しい角の打ち場所は41です。

遠く74の地点も見ているので、この場合はこちらから、という気がしますね。この角は52銀で死んでいるのですが、83銀があります。

62飛に32角成同玉62金

で飛車を取る筋です。後手玉が薄くなった代わりに金を渡して飛を取るので飛打ちの効果が少ないのですが、やってみればまあまあ指せそうです。
41角に74銀なら

52銀64金(62金なら43銀成同金74角成)32角成同玉43金22玉

と進めて、駒損なのでまだ形勢は互角とはいえ、後手玉が薄すぎるので先手もちです。
× 他には24歩として

盤上の駒を使って攻める方が筋は良いのですが。24同銀54歩同歩

と進んでもよい手が見えません。71角42飛53銀

41飛には62銀成しかなく15歩

と端から攻められてまずそうです。香を吊り上げて17歩とか18銀とか18角とか。
また、24歩に同歩だとしても45歩

と攻めていくのは怖いです。4筋の歩が切れると後手から46歩同銀56角の筋や、86歩同歩46歩同銀86飛の筋ができます。
△ 他には24銀と打つ

というのは案外に有力です。(取らないで42銀打なら千日手もありますし、35歩同歩同銀と1歩持てるかも。)
後手が普通に受けるなら24同歩同歩12銀なのですが、41角

は強烈です。金取りを受けさせて32角成同玉23金と攻めれば手になります。
後手の正しい受けは24銀同歩同歩に42飛

と41角を避けておく手です。23角に24銀

というのが受けの手筋。32角成同玉24飛23銀に31金

は継続手ですが、33玉29飛22飛

まで進めば後手よし。でも後手はどこかで間違えそうです。
☆ まとめ
もしも75歩同歩が入っていなければどうか。実は先手よしなのだと思います。77の銀は攻めの銀とも見ることができて、後手の54銀は守りの意味も大きいので。
これは角換わり相腰掛銀での先手が26歩の形で、後手が33の銀を44銀~55銀左とぶつける戦型でも出てくるのですが、銀をぶつける側が結構指せるのです。
その場合は61角が有力で先手有利になりやすいです。83銀も飛車を逃げるしかなくまあまあ(74銀成と歩を取る変化があればよくなるかも)。41角は61角より劣る感じ。
問題図の場合は74角や74銀の受けがあるので
83銀は悪手
61角も悪手
41角は影響が少なくてやや有利
というのを結論としておきます。
この3つの攻め筋は(角換わりを指すなら)覚えておくとよいです。
24歩や45歩から攻めるというのは、銀交換していなくて57に銀があるような形で考えます。
また、まれに24銀と歩の頭に打つ(出るほうがまだ多いか)攻め筋もあり、いかにも無理そうなのですが、41角が先手ではいるのが強み。結構手が続きます。
攻め筋はいろいろ知っておくほうが良いです。そのなかでどの攻め筋が有効か、というのはそのときそのときで考えねばならないのですが、よくある形(知っている形)となにか違うところがないか、それによって結果が違うことがないか、というのが成立するかどうかの境目です。
対局中に判断するのは難しすぎると思うなら、自分で定跡化して、事前に研究しておくのです。滅多にない展開でなった局面なら、少なくとも局後に検討して、ちゃんと結論を出しておくことです。

4月22日の名南将棋大会から、AさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
少し前から。

多分先後逆で、後手のAさんが角換わり腰掛銀に右玉で対応したのだと思います。本来先手のKさんは無難に63金と桂頭を備えたのですが、それでもAさんは75歩と動きました。75同歩や86歩もありそうでしたが、65歩55銀同銀同歩75歩と進んで問題図。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。(持ち歩がないのでカウントします。)
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒角銀2枚。24歩同歩か同銀はすぐに入るので3枚みたいなものです。
後手の攻め駒は持ち駒角銀2枚。こちらも86歩同歩は入ることが多いのですが(手抜かれてまずいこともあります)、先手玉からは遠いので攻め駒と数えるのはまだ早そう。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
先手は1歩損ですが、攻めてしまおうとしています。ゆっくり待っていてもあまりよいことはありません。
ではどこから攻めるか。狙い目は63金が浮いていること。角や銀を打ち込んで飛車を取る(角と交換する)攻め筋があります。わかりますか?
その際に75歩同歩と突き捨てが入っている形ですから、それがマイナスにならない手を選ばなければなりません。74角(あるいは銀)を打たれて受けられた、となれば失敗です。
1歩持っていれば74歩同金に71角や63角があって簡単なのですが、歩を入手できないのでその筋ではありません。
× 83銀はたまにある筋ですが

銀を捨てて両取りで取り返す、というのは後手玉が薄い時には有効です。この場合はあまり薄くないのでやらないほうが良さそう。83同飛に72角が両取りですが、74角で受けが利きます。

83角成同角81飛74角打91飛成66歩

これはかなり厳しそう。38玉と29飛が射程に入っています。84香はありますが、47角成同金74角

これは受けがないです。
後手が飛車を逃げても

72角62金81角成41飛

というのもぱっとしません。82馬に63角が好点です。
× 実戦は61角でした。

66歩24歩同歩66歩62金

と進んだのですが、これなら71銀61金82銀不成

で成功です。銀を手放しての角飛の交換はあまり得でもないのですが、73桂が取れる形です。
この後は桂を取って玉頭から継ぎ歩攻め。後手は駒損でも1筋から反撃して、先手玉が左に逃げ出して入玉できるか、という将棋になりました。駒得が大きかったので先手有利でしたが逆転負け。
さて61角の受け方は、62金ではなくて62飛

狙われている(83銀と打たれる)飛を逃げておくのが良い受け方です。52銀や72銀ともたれておいても次のねらいがありませんから、83角成なのですが74銀

84馬に82飛で馬が死んでいます。助けるには51銀ですが、83銀62銀成同金

角銀と飛の交換ではだめですね。
○ 正しい角の打ち場所は41です。

遠く74の地点も見ているので、この場合はこちらから、という気がしますね。この角は52銀で死んでいるのですが、83銀があります。

62飛に32角成同玉62金

で飛車を取る筋です。後手玉が薄くなった代わりに金を渡して飛を取るので飛打ちの効果が少ないのですが、やってみればまあまあ指せそうです。
41角に74銀なら

52銀64金(62金なら43銀成同金74角成)32角成同玉43金22玉

と進めて、駒損なのでまだ形勢は互角とはいえ、後手玉が薄すぎるので先手もちです。
× 他には24歩として

盤上の駒を使って攻める方が筋は良いのですが。24同銀54歩同歩

と進んでもよい手が見えません。71角42飛53銀

41飛には62銀成しかなく15歩

と端から攻められてまずそうです。香を吊り上げて17歩とか18銀とか18角とか。
また、24歩に同歩だとしても45歩

と攻めていくのは怖いです。4筋の歩が切れると後手から46歩同銀56角の筋や、86歩同歩46歩同銀86飛の筋ができます。
△ 他には24銀と打つ

というのは案外に有力です。(取らないで42銀打なら千日手もありますし、35歩同歩同銀と1歩持てるかも。)
後手が普通に受けるなら24同歩同歩12銀なのですが、41角

は強烈です。金取りを受けさせて32角成同玉23金と攻めれば手になります。
後手の正しい受けは24銀同歩同歩に42飛

と41角を避けておく手です。23角に24銀

というのが受けの手筋。32角成同玉24飛23銀に31金

は継続手ですが、33玉29飛22飛

まで進めば後手よし。でも後手はどこかで間違えそうです。
☆ まとめ
もしも75歩同歩が入っていなければどうか。実は先手よしなのだと思います。77の銀は攻めの銀とも見ることができて、後手の54銀は守りの意味も大きいので。
これは角換わり相腰掛銀での先手が26歩の形で、後手が33の銀を44銀~55銀左とぶつける戦型でも出てくるのですが、銀をぶつける側が結構指せるのです。
その場合は61角が有力で先手有利になりやすいです。83銀も飛車を逃げるしかなくまあまあ(74銀成と歩を取る変化があればよくなるかも)。41角は61角より劣る感じ。
問題図の場合は74角や74銀の受けがあるので
83銀は悪手
61角も悪手
41角は影響が少なくてやや有利
というのを結論としておきます。
この3つの攻め筋は(角換わりを指すなら)覚えておくとよいです。
24歩や45歩から攻めるというのは、銀交換していなくて57に銀があるような形で考えます。
また、まれに24銀と歩の頭に打つ(出るほうがまだ多いか)攻め筋もあり、いかにも無理そうなのですが、41角が先手ではいるのが強み。結構手が続きます。
攻め筋はいろいろ知っておくほうが良いです。そのなかでどの攻め筋が有効か、というのはそのときそのときで考えねばならないのですが、よくある形(知っている形)となにか違うところがないか、それによって結果が違うことがないか、というのが成立するかどうかの境目です。
対局中に判断するのは難しすぎると思うなら、自分で定跡化して、事前に研究しておくのです。滅多にない展開でなった局面なら、少なくとも局後に検討して、ちゃんと結論を出しておくことです。