殺陣をやっているとわかるのですが、斬る方よりも斬られる方が大変なんです。斬られ方が上手ければ多少のほころびは気になりません。仕手が得意でなくとも、斬りやすい位置やタイミングを計ることができる方がいるのです。殺陣をよく知っている人は斬られ方も心得ていると思います。しかし、それだけでは斬られ上手にはなれないように思います。
おそらく、上手い方は全体が見えているのではないでしょうか。こうすればこの場は面白くなる。ここはこう動けば見場がよくなるし、仕手が動きやすくなると、何となくわかる人が受けて上手なのでしょう。台本を理解し、空間を感じ取れているのでしょうか。リアクションは大事です。すべてのアクションは作用と反作用によって成立しているのであります。
ですから、怖がらせる仕手以上に、怖がる受け手の芝居が重要になってきます。このバランスがわかっているかどうかが、怪談話を面白くする鍵になると思います。さあていかが相成りますか。