名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(526);四間飛車に居飛車穴熊(加藤一二三)

2017-05-21 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和55年2月、加藤一二三先生と第29期王将戦第5局です。


大山先生の四間飛車に加藤先生は居飛穴です。対四間飛車に棒銀以外の将棋を指していた時期もあるのです。居飛穴は数えるくらいしかなかったと思いますが。

大山先生はオーソドックス。

加藤先生は7筋の歩を飛で交換しました。

58飛が悪手で(後手がどう指したかわかりますか)

飛を切って

76歩が痛いです。取れば49角があります。こういう時に竜を作って頑張るというのが振り飛車の寝技なんですが

加藤先生は35銀から46銀を狙うのが好調子。実現すれば4枚の攻めになります。65歩なら53角もあります。この受け方が悩ましい。48飛は59角ですし、46の守りを増やせないのです。

大山先生は71竜でしたが、これは負けを早めたか。49角が入り

36歩を取りきれず

銀を捨てて53角の筋がありました。

これは加藤先生優勢です。

あとはどう寄せるか。角はなくてもよいので金と交換して

もったいないですが桂を打ち捨てて

46金から角を切り

攻め駒が減った分は桂をぶつけてカバーします。

投了図。

居飛車穴熊の快勝譜です。当時はいきなり飛切りの筋は知られていなかったはずですが、今ならだれでも指しそうです。いつもこうなるなら私でも居飛穴が指せるのですが。
後手をもって楽しく並べましょう。桂を取った後の指し方を自分ならどう指すか考えながら並べるとよいです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:加藤一二三王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5三銀(62)
15 5八金(69)
16 3三角(22)
17 6七銀(78)
18 2二玉(32)
19 3八銀(39)
20 1二香(11)
21 4六歩(47)
22 1一玉(22)
23 3六歩(37)
24 2二銀(31)
25 1六歩(17)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 4二角(33)
29 4七金(58)
30 4四銀(53)
31 8八飛(68)
32 3一金(41)
33 2六歩(27)
34 5一金(61)
35 1五歩(16)
36 4一金(51)
37 2七銀(38)
38 7四歩(73)
39 3八金(49)
40 7二飛(82)
41 5六歩(57)
42 7五歩(74)
43 同 歩(76)
44 同 飛(72)
45 3七桂(29)
46 3二金(41)
47 5八飛(88)
48 8六歩(85)
49 同 歩(87)
50 7七飛成(75)
51 同 桂(89)
52 7六歩打
53 7一飛打
54 7七歩成(76)
55 同 飛成(71)
56 3五歩(34)
57 同 歩(36)
58 6四角(42)
59 7一龍(77)
60 4九角打
61 5七飛(58)
62 3五銀(44)
63 5五歩(56)
64 3六歩打
65 2五桂(37)
66 2六銀(35)
67 同 銀(27)
68 5三角(64)
69 7八龍(71)
70 2六角(53)
71 3六金(47)
72 3五銀打
73 2六金(36)
74 同 銀(35)
75 3六歩打
76 4五桂打
77 同 歩(46)
78 4六金打
79 5九飛(57)
80 3八角成(49)
81 同 玉(28)
82 3七銀成(26)
83 2九玉(38)
84 3八歩打
85 2八歩打
86 3三桂(21)
87 同 桂成(25)
88 同 金(32)
89 2六銀打
90 3六金(46)
91 3七銀(26)
92 同 金(36)
93 2六銀打
94 2七銀打
95 投了
まで94手で後手の勝ち


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20170521今日の一手(その511);自然な手を考える

2017-05-21 | 今日の一手
20170521今日の一手

4月22日の名南将棋大会から、TさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしと見ます。
玉の堅さは同等です。同じ形ですから。
先手の攻め駒は55桂と持ち駒銀で2枚。59飛も働きそうですが。
後手の攻め駒は52飛73角44桂と持ち駒銀で4枚。

総合すればやや後手もちです。

☆ 大局観として
後手が82の飛を52に回って飛車を使ったところです。これで攻め駒4枚。だけど危険ですね。派手な筋が見えますが、それでよいかどうか。玉の堅さが同等なので、少しでも有利になれば1手勝ちとなりやすいのですが。
駒得を目指すか、55桂を守っておくか。いずれにせよ駒の損得がかかわってきます。迷ったときは自然な手を選びましょう。


○ (私は見えるのに時間がかかったのですが)43桂成がありますね。

59飛成なら33成桂同金59角

で桂金交換で駒得です。後手は52飛などを防いで58飛49金51飛成77角

というくらい。竜を作られて駒得は減りましたが、後手玉が薄くなりましたし44桂も中途半端。先手有利です。

後手の変化は43桂成に58歩くらい。

33成桂同金69飛57飛成65歩

これも先手有利でしょう。


△ 41銀のほうが見えるかもしれません。

55飛同飛同角32銀成同金

ここで33金は同玉53飛43桂

で無理筋。角は抜けません。

もどって51飛に後手は56飛

と打ち返すのが最善で、47金打に73角

これで56飛成同桂65歩33銀56金44歩

とするか、

56金51角65歩

33銀55金43歩45歩36桂同銀69飛

という変化か。
どちらにせよ駒の損得はほぼなくて後手玉も33銀と打てば堅さを取り戻すので互角です。


× 実戦は54歩同飛45歩

と進みました。54歩の打ち捨ては意味がないのですぐに45歩でもほぼ同じです。桂取りに桂取りで返したわけです。55飛同飛同角51飛に57飛

と打たれたら先手玉が危険でした。37角成の素抜き筋と、37角成同金39銀での寄り筋があります。

実戦は58から飛を打たれたので

これなら46銀で大丈夫。(57飛だったら46同角で大損でしたが。)49銀に55飛成

と角を取れば先手有利です。38銀成同金55飛成同銀58飛

ここでは強く44銀として同金に47銀

ならば先手優勢。

あるいは65歩56桂44銀

でも先手有利でしょう。

戻って実戦では自玉を危険だとみて単に47銀として55飛成

で形勢不明です。この後も互角の戦いでしたが

ここで33角成からの即詰みを逃し、35桂13玉33角成

で必至をかけたら37歩成から詰まされて後手のJさんの勝ちに終わりました。

なお、45歩としたのは44桂を取りたかったからなのですが、取ると45桂

と打たれるので取りきれません。


△ おとなしく指すなら56歩と守ります。

53飛に45歩だと56桂同飛55飛

とさばかれ、55同飛同角65歩77角成同桂49飛

は形勢互角です。先手からは44桂がありますが、後手には66角があります。先に飛を打てるほうが勝ちやすいか。

もっとおとなしく53飛には65銀として

56桂を防ぐべきでしょう。上から打つのは54歩に63桂成同銀74銀

と使えるからで、43飛73銀成同桂72角

2枚換えは損ですが、馬を作ればまあまあです。


○ 一番筋の良いのは65歩です。

歩を打つよりも角を使うほうが良いわけです。53飛には64歩同角65銀

82角54歩51飛63桂成

銀を使うので空振りになるとひどいですが、飛角を抑え込めば勝てます。

後手は65歩に58歩か。

でも後手は歩切れになるので怖くはないです。(63桂成は57飛成でやや損ですが)58同飛に49銀では歩切れのまま。67銀59飛76銀不成には63桂成

58歩52成桂59歩成

強く44角同金41飛33角42銀

と攻めてしまえば76銀は空振りですから先手優勢です。


☆ まとめ
形勢がやや有利あるいは互角、というときは迷ったら自然な手を考えるのが良いでしょう。自然ではない手の組み合わせを読んでも無駄になることのほうが多いです。
自然な手とは
駒を得する手、損しない手
自分の駒の働きを良くする手、相手の駒の働きを悪くさせる手

のことです。

43桂成は駒を捨てる不自然な手ですが、59飛成に33成桂同金59角までセットで見えれば、駒得です。ただし59角の働きが悪いので、77角~65歩まで使うことを忘れずに。

41銀は後手玉を薄くするので、相手の守りの駒の働きを悪くさせる手なのですが、桂損(銀桂と金の交換)になります。その先まで読まないと指せませんが、駒損になるのは不自然だ、と切り捨ててもよいでしょう。

45歩あるいは54歩同飛45歩は桂の取り合いにしましょう、という意味合いですが、実際には取り返すことができません。後から駒を取り返すというのは、その間に相手に手段があるかもしれないので不安なのです。

55桂を守るなら56歩は手堅く見えるけれど、後で56桂同飛55飛とさばく手段を与えます。56歩自体が飛車先を止めてしまう手なので自然な手ではありませんね。

65歩が角を使って55桂を守る手で、一番自然なのだと思います。自分の駒の働きを良くして、駒損しないわけですから。相手の応手によってすぐに戦いになっても、角が使えそうなので安心できます。
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