Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

サラ・ガザレクを聴きながら

2012-07-22 20:39:49 | JAZZ
今年30歳になるシアトル生まれのジャズシンガー、サラ・ガザレクの数年前に出たCD「YOURS」をこのところ好きでよく聴いている。

金曜日も梅雨明けの猛暑を逃れて横田基地に近い瑞穂町から国道16号を西北方向に上がった青梅の山間部にある岩蔵温泉郷の近くに潜む一軒家カフェの「コンブリオ」を訪ねる途中の車内BGMは行きも帰りもサラ一色だった。
前日までの猛暑が嘘みたいに引っ込んで、山あいは肌寒いくらいの陽気になっておまけに霧雨まで混じっている。


サラはハイスクール時代にジャズに目覚めたらしい。このCDには馴染み深いジャズ曲・ポップスやロック系のヒット曲が行儀よく並存している。どちらのジャンルもサラのふくよかに伸びる地声のなかでよく融和していて気持がよい。歌が好きでたまらないティーンエイジャーの娘が心情をこめて様々なアメリカンソングを歌っているうちに自然にジャズめいた高等テクニックが加味されてしまったような優れた普通感がサラの持ち味ではないだろうか。ヘリー・ロレインとも共通する新ナチュラル派と称すべきボーカリストが増えるのは嬉しい限りである。

このCDに収まっている「サークルゲーム」などの曲も懐かしく聴くのは久しぶりである。
その昔、映画を観た「いちご白書」のテーマソング、「サークルゲーム」は感激のあまりジョニ・ミッチェルの45回転EPレコードを買ってきて擦り切れるまで聴いた思い出の曲で、サラの歌を聴いているとオリジナルが持つ気迫は無理としても時代を超えて残る歌の在りかを教えてくれる。
マイケル・ジャクソンが歌ってヒットした「ベン」のテーマもサラはしみじみと歌っていて、この曲想もどこかジャズ曲でよく聴く「ワンス・アポン・ナ・サマータイム」みたいで移ろいゆく夏の景色に溶け込む良いトラックだと思う。

一方でジャズ曲を聴いてみると「チーク・トウ・チーク」「バイバイ・ブラックバード」等では溌剌としたビート感が溢れているサラのジャズ血統のよさも感じさせてくれて、このキャピトルスタジオで収録したよい音のCDはしばらく手が届く範囲から離すことができなくなりそうだ。