20170523今日の一手

4月22日の名南将棋大会から、HさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂桂と銀の交換で、と金を作られています。後手の駒得です。ただし終盤戦なので重視しません。
玉の堅さは(相手の攻め駒は考えずに)先手玉がわずかに堅いか。53金対58金の違い、73桂と26銀の違いです。
先手の攻め駒は76飛と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は44角と 29と、持ち駒桂桂で4枚。
総合すればやや後手有利です。
☆大局観として
先手の優っているところは玉の堅さくらいですが、29と は不気味です。でも駒損なので自玉に手を戻すというのはあまりやりたくないのです。できれば攻め合いで勝ちたい、この問題図に至る前に、互いに殴り合いで攻めているのですから、寄せ合いで勝てないかなあ、という流れです。
寄せ合いにするなら、もう一枚攻め駒が欲しいです。65の銀を使うか、と金を作るとか。手は難しくないですが、少し読まないと間違えます。
× 29玉と と金を払うと

75歩同飛36桂

38金に37歩以下攻められて負けます。
あるいは61玉74銀72歩

と後手に受けられてもやや悪そうです。
× 74銀は自然に見えます。

一応は銀取りだったので、逃げつつ攻め駒が増えます。28と同玉55角

37歩36歩51角

で先手もやれそうに見えますが、74飛同飛37歩成同銀同桂成同金36桂38玉29銀

飛車を切られて寄せられます。
途中28と を取れず、49玉なのですが、75歩

が厄介です。75同飛は64金から74の銀を消されます。36飛は飛車交換を狙われて飛車を渡せません(35歩同銀同角同飛34飛という筋)。
86飛に84桂

となって、73銀成同金65桂77角成

では少し悪そうです。
○ 少し工夫して84歩。

これは手抜きにくいです。28と49玉は入るとして、84歩74銀75歩

83に穴が開いているので、75同飛64金に83角82玉61角成

きれいに必至がかかります。
○ 実戦は74歩でした。

銀を取らせて寄せようとしています。28と49玉37桂打59玉65桂

ここで先手Tさんが間違えました。73歩成同金51角に77角成。

詰めろ飛取りをかけたのですが、王手で飛車を消されます。77同飛に同桂不成が詰めろ。68玉に69飛で

ほとんど詰みです。
戻って73歩成を入れずに51角なら

76飛がいなくなっても、角をもらえば73銀からの詰めろです(77角成同飛同桂不成73銀81玉82歩92玉81角)。これなら勝ちでした。残念。
○ 先に51角もあって

28と49玉21飛に74歩

51飛73歩成同金74歩

駒を取りながら攻められます。74同金同銀62玉73銀成52玉62金

最後が重いですが、飛を取れば優勢です。
後手は飛を見切って99角成もあります。これには81銀と攻めないと怪しくなります。

(銀を打たないで24角成98馬は難しいです。)81同玉には62角成で受ける駒がなく、55馬に72金92玉73馬

で先手の勝ち。
81銀を取らないで71玉には

24角成98馬に51馬が詰めろ

という仕掛けで、76馬は間に合いません。
△ 54歩に52金引か。

64金と出てくる受けの筋が消えましたが、51角も消えました。これでも84歩同歩74銀を狙えば勝ちそうではあります。

× 他には35銀打

で大駒を取ることはできますが、あっさり99角成24銀98馬

飛を取られると39飛で終わりですし、飛を逃げて65馬でも悪いです。入玉できれば24の銀も働きますが、その余裕はなさそうです。
☆ まとめ
問題図のあたりが決めどころなのです。できればもっと前に

これくらいのところから、28歩は手抜いて勝てないか、と考えて、73歩成同銀85桂29歩成73桂成同桂
で問題図なわけですが、74歩と打って51角の筋できれいに勝ち、と読み切りたいですね。

これは先手が望めばほぼ一本道の変化です。後手としては1つ前の図で28歩ではなくて74歩から一回は受けるものだと思うのですが。53金と上ずらされているので、51角の筋があって、7筋がかなり危険なのです。
問題図では
74歩65桂51角が見えれば大正解。実戦では73歩成同金51角だったので、74歩の拠点が消えてしまって、後手にうっちゃりを食らいました。
先に51角でも勝ちそうなのですが、後手に変化の余地があります。後手は駒得しているので、飛車を捨てるのが勝負手でしょう。
攻めるなら74銀はいかにも自然ですが、84歩同歩を入れて74銀としないと負け筋です。83角と73銀成の両方の攻め筋を見せておけば後手は防戦困難でした。
29玉から受けに回るのは、問題図だけみたら考えるのですが、本当はもっと前に28歩と打たれたところで受けるべきです。あるいはさらに前に37の銀を追われた時に28にかわしてこの歩を打たれないように指しておくものです。問題図で(ここだけみると考えにくかったでしょうけれど)駒損して手を戻すのは変調です。
先手のTさんはベテラン、後手のTさんは中学生です。ベテランが若手に一直線の筋で勝ちにもっていくのは難しいのですが、これは勝ちだという確信があったのでしょうね。ところが最後に着地失敗が残念でした。
若手の読みは速いのですが、直線的なところしか読んでいません。ベテランは経験からいろいろな手を知っているので、基本的には枝分かれの部分で勝負すべきだと思います。この問題のように、直線で勝ち、というのは怖いです。
後手のTさんにアドバイスするとすれば、直線的な攻め合いを読んでしまうと、つい読んだとおりに指してしまうのですが、これは悪いのではないか、と気が付いたらその時点で対策を考えるのです。終盤に自信があるから寄せ合いは自分が勝つものだと思い込んでしまう(そういう経験のほうが多い)のですが、もっと幅を広げると強くなります。
こういう傾向は子どもに教える時に詰め将棋を解かせることの弊害だとは思います。やるなら必至問題のほうが良いです。

4月22日の名南将棋大会から、HさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂桂と銀の交換で、と金を作られています。後手の駒得です。ただし終盤戦なので重視しません。
玉の堅さは(相手の攻め駒は考えずに)先手玉がわずかに堅いか。53金対58金の違い、73桂と26銀の違いです。
先手の攻め駒は76飛と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は44角と 29と、持ち駒桂桂で4枚。
総合すればやや後手有利です。
☆大局観として
先手の優っているところは玉の堅さくらいですが、29と は不気味です。でも駒損なので自玉に手を戻すというのはあまりやりたくないのです。できれば攻め合いで勝ちたい、この問題図に至る前に、互いに殴り合いで攻めているのですから、寄せ合いで勝てないかなあ、という流れです。
寄せ合いにするなら、もう一枚攻め駒が欲しいです。65の銀を使うか、と金を作るとか。手は難しくないですが、少し読まないと間違えます。
× 29玉と と金を払うと

75歩同飛36桂

38金に37歩以下攻められて負けます。
あるいは61玉74銀72歩

と後手に受けられてもやや悪そうです。
× 74銀は自然に見えます。

一応は銀取りだったので、逃げつつ攻め駒が増えます。28と同玉55角

37歩36歩51角

で先手もやれそうに見えますが、74飛同飛37歩成同銀同桂成同金36桂38玉29銀

飛車を切られて寄せられます。
途中28と を取れず、49玉なのですが、75歩

が厄介です。75同飛は64金から74の銀を消されます。36飛は飛車交換を狙われて飛車を渡せません(35歩同銀同角同飛34飛という筋)。
86飛に84桂

となって、73銀成同金65桂77角成

では少し悪そうです。
○ 少し工夫して84歩。

これは手抜きにくいです。28と49玉は入るとして、84歩74銀75歩

83に穴が開いているので、75同飛64金に83角82玉61角成

きれいに必至がかかります。
○ 実戦は74歩でした。

銀を取らせて寄せようとしています。28と49玉37桂打59玉65桂

ここで先手Tさんが間違えました。73歩成同金51角に77角成。

詰めろ飛取りをかけたのですが、王手で飛車を消されます。77同飛に同桂不成が詰めろ。68玉に69飛で

ほとんど詰みです。
戻って73歩成を入れずに51角なら

76飛がいなくなっても、角をもらえば73銀からの詰めろです(77角成同飛同桂不成73銀81玉82歩92玉81角)。これなら勝ちでした。残念。
○ 先に51角もあって

28と49玉21飛に74歩

51飛73歩成同金74歩

駒を取りながら攻められます。74同金同銀62玉73銀成52玉62金

最後が重いですが、飛を取れば優勢です。
後手は飛を見切って99角成もあります。これには81銀と攻めないと怪しくなります。

(銀を打たないで24角成98馬は難しいです。)81同玉には62角成で受ける駒がなく、55馬に72金92玉73馬

で先手の勝ち。
81銀を取らないで71玉には

24角成98馬に51馬が詰めろ

という仕掛けで、76馬は間に合いません。
△ 54歩に52金引か。

64金と出てくる受けの筋が消えましたが、51角も消えました。これでも84歩同歩74銀を狙えば勝ちそうではあります。

× 他には35銀打

で大駒を取ることはできますが、あっさり99角成24銀98馬

飛を取られると39飛で終わりですし、飛を逃げて65馬でも悪いです。入玉できれば24の銀も働きますが、その余裕はなさそうです。
☆ まとめ
問題図のあたりが決めどころなのです。できればもっと前に

これくらいのところから、28歩は手抜いて勝てないか、と考えて、73歩成同銀85桂29歩成73桂成同桂
で問題図なわけですが、74歩と打って51角の筋できれいに勝ち、と読み切りたいですね。

これは先手が望めばほぼ一本道の変化です。後手としては1つ前の図で28歩ではなくて74歩から一回は受けるものだと思うのですが。53金と上ずらされているので、51角の筋があって、7筋がかなり危険なのです。
問題図では
74歩65桂51角が見えれば大正解。実戦では73歩成同金51角だったので、74歩の拠点が消えてしまって、後手にうっちゃりを食らいました。
先に51角でも勝ちそうなのですが、後手に変化の余地があります。後手は駒得しているので、飛車を捨てるのが勝負手でしょう。
攻めるなら74銀はいかにも自然ですが、84歩同歩を入れて74銀としないと負け筋です。83角と73銀成の両方の攻め筋を見せておけば後手は防戦困難でした。
29玉から受けに回るのは、問題図だけみたら考えるのですが、本当はもっと前に28歩と打たれたところで受けるべきです。あるいはさらに前に37の銀を追われた時に28にかわしてこの歩を打たれないように指しておくものです。問題図で(ここだけみると考えにくかったでしょうけれど)駒損して手を戻すのは変調です。
先手のTさんはベテラン、後手のTさんは中学生です。ベテランが若手に一直線の筋で勝ちにもっていくのは難しいのですが、これは勝ちだという確信があったのでしょうね。ところが最後に着地失敗が残念でした。
若手の読みは速いのですが、直線的なところしか読んでいません。ベテランは経験からいろいろな手を知っているので、基本的には枝分かれの部分で勝負すべきだと思います。この問題のように、直線で勝ち、というのは怖いです。
後手のTさんにアドバイスするとすれば、直線的な攻め合いを読んでしまうと、つい読んだとおりに指してしまうのですが、これは悪いのではないか、と気が付いたらその時点で対策を考えるのです。終盤に自信があるから寄せ合いは自分が勝つものだと思い込んでしまう(そういう経験のほうが多い)のですが、もっと幅を広げると強くなります。
こういう傾向は子どもに教える時に詰め将棋を解かせることの弊害だとは思います。やるなら必至問題のほうが良いです。
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