あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 尺取り虫瀬戸内横断(5)_兵庫県入り、牛窓~大多府島~播州赤穂

2014年10月19日 | 旅するシーカヤック
バタフライカヤックスのクルーソー460『旅するシーカヤックスペシャル』を使い、尺取り虫方式で呉から兵庫県の的形海水浴場を目指す旅も、今回で5回目。

このフォールディングカヤックを使ったこれまでの旅で、感じていた事が一つある。
このカヤックを使う旅の時は、折り畳んだカヤックを右手で引っぱり、アークティックウインドを納めたパドルケースを左手に持ち、キャンプ道具や着替えなど一式を入れたREIの防水バッグを背負って移動している。

前回の旅の帰り、ふと折り畳んだカヤックを見ていると、背面カバーのスペースが気になった。
『うーん、このスペースがもったいないなあ』
『ここに袋を追加して、キャンプ道具を納める事ができたら、運搬が楽になりそうだ』

という訳で、さっそく寸法を入れたポンチ絵を作り、高嶋さんにメール。 『こんなスペシャルカバーをつくってもらえませんか?』
するとさすが高嶋さん。 『いいですよ。 私の方でも少し考えてみます』

何度かやり取りをし、出来上がってきたのが、この『旅仕様_メッシュポケット付きスペシャルフレームカバー_Tabi
勝手に命名してしまったが、このカバーが家に到着したのが、金曜日の夜。

さっそく荷物をパッキングし直してみると、なんとこれがイメージ通り!

テント、シュラフ、マット、シートなどのキャンプ道具や、調理用のメスティン&エスビットストーブ、携行食料、パドリングジャケットや着替えなどを、二つの防水バッグにパッキング。
それらが、特製カバーの上下の収納スペースに、それぞれピタリと収まった!

さらに、下の部分の空きスペースは、アークティックウインドの収納スペースとしてもバッチリ機能する。

これまで、カヤックを組み立てると、大きな防水ザックで運んできた荷物を、これら二つの防水バッグに移し替えてカヤックにパッキングしていたのだが、その手間も省く事ができる。
そして、タクシーのトランクにカヤックを積む時は、さすがにこのままでは無理なのだが、防水バッグをサッと取り出せば普通の収納サイズになるので、何の問題もなくタクシーに積む事ができるのである。
『いやあ、これは良いなあ。 明日からの旅が楽しみだ!』

***

2014年10月18日(土) いつものように、4時起き。 タクシーを呼び、『じゃあ行ってくるよ』 『はい。 気をつけて』
目論見通り、というか当然ではあるのだが、防水バッグを外せば普通にタクシーのトランクに積み込む事ができた。

早朝の駅。

始発電車で、広島駅へ。

新幹線の中で、まずはおむすびで軽い朝食。

岡山駅でうどんを食べ、体を温め、漕ぐためのエネルギーを補給。


邑久駅からはタクシーで牛窓まで。

今日は快晴で、絶好のツーリング日和である。

牛窓神社のところで、出艇準備。

9時過ぎに準備が完了。 『ようし、今日も楽しむぞ』

***

日生に近づくと、カキを養殖する筏が増えてきた。

まるで、地元の芸予諸島を漕いでいる雰囲気。

遠くには、家島諸島が見えている。 姫路もだいぶ近付いてきた。


12時過ぎ。 大多府島に到着。

お昼ご飯を食べようと上陸したのだが、あまりの天気の良さと、のどかな景色、そして静かな雰囲気に魅了された。

浜からの眺めが、俺のストライクゾーンど真ん中。

『ようし、今日は早いがここでキャンプする事に決めた!』

そう、俺の旅は『風の吹くまま、気の向くまま』 フラリ風来坊の旅なので、予定なんてあってないようなもの。
でも、こんな自由気侭な旅こそが、旅するシーカヤックの醍醐味なのである。

***

歩いておられた方に聞いてみると、島にはお店はないそうだ。
でも、日生までの連絡船があるようなので、散歩がてら行ってみるのも良いかもしれない。

さっそく、おニューのテントを張る。

着替えて、濡れたパドリングウエア一式を干させていただく。

しばし島内を散策し、





連絡船の出発を待つ。


***

定刻に船は出た。

しばし、日生諸島のクルージングを楽しむ。

途中で、遠くを漕ぎ進むシーカヤックが見えた。 『へえ、やっぱり日生はシーカヤックが盛んなのかな?』


日生港の着くと、お好み焼きのお店へ。
そう、今日のお目当てはカキオコ。 まだシーズン前なので冷凍カキとの事だが、せっかくなので試してみよう。

お邪魔したのは、『浜屋』さん。
ラッキーな事に、今の時間は人が少ないらしく、お客は俺だけ。
『カキオコ?』とおばちゃん。 『はい、カキオコお願いします』

俺のカキオコが焼かれている途中、カップルのお客さんが入ってきた。
『牡蠣はまだ出てないん?』 『そうよ。 今年は台風の影響で遅れとる。 生の牡蠣が出せるのは、11月からかねえ』
すると、『じゃあ、エビオコでいいわ。 エビオコ2つ』

そうこうしていると、俺のカキオコが完成。

美味そうやなあ! おばちゃんが、『一味掛けて食べてね』 『はい。 いただきます。 あと、ビールをお願いします』

風情のある鉄板の上のカキオコ。
コテで口に運び、『ハフハフ、パクリ』 『おー、美味い。 おばちゃん、冷凍カキいうても、十分美味しいね』
『ええ時期の牡蠣を瞬間冷凍してあるから、出始めの牡蠣より美味しいと思うよ』 『うん、ほんまに旨い』

ビールを『グビグビ、グビリ』 『プハーッ』 最高や!

***

カップルのお客さんが先に帰ると、店にはおばちゃんとおっちゃん、そして俺の3人だけ。
残りのカキオコを食べ、ビールを飲みながらおばちゃんと話す。

『この鉄板。 ええ雰囲気だしてますね』 『もう三十数年使っとるよ』 『へえ、スゴい』
おっちゃんが、『この人が、地元の牡蠣をお好み焼きに入れた最初の人なんよ』 『えー、じゃあ元祖ですか』
するとおばちゃんが、『そがあなこと、自慢にもなりゃせんよ』言うて笑う。
『いやあ、そりゃあ町や観光協会から表彰してもろうた方がええですよ』と、笑いながら俺。

『私はね、この鉄板で食べてもらうのがええ思うとるんよ。 他の店じゃあ、皿の上に載せてだすところが多いらしい』
『確かにその方がお客さんの回転は早いじゃろうけど、私は熱々のお好み焼きを食べてもらいたい思うとるんよ』 『そりゃあ、そっちの方が嬉しいですよ』

『それにね、この店は鉄板の周りに7人しか座れんじゃろ。 でもね、私は一人一人の人が食べよる様子を見て、水がなかったら注いであげるし、ソースが足りんようなかったら、”ソースがいるんなら言うてえね”いうて声を掛ける』
『お好み焼きも一生懸命焼くし、お客さんの様子もしっかり見んといけんけえ、時々、怖い顔してカキオコ焼きよる言うて言われる事もあるんよね』

『いやあ、分かりますよ。 今日もいろいろ声をかけてもろうたし、そりゃあお客さんも気遣うてもろうとる言うて分かるけえ、嬉しいですよ』

『うちはねえ、牡蠣も多く入れとる。 せっかく遠くから、燃料使うて食べにきてくれるんじゃけえ、美味しいものを食べてもらいたいんよ』
『ほんま、さっき食べた時も、どこを切っても牡蠣が出てくるけえ、ビックリしました。 日生のカキオコは初めて食べにきたんじゃけど、こがあなええ店に来れて良かったですよ。 また来ます』

***

大満足で店を出ると、しばし町を散策して港へ。

日没前の、良い雰囲気。

船が出ると、最近つながったばかりという、日生と頭島を結ぶ橋が見えてきた。
この橋が開通したら、日生を訪れる人の動きや、この連絡船の様子も変わっていくのだろうな。

大多部島に近づくと、俺がテントを張った浜の様子が。。。

どうやら、他のシーカヤックのグループの方々が上陸してテントを張られているようである。
浜に戻り、着替えたり、荷物を片付けたりされている方々に挨拶をしながら自分のテントへ。

一人の方が私のところに来られ、しばしお話しさせていただいた。
どうやら、姫路や明石辺りの方々らしい。
『今日は皆さんで宴会ですね。 ゆっくり楽しんでください』

夕日を眺めながら独りビールを飲み、日が暮れると満天の星を眺め、早めに就寝。

***

翌朝、5時半頃に置きだして早めの朝食を済ませ、日の出とともに、静かに荷物の片付けを始める。
6時半過ぎ。 ほぼ荷物のパッキングが終わった頃に、昨日のグループの方々が寄ってこられた。
挨拶をし、しばし歓談。

このフォールディングカヤックを使い、呉から姫路までの尺取り虫旅をしていることをお話しさせていただいた。
今日の上陸地点にもアドバイスを頂き、『じゃあ、出掛けます。 ありがとうございました』

出発したのは、6時45分。

朝日に向かって漕ぐ。

今日の海も穏やかで、きれいな日生の景色を楽しみながら漕ぎ進む。

ようやく赤穂の港。

岡山県を超えて、とうとう兵庫県に入る事ができた!

観覧車のある公園を超え、

小さな公園へ上陸。

カヤックを乾かし、夜露に濡れたテントやシュラフも干させていただき、パッキング。

ここまで来ると、家島もすぐ目の前。 左手前方には、姫路あたりのコンビナートも遠くに見えている。

タクシーを呼び、播州赤穂駅へ。

そこから、相生駅を経由して、新幹線で広島まで。

***

今回は、大多部島での、のんびりまったり島時間を堪能し、初めて食べる日生のカキオコも最高のお店に出会う事ができた。
そして、バタフライカヤック特製の旅仕様_メッシュポケット付きフレームカバー”Tabi”が、公共交通機関を使っての旅に便利である事も確認した。


『さあ、的形はもう近い。 次回は11月かな? 楽しみだ!』

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする