☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?
☆ 今日の棋譜
昭和55年2月、田丸昇先生と第19期十段戦です。

大山先生の四間飛車に田丸先生は88玉型の左美濃です。

先手番でここまで備えれば65歩の筋ではつぶれません。

54銀には37角が形。65歩に備えています。

どこから戦いが始まるかですが

やはり4筋から。

46銀と進んだ時に65歩は気になりますね。44歩が手筋で、44同角55銀、あるいは44同飛65歩という進行もあります。

本譜は素直に65同歩だったので、66歩を打たれます。そこでこの65桂が成立するかどうか。65同桂では67歩成で先手敗勢。後手も46の銀が移動すれば王手になりますから互いに怖いです。

44歩の手筋に大山先生は金を寄って一安心です。

銀がすれ違って

47歩から56銀には46飛かと思いましたが48に。この辺りが問題です。

大山先生は45桂を打ってから銀を追い返し

先手玉を固めさせるというのはずいぶん損をしたように思えるのですが

その後の26角が良い手だったというわけです。58飛に桂を捨てて二枚換えでも飛車を成ってよしと見ました。

田丸先生は角を切って後手玉を薄くして勝負。

さて、角と金桂の二枚換えです。大山先生は駒損なのですが、大駒の働きが違います。89金があるので

互いに自陣に手を入れます。大山先生は駒を補充できるので次第に駒損は回復できます。

大好きな馬を作り、十分です。

田丸先生は飛が働いていないのが痛いです。小駒だけでも玉頭から攻めますが

桂2枚で金を取るだけでは

攻め駒が減ってしまいます。

大山先生にしっかり受けられて

自玉を固めて待つのも、駒損の時にはうまくないです。

そろそろ大山先生は玉を逃げ出すのかな、という頃合い。

ちょっと欲張って香で金を取り

桂で銀を取ってから

一度銀を埋めて

玉を逃げ出しました。

これはちょっと危険で、先手玉は薄くなっていますが、攻め駒も増えています。

ここは37飛同馬44角で寄ればよいのですが、53銀51銀52玉42金同銀62角成43玉・・・と攻めると先手玉も危ないです。田丸先生は金でしばって

銀を打ち込んで勝負。

後手玉だけみるとかなり危険です。先手玉も露出しているので

大山先生は王手で馬を逃げて43の金を取れば勝ちです。

64馬でもよいのですね。清算して押さえて43金と取れば勝てます。

本譜は金も剥がして

投了図。
玉の堅さが同等ですから、中盤での読みあいが勝負です。持ち駒の桂を打ち(左桂を跳ねるならわかるのですが)、先手玉を固めさせ、打った桂を捨てて飛車を成ってよし、なんて筋の悪い順で後手よしだとは思いませんでした。大山先生の不思議な感覚です。
逆転はしていないのですが、終盤も派手になって面白い将棋です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:田丸昇6段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 4三銀(32)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 7七角(88)
18 8二玉(72)
19 8八玉(78)
20 5二金(41)
21 7八銀(79)
22 7二銀(71)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 3六歩(37)
26 7四歩(73)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6七金(58)
30 7三桂(81)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 1六歩(17)
34 1四歩(13)
35 5九角(77)
36 4五歩(44)
37 7七桂(89)
38 5四銀(43)
39 3七角(59)
40 8四歩(83)
41 8六歩(87)
42 8三銀(72)
43 8七銀(78)
44 7二金(61)
45 7八金(69)
46 2二飛(42)
47 4六歩(47)
48 4二飛(22)
49 4八飛(28)
50 4六歩(45)
51 同 銀(57)
52 6五歩(64)
53 同 歩(66)
54 6六歩打
55 6八金(67)
56 6五桂(73)
57 4四歩打
58 7三金(63)
59 6五桂(77)
60 同 銀(54)
61 5五銀(46)
62 4七歩打
63 同 飛(48)
64 5六銀(65)
65 4八飛(47)
66 4五桂打
67 4六角(37)
68 5四歩(53)
69 6六銀(55)
70 4四角(33)
71 6七歩打
72 6五歩打
73 7七銀(66)
74 2六角(44)
75 5八飛(48)
76 5七桂成(45)
77 同 金(68)
78 同 銀(56)
79 7三角成(46)
80 同 金(72)
81 5七飛(58)
82 4九飛成(42)
83 5九歩打
84 6三金打
85 6六歩(67)
86 4八角成(26)
87 6七飛(57)
88 5五角打
89 5七桂打
90 1九角成(55)
91 6五桂(57)
92 7二金(73)
93 7五歩(76)
94 6四歩打
95 7四歩(75)
96 6五歩(64)
97 7五桂打
98 7四銀(83)
99 6三桂成(75)
100 同 銀(74)
101 7六銀(87)
102 5九龍(49)
103 7四歩打
104 8一桂打
105 8五歩(86)
106 5八馬(48)
107 6八銀打
108 2九龍(59)
109 5九歩打
110 6九馬(58)
111 7九金(78)
112 3六馬(69)
113 8四歩(85)
114 7五歩打
115 同 銀(76)
116 8五香打
117 8六金打
118 同 香(85)
119 同 銀(77)
120 7六桂打
121 8七玉(88)
122 6八桂成(76)
123 同 金(79)
124 8五歩打
125 同 銀(86)
126 6四銀打
127 7八香打
128 7一玉(82)
129 8三歩成(84)
130 同 金(72)
131 8四歩打
132 8二金(83)
133 6五歩(66)
134 7五銀(64)
135 同 香(78)
136 6二玉(71)
137 3七歩打
138 同 馬(19)
139 4三金打
140 5二金打
141 6四歩(65)
142 同 馬(37)
143 7三銀打
144 同 桂(81)
145 同 歩成(74)
146 同 金(82)
147 同 香成(75)
148 同 馬(64)
149 7四歩打
150 8六歩打
151 9七玉(87)
152 8八銀打
153 8六玉(97)
154 7五銀打
155 同 玉(86)
156 6四馬(73)
157 7六玉(75)
158 7五香打
159 8六玉(76)
160 7七銀(88)
161 同 金(68)
162 同 香成(75)
163 同 玉(86)
164 8六金打
165 7八玉(77)
166 7七歩打
167 投了
まで166手で後手の勝ち

先手番大山先生の次の手は?
☆ 今日の棋譜
昭和55年2月、田丸昇先生と第19期十段戦です。

大山先生の四間飛車に田丸先生は88玉型の左美濃です。

先手番でここまで備えれば65歩の筋ではつぶれません。

54銀には37角が形。65歩に備えています。

どこから戦いが始まるかですが

やはり4筋から。

46銀と進んだ時に65歩は気になりますね。44歩が手筋で、44同角55銀、あるいは44同飛65歩という進行もあります。

本譜は素直に65同歩だったので、66歩を打たれます。そこでこの65桂が成立するかどうか。65同桂では67歩成で先手敗勢。後手も46の銀が移動すれば王手になりますから互いに怖いです。

44歩の手筋に大山先生は金を寄って一安心です。

銀がすれ違って

47歩から56銀には46飛かと思いましたが48に。この辺りが問題です。

大山先生は45桂を打ってから銀を追い返し

先手玉を固めさせるというのはずいぶん損をしたように思えるのですが

その後の26角が良い手だったというわけです。58飛に桂を捨てて二枚換えでも飛車を成ってよしと見ました。

田丸先生は角を切って後手玉を薄くして勝負。

さて、角と金桂の二枚換えです。大山先生は駒損なのですが、大駒の働きが違います。89金があるので

互いに自陣に手を入れます。大山先生は駒を補充できるので次第に駒損は回復できます。

大好きな馬を作り、十分です。

田丸先生は飛が働いていないのが痛いです。小駒だけでも玉頭から攻めますが

桂2枚で金を取るだけでは

攻め駒が減ってしまいます。

大山先生にしっかり受けられて

自玉を固めて待つのも、駒損の時にはうまくないです。

そろそろ大山先生は玉を逃げ出すのかな、という頃合い。

ちょっと欲張って香で金を取り

桂で銀を取ってから

一度銀を埋めて

玉を逃げ出しました。

これはちょっと危険で、先手玉は薄くなっていますが、攻め駒も増えています。

ここは37飛同馬44角で寄ればよいのですが、53銀51銀52玉42金同銀62角成43玉・・・と攻めると先手玉も危ないです。田丸先生は金でしばって

銀を打ち込んで勝負。

後手玉だけみるとかなり危険です。先手玉も露出しているので

大山先生は王手で馬を逃げて43の金を取れば勝ちです。

64馬でもよいのですね。清算して押さえて43金と取れば勝てます。

本譜は金も剥がして

投了図。
玉の堅さが同等ですから、中盤での読みあいが勝負です。持ち駒の桂を打ち(左桂を跳ねるならわかるのですが)、先手玉を固めさせ、打った桂を捨てて飛車を成ってよし、なんて筋の悪い順で後手よしだとは思いませんでした。大山先生の不思議な感覚です。
逆転はしていないのですが、終盤も派手になって面白い将棋です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:田丸昇6段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 4三銀(32)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 7七角(88)
18 8二玉(72)
19 8八玉(78)
20 5二金(41)
21 7八銀(79)
22 7二銀(71)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 3六歩(37)
26 7四歩(73)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6七金(58)
30 7三桂(81)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 1六歩(17)
34 1四歩(13)
35 5九角(77)
36 4五歩(44)
37 7七桂(89)
38 5四銀(43)
39 3七角(59)
40 8四歩(83)
41 8六歩(87)
42 8三銀(72)
43 8七銀(78)
44 7二金(61)
45 7八金(69)
46 2二飛(42)
47 4六歩(47)
48 4二飛(22)
49 4八飛(28)
50 4六歩(45)
51 同 銀(57)
52 6五歩(64)
53 同 歩(66)
54 6六歩打
55 6八金(67)
56 6五桂(73)
57 4四歩打
58 7三金(63)
59 6五桂(77)
60 同 銀(54)
61 5五銀(46)
62 4七歩打
63 同 飛(48)
64 5六銀(65)
65 4八飛(47)
66 4五桂打
67 4六角(37)
68 5四歩(53)
69 6六銀(55)
70 4四角(33)
71 6七歩打
72 6五歩打
73 7七銀(66)
74 2六角(44)
75 5八飛(48)
76 5七桂成(45)
77 同 金(68)
78 同 銀(56)
79 7三角成(46)
80 同 金(72)
81 5七飛(58)
82 4九飛成(42)
83 5九歩打
84 6三金打
85 6六歩(67)
86 4八角成(26)
87 6七飛(57)
88 5五角打
89 5七桂打
90 1九角成(55)
91 6五桂(57)
92 7二金(73)
93 7五歩(76)
94 6四歩打
95 7四歩(75)
96 6五歩(64)
97 7五桂打
98 7四銀(83)
99 6三桂成(75)
100 同 銀(74)
101 7六銀(87)
102 5九龍(49)
103 7四歩打
104 8一桂打
105 8五歩(86)
106 5八馬(48)
107 6八銀打
108 2九龍(59)
109 5九歩打
110 6九馬(58)
111 7九金(78)
112 3六馬(69)
113 8四歩(85)
114 7五歩打
115 同 銀(76)
116 8五香打
117 8六金打
118 同 香(85)
119 同 銀(77)
120 7六桂打
121 8七玉(88)
122 6八桂成(76)
123 同 金(79)
124 8五歩打
125 同 銀(86)
126 6四銀打
127 7八香打
128 7一玉(82)
129 8三歩成(84)
130 同 金(72)
131 8四歩打
132 8二金(83)
133 6五歩(66)
134 7五銀(64)
135 同 香(78)
136 6二玉(71)
137 3七歩打
138 同 馬(19)
139 4三金打
140 5二金打
141 6四歩(65)
142 同 馬(37)
143 7三銀打
144 同 桂(81)
145 同 歩成(74)
146 同 金(82)
147 同 香成(75)
148 同 馬(64)
149 7四歩打
150 8六歩打
151 9七玉(87)
152 8八銀打
153 8六玉(97)
154 7五銀打
155 同 玉(86)
156 6四馬(73)
157 7六玉(75)
158 7五香打
159 8六玉(76)
160 7七銀(88)
161 同 金(68)
162 同 香成(75)
163 同 玉(86)
164 8六金打
165 7八玉(77)
166 7七歩打
167 投了
まで166手で後手の勝ち