名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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20181019今日の一手(その771);歩の損得

2018-10-19 | 今日の一手

20181019今日の一手

7月14日の名南将棋大会から、NさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
少し前はこの図で

先手Mさんから仕掛けました。桂頭をねらってさばこうというわけですね。75同歩68角65桂というのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損で持ち歩がないのですから後手の駒得です。
玉の堅さは金銀2枚VS3枚でも先手玉は深いので同程度と見ておきます。
先手の攻め駒は66銀78飛68角で3枚。
後手の攻め駒は65桂1枚。
総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手は歩を突き捨てて攻めよう(さばこう)としたのですから、継続の攻めがなければいけません。手は広くないですが、少し先まで読めるでしょうか。
自玉が穴熊だからと言っても金銀2枚です。後手玉よりも戦場から遠いけれど堅いわけではないので、まだ駒損でもよしというわけにはいきません。なるべく駒損を避けて攻めましょう。


× 実戦は65同銀で

65同銀75飛74銀打

ここまでは見えますね。飛車を切って強攻するわけにもいかず、78飛72飛57角75歩66桂83銀

この図は失敗だということに気が付かねばなりません。89桂と83銀、66桂と65銀という2つの組み合わせの比較です。89桂と83銀は対等だと主張しても、66桂と65銀では銀のほうが使いやすいですね。66桂を跳ねるところがないのです。やはり銀桂交換でも駒損では苦しいのです。(89桂が持ち駒ならば違うのですが。)


○ 予定通りの75銀は

77歩同桂75銀

65桂76銀打

やはり銀桂交換、ではありません。銀と桂歩の二枚換えです。しかも73桂成とできる、後手に銀を使わせたというのも利点です。(84銀打でも73桂成とできます。)
73桂成84飛57角

銀取りを防ぐ手段がないので、67銀成75角78成銀84角69成銀61飛

今度は金桂交換で駒損が広がっているのですが、先手の攻め駒は3枚、62成桂から使えば攻め駒4枚です。後手は69成銀は使いにくくて攻め駒2枚。先手の寄せ合い勝ちになるでしょう。

後手が飛車を84以外のところに逃げると

58金45歩74成桂

成桂を引いて銀を取ることができます。

後手としては75銀に77歩ではだめで、72飛

とするのでしょう。66銀75歩もありますが、64銀78飛成同金64歩

飛銀の総交換にして先手番です。66歩77歩79金57銀72飛42銀65歩68銀成同金

と指したくなりますが、ここでは角と銀桂の二枚換えでも88飛で取り返されるから面白くないかもしれません。

77歩には同桂

77同桂成72飛42銀77飛成

駒得(竜ができた)を主張すれば先手よしでしょう。穴熊が薄いのであまり急がない方が良いです。


×か△ 自分から77桂とぶつけると

77同桂成同飛72飛

桂はさばいたのですが歩損が続きます。56桂76歩64桂77歩成72桂成68と同金

56桂はぴったりに見えたのですが、取り合ってみると角銀交換+成桂ですから駒損でもたいしたことはないです。でも攻め駒が2枚対3枚では後手の寄せ合い勝ちになるのではないでしょうか。
79飛~99飛成から35桂~24香あるいは端攻めがあります。

桂を打たずにいると

歩損が大きくて後手もちです。


△ 他の手は何か待っているくらい。58金

が一番働いているでしょうか。72飛46歩22玉48金寄32銀

穴熊は堅くなったのですが、後手も美濃囲いに組めます。先手が仕掛けずにこういう図ならば歩損ではないのでこれからの勝負でした。ここでは後手もちです。

先手としては金を56にもっていく方が良いです。

これで77歩成から桂を交換、実際には桂歩と桂の交換で歩損が消えます。これならば互角です。


☆ まとめ
序盤の歩損で持ち歩なし、というのは少しつらいです。まだ先が長いのですから、小さな駒損でもひびきます。
得したほうから見ると、その得した筋の歩を伸ばしていくのが本筋です。72飛~76歩と圧力をかけると指しやすくなるのです。

実戦の65同銀同銀75飛というのは、歩を取り返したけれど銀桂交換なのです。玉も堅くはないし、左桂が取り残されているというのでは指しにくいはず。さらに手持ちの桂を打っても働かないのでは不利になってしまいました。

75同銀77歩・・・と進めばやはり銀桂交換ですが、今度は銀と桂歩の二枚換えなのです。しかも左桂がさばけているというおまけつき。後手のほうが歩切れに泣きます。

中盤でもゆっくりした戦いであれば、1歩の損得でも大きいですね。



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