2012年2月18日(土) 今年の冬は寒くて風も強く、シーカヤッカー泣かせである。 キャンプツーリング/泊付きツーリングが大好きな私としては、仕事の忙しさもあって、この冬はあまり一泊二日のツーリングに行けていないのだが、この週末は気温こそ低いものの晴れの予報。
これは、何があっても出掛けるしかない!!!
前日の夜のうちにシーカヤックとMTBをカートップし、外泊道具の準備もしておいたので、6時半過ぎに家を出発。 とはいえ、クルマのフロントガラスが凍っていたので、出発するまで5分程度時間が掛かった。 さてさて、どんな週末になるのだろうか。
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アテンザワゴンで東に向かって走る途中、安浦付近でちょうど日の出の時刻。
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この辺りは『平清盛』の撮影に使われたロケ現場。 今朝の日の出が良い雰囲気だったので、海岸沿いの空き地にクルマを停めてしばし撮影。
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再び走り出し、竹原市内に入った頃から道路が白くなっていた。 昨夜の雪が残っているようだ。
ラジオの道路情報や、カーナビの情報からすると、尾道バイパスは部分的に凍結しており、速度規制が掛かっている模様。 確かに東の空は、雪も残っている感じ。
しばし考え、ルートを変更。 久し振りに、忠海からフェリーで大三島に渡り、大三島経由で因島、生名島に行くルートにしよう!
忠海のフェリー乗り場に到着。
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フェリーを待っていると、雪が降ってきた。 ピーク時には、対岸の大三島が見えなくなるほど。。。 うーん、この週末は、本当に漕げるのか?
なんとかフェリーに乗り、大三島、生口島、そして因島経由で生名島へ。
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最近は、生名島に通う事が多いので、フェリーも回数券である。
生名島のいつもの浜に着いたが、風が強く、漕ぎ出す事は難しそう。
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まあ、お散歩ツーリング程度なら、なんとか漕げない事もないのだが、のんびりまったりツーリングが大好きな私としては、楽しめそうもないシチュエーション。 『今日は陸上で、のんびりするとしよう』
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久し振りに因島へ渡り、町を散策。 買い出しも、久し振りに因島で。
風も強く、時折雪も舞う因島&生名島。 さすがに夕方には雪も止み、風も落ちてきたので、カートップしてきたMTBで島を一周。
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岩城島や、四国本土方面は、雪が降っている雰囲気。
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気温は低いが、夕暮れ近い静かな島の道を走るのは、気持ち良い。
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お気に入りのキャンプ場に戻ってきたら、ここからは『飲むべし! 飲むべし! 飲むべし!』
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今日は、因島で仕入れてきた刺身と、家から持参した野菜をメインにした湯豆腐。 湯豆腐には、最後に牡蠣を投入して瀬戸内の冬らしい味覚を味わおうという魂胆。
まずは、なんと言ってもビール、ビール、ビール! キリンビールの缶を『プシュリ』。 キャンプ用のカップに『トクトクトク』
『いただきまーす!』 カップを持って『ゴクリ』 いやあ、たまらんなあ。 これぞ、キャンプツーリングの楽しみや!
再び『トクトクトク』 カップを持って『グビーリ、グビグビ』 『プハーッ』
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鍋の中で軽く湯がいた『牡蠣』も、プリップリで『うん、美味い!』
残った牡蠣は、ストームクッカーのフライパンにオリーブオイルをタラリ。 牡蠣を軽く焼いて伯方の塩をパラリ。
口に含むと、牡蠣の旨味が『ジュワーッ、ジュワリ』 『ああ、堪らん!!!』
これぞ、冬のキャンプツーリング。
〆は、五さんに教えていただいた『天野フーズのフリーズドライカレー』 温めたパパッとライスと組み合わせていただくと、『あー、美味い』
ビールを堪能した後は、焼酎をチビリちびりと飲りながら、独りの長い夜を楽しむ。 さて、そろそろ寝るとしようか、『オヤスミナサイ』
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2012年2月19日(日) 暖かい冬用シュラフの上から、ブランケットを掛け、快適な冬の夜を過ごすことができた。
どうやら、外は穏やからしい。 iphoneで天気予報をチェックすると、今日は穏やかだが、それでも午後から風が強くなる予報。 『うん、今日も午前中が漕ぐチャンス!』
今日の朝食は、呉のB級グルメの一つである『そねのうどん』 先日、風邪をひいて調子が悪かった時に妻が買ってきてくれて食べ、『お、これおいしいね』と気に入ったのである。
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うどんとは言え、腰のある讃岐うどんとはまったくの別物。 逆に言えば、腰がないのが特徴といっても良いくらい、かつての忙しい海軍工厰の工員さん達が短い休憩時間に腹に収めるために、ツルツルと食べ易く工夫されたのが、呉の細うどんなのだ。
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昨夜の残りの白ネギを、オピネルで細かく刻んでたっぷりと投入。 『うん、美味い。 体が温まるなあ』
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朝早く生名島を出発し、大三島へ。 今日は、久し振りに大横島に渡ってみるつもり。
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ところが、大三島の道は昨日の雪で真っ白! 峠道では、『ここは広島の県北か?』と思うくらいの雰囲気。 ノーマルタイヤの私は、速度を落とし、ソロリソロリと慎重に浜へと向う。
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それにしても、長年このエリアを漕いでいるが、大三島がこんな雪景色なのは見た事がない! ほんと、この冬は寒いんだな。
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出艇地の浜に着くと、ここも雪景色。 『Wao! Incredible!』
クルマの外気温計は、-1℃。 今日は、氷点下での漕ぎだしである。
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雪で波打ち際まで白い浜にシーカヤックを降ろし、ヒートテックの長袖と半袖の2枚重ねの上にウールセータを着て、ドライスーツを装着。
気温こそ低いものの、快晴で風もなく、最高のツーリング日和である。
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湾内の木々は白く雪化粧。 日が射すと、海面からは湯気が立ちのぼる。
『ようし、じゃあ大横島まで往復だ』
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強風だった昨日とは打って変わって、穏やかな冬の瀬戸内海。
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大横島へ漕ぎ渡り、北側にある小さな島を半時計回りで一周。
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目指した浜は少し風があったので、大横島の小さな浜に上陸した。 この浜にも、うっすらと雪が。
今日は、新たな装備を追加してきた。
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抹茶セットである。
実は、シーカヤックツーリング用に『野点セット』を探していたのだが、5千円から上は数万円まで結構高価である。 『うーん、どうしようかな?』
『待てよ。 家に茶碗と茶筅はあったよな』 実は、大昔に裏千家の盆手前程度は習った時期があり、キャンプや家で薄茶を楽しんでいた時期があったのだ。 『あ、それにコンビニでビールを買った時に付いていたミニソフトクーラーが丁度良いサイズじゃないか』
という訳で、金曜日に妻に頼んで小さい缶入りの安い抹茶を買ってきてもらい、これで準備完了。
盆手前を習ったのも、もう二十数年前なので、まったく作法は忘れてしまっているが、おいしいお菓子と薄茶の組み合わせの楽しさは覚えている。 いずれにせよ、誰もいない静かな浜で、自分流で薄茶を楽しむのは自由である。
それにしても、上手い人が点てると薄茶は本当に美味しいのだが、下手な人だと苦さが際立つ不思議。 人によってあれだけ味に差が出るのも、抹茶/お手前の面白いところ。
今回はさすがに気合いを入れ、昨日因島で、『豆大福』も仕入れて持参している。
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ストームクッカーでお湯を沸かし、茶碗に抹茶を入れ、お湯を注いで茶筅でお茶を点てる。
おいしいまめ大福をいただき、抹茶をいただく。
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冬の澄んだ海と、瀬戸内らしい島々が眼の前に広がる、最高の景色を眺めながらいただくお菓子と抹茶は最高の一時である。
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『ごちそうさまでした』 うん、これでまた海旅の楽しみが一つ増えた。
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再び、ウイルダネスシステムズのケープホーンに乗り込み、出発した浜へと戻る。
大横島を出てしばらく漕いでいると、眼の前に『ヌメリ』とした背を見せる小さなモノが横切って行く。 『あ! あれはスナメリや!』
急いでカメラを取り出し、逆光の中、ズームにセットして何枚かシャッターを押した。
今まで、シーカヤックツーリングの途中、上関や竹原、能美島あたりでスナメリクジラを見た事はあるのだが、人懐っこいとは言えないスナメリは、すぐに姿を隠してしまうため、残念ながら証拠写真として記録が残せたことは無いのだ。
今回も、逆光&ズームという悪条件下であったが、後で見てみると、なんと画面の端っこにスナメリクジラが写っているではないか!
拡大すると、こんな感じ。
一度姿を消したが、しばらく漕いでいると、再び目の前を横切って行く。 この時には、『プシューッ』という呼吸音が聞こえてくるほどの近さ。
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さすがにこれには興奮して、しばし胸の鼓動が収まらなかった。
あれやこれやで、シーカヤック暦20年。 これまで適わなかった、スナメリクジラの写真を撮るという夢。 2012年2月19日、雪が残る寒い一日、大横島の東の海域で、スナメリクジラが生息している証拠写真を初めて写すことができた。
この感動は、生涯忘れることはないだろう。
下の写真は、横浜単身赴任時代に、シーカヤック仲間とフェザークラフト3艇で外房を漕いだとき、イルカに遭遇した時のもの。
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この時も、初めての大型海洋哺乳類との遭遇で、本当に興奮した事を覚えている。
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スナメリクジラと遭遇した興奮さめやらぬなか、浜へと漕ぎ戻る。
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それにしても、この辺りも透明度はすばらしい。
シーカヤックをカートップし、カヤックと道具を潮抜きすると、今度は本人の潮抜きのために、『マーレグラッシア』へ。
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潮湯で体を伸ばし、のんびりまったり。 サウナで汗を出し、ゆっくり温泉につかって、週末の疲れを癒す。
温泉の後は、『大山祇神社』に参拝。
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ここにも、昨夜の雪の痕跡が。
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いつ来ても、この境内の凛とした空気感は素晴らしい。
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2012年初のお参り。 『今年も、海旅の安全を見守ってください』
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お昼ご飯は、近くのスーパーで今治名物『焼豚玉子丼』を購入。 このスーパーでは、お弁当を買うと、温かい味噌汁がサービスで付いてくる。
焼豚玉子丼をレンジで温め、近くのベンチでいただく。 『お、これは美味しいな!』
港に行くが、次のフェリーの出発までまだまだたっぷり時間がある。 フェリーを待つレーンにクルマを一番乗りで停めると、『さて』ということでMTBをクルマから降ろし、海沿いのサイクリング。
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予報通り少し風が出てきたが、美しい瀬戸内海を堪能できるサイクリングコース。 目の前は、先週訪れた『大久野島』
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1時間弱の爽快サイクリングを楽しみ、フェリー乗り場へ戻る。
忠海までは、快適な船旅。 スナメリクジラを写真に収めることができた感動を繰り返し味わいながら、この週末の旅を振り返った。
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土曜日は風が強くて漕ぎ出す事は出来なかったが、それでもカヤック&バイクを堪能し、独りの静かな夜のおいしい鍋料理とビールも堪能することができた『しまなみキャンプツーリング』
やっぱ、シーカヤックの旅は泊付きだなあ! いやあ、最高に楽しい週末であった。 さて、次はどこ行こう?