名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(524); 四間飛車に35歩急戦(加藤一二三)

2017-05-19 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

(負けましたが)先手番勝浦先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜

昭和55年2月、加藤一二三先生と第29期王将戦第4局です。

大山先生の四間飛車に加藤先生は急戦

となれば棒銀だと思っていたら、ななめ棒銀の35歩でした。

大山先生はいつもの32金だったので、加藤先生は34歩と取り込んで38飛。

45歩が見えているのでななめ棒銀はやりにくかったのでしょう。角を出て

28に引いて82玉を狙います。

大山先生は飛を切り

加藤先生は強気に8筋から。37桂~45桂を狙うくらいが本筋かという気がしますが、76歩同金49角があるんですね。85同歩に39飛~89飛のつもりか。

大山先生は76歩の筋ではなく、42金と備えてから歩を垂らします。

61飛を誘って自陣角。

51飛成にすぐ52金は危険だったか。桂を取られて33角が浮きます。

竜を取らずに66歩。こういう両取りが続く激しい将棋は目がちかちかします。33飛成や31竜ではだめですね。金で取って

66同角に66同銀21角31飛成は87歩成から89飛が厳しいから竜を逃げました。

22角に32飛成ですか。加藤先生は飛を渡すと怖いです。

32同角に金を取れば詰めろ。飛を打つ一手に

83金から玉を追って、一目は85金64玉32竜同飛43角ですが、87歩成が厳しくて先手の負け。

66桂同角に飛を取り

角を取って一段落。駒の損得はなく良い勝負、と思ったら88金から詰み筋があります。

それを逃しましたが89飛から76桂が詰めろ。
加藤先生は銀を捨て、97角を打ってから飛を取りました。ここで87金の詰めろ。35飛65歩を入れてから

追っていけば64歩52玉32飛成とできて、加藤先生の勝ち筋でした。

桂を外したものの、後手玉が寄りません。角を取られて97同香に87歩成は88金で難しい・・・と考えていたら97同香に98角から飛を抜けば後手の勝ちです。

投了図。

私はこういう派手な将棋は苦手で、ちょっと間違うとあっという間に負けてしまいます。本譜のやり取りが最善かどうかわからないのですが、加藤先生がやや悪いくらいかな、と思って並べていました。終盤も含めて、変化をいろいろ調べてみるとよいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:加藤一二三王将
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 3六歩(37)
18 4三銀(32)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 5七銀(68)
22 6四歩(63)
23 9六歩(97)
24 9四歩(93)
25 6八金(69)
26 7四歩(73)
27 3五歩(36)
28 3二金(41)
29 3四歩(35)
30 同 銀(43)
31 3八飛(28)
32 4三銀(34)
33 5五角(88)
34 7三銀(72)
35 6六歩(67)
36 5四銀(43)
37 2八角(55)
38 4五歩(44)
39 7七桂(89)
40 8四歩(83)
41 6七金(58)
42 7二金(61)
43 8六歩(87)
44 2四歩(23)
45 6五歩(66)
46 同 歩(64)
47 7五歩(76)
48 4六歩(45)
49 同 角(28)
50 同 飛(42)
51 同 歩(47)
52 7五歩(74)
53 8五歩(86)
54 4二金(32)
55 8四歩(85)
56 8六歩打
57 6一飛打
58 4三角打
59 5一飛成(61)
60 5二金(42)
61 2一龍(51)
62 6六歩(65)
63 同 金(67)
64 同 角(33)
65 4一龍(21)
66 2二角(66)
67 3二飛成(38)
68 同 角(43)
69 5二龍(41)
70 6二飛打
71 8三金打
72 同 金(72)
73 同 歩成(84)
74 同 玉(82)
75 8四歩打
76 7四玉(83)
77 6六桂打
78 同 角(22)
79 6二龍(52)
80 8七歩成(86)
81 同 玉(78)
82 6二銀(73)
83 6六銀(57)
84 8九飛打
85 7八玉(87)
86 7六桂打
87 7五銀(66)
88 同 玉(74)
89 9七角打
90 8六歩打
91 8九玉(78)
92 8七金打
93 8五金打
94 6四玉(75)
95 7四飛打
96 6三玉(64)
97 7六飛(74)
98 9七金(87)
99 8六飛(76)
100 8七銀打
101 同 飛(86)
102 同 金(97)
103 8八銀打
104 8六歩打
105 投了
まで104手で後手の勝ち



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20170519今日の一手(その510);丁寧に受ける

2017-05-19 | 今日の一手
20170519今日の一手

4月22日の名南将棋大会から、AさんとJさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手1歩損ですが持ち歩があります。馬を作っている分だけ駒得です。
玉の堅さは46馬が消えると思えば後手玉のほうが堅く、46馬が残れば同程度。さらに56銀も入れれば先手玉が堅いです。
先手の攻め駒は46馬1枚。
後手の攻め駒は54飛と持ち駒角で2枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
ここ数手で先手玉の堅さが変動しそうで、あわせて形勢も変動します。
もとは中飛車左穴熊なのだと思います。8筋の歩の関係は先手の得で、飛車を追われた時に縦に逃げることができます。後手は右桂を使えていないので戦力不足。そういうこともあわせると、4枚の穴熊は堅いですが、馬を作った先手が十分でした。でも角を合わされたのが好手。先手玉が堅いとは言えなくなりそうです。
右辺をうまく受けて、その先の話ですが84歩から飛を使えれば先手が良くなりそうです。


× 実戦は24同馬と取りました。

24同銀に72角で

また馬を作れば、という手でしたが、56飛同金36歩。

金が離れてしまったので、美濃囲いが極端に弱体化してしまいました。桂損を甘受して44歩37歩成同銀67角58飛打

と頑張りました。47銀57金58銀成同金上34角成

45銀33馬34歩42馬43歩成同馬44歩76馬

先手が悪いですが、悪いなりにうまく指していたと思います。けれど形勢は回復せず、77歩58馬同飛49飛から寄せられてしまいました。

最初に戻って24同馬同銀に55歩が普通なのですが34飛

で歩切れではどうしようもありません。


× 55歩も34飛

で歩切れ。これも指しようがありません。


△ 実戦の24同馬以下では56飛と切られたのが痛かったのです。55歩と防ぐのもだめでしたが、思い切って55銀はあります。

今度は34飛に36歩で受けやすいわけです。46角には同銀

で飛切りがないですね。79角87飛68角成63角51飛52歩41飛54角成

やや先手よしですが、後手は馬で飛を追って千日手にできます。千日手回避で78馬57飛89馬では自信なし。そこまで考えれば形勢は互角です。


○ もう少し工夫すると35歩。

34歩の合わせに55銀

これは飛を引くしかなく、51飛84歩35角83歩成。

1歩を犠牲にかなり手を稼いだ感じです。後手34歩の存在や51飛の位置が違いますが、2手稼いだようなものです。46角同銀79角84飛

87に飛を逃げるほうが受けに働きますが、68角成~86歩で抑えられるので上に逃げるほうが簡明です。46角成同金57飛成47金68竜93と同桂82飛成

これくらいが想定図で、後手に34歩を打たせているので後手の36歩もなく、先手玉が薄いとはいえ駒得で十分に指せるでしょう。

なお、35歩に後手34歩では悪いとみて、34銀

から猛攻するというのは少々無理気味でもあり得ます。銀得するので先手が良さそうですが。


× 36馬と逃げて79角成86飛

というのはかなり気味が悪いです。後手から35歩や69馬が利くので、うまく攻められたら悪いです。ただ後手がうまい組み合わせを見つけられなければ互角です。


× 55馬は危なくて

55同飛同銀79角成

喜んで飛を切られます。86飛56歩58歩68角87飛78馬

飛車を逃げて桂馬を取られるのは痛いです。


× 1手パス、例えば84歩なら

46角同金79角48飛57角成

これは防戦困難です。


× 58飛は79角を防いで、ありそうな受けですが

46角同金36歩同金69角

という攻め筋でつぶれています。


× ひねると57歩の受けですが

46角同金79角58飛に56飛

歩で取れず、56同金に67銀・・・というのは美濃囲いが薄すぎます。


☆ まとめ
4枚の居飛穴を受けるのはしんどいのですが、攻め駒が少ないので受けやすいということはあります。この場合は右桂を使われないので飛角だけの攻めなのでかなり受けやすいはず。でも37桂の頭に弱点があり、銀冠だったらかなり楽だったのですが。

後手のねらいは馬を消して56飛同金36歩の筋です。それを避けるために銀を守りたい。

55歩は普通の守り方ですが、歩切れになって3筋を狙われるのでまずいです。

55銀は思い切った受けですが、飛きりがなければ46角同銀と取り返した形でうまく飛から逃げられました。

35歩と受けて手を稼ぐともっと楽です。手を稼いで8筋を攻めることができます。

57歩や58飛も飛切りに対応した受け方ですが、それでも56飛と切る筋があるので後手の攻めの選択肢があります。

36馬と逃げて79角成はかなりやりにくい手で、後手にうまい手があると負けます。

結局は馬を消されるのは仕方がないようで、56の銀を46に移動して(55銀46角同銀)美濃囲いの堅さをキープできれば互角以上に指せます。馬を消されると先手玉が薄くなるので丁寧に受ける必要が有りますが、後手の攻め駒が少ないので楽しみも多いです。
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