週末ごとに世田谷線の上町駅付近へ足しげく通うようになったついでに寄り道も増えている。松陰神社駅の商店街なども代々木上原駅周辺と同じような匂いのするハイブロウなお店がいつのまにか増えていて驚いている。デンマークのべオグラム社のオーディオ機器はモダンファニチャーにマッチするクールなデザインに特徴があるが、これを古本屋のBGM装置として決めている演出力の高さを誇る新潮流古書店なども登場している。渋谷東急プラザ裏の古書カフェや代々木上原八幡通りの古書店を思い出す。ここでは渋澤龍彦が編集していた「血と薔薇」創刊号から3号までが希少品ということで3冊合計12500円で売られていたり、1960年代の「暮らしの手帳」などのレトロ雑誌、写真雑誌等の在庫も豊富で目に毒なものばかりである。
先日、線路際にある「ブランジェリ スドー」は定休日だったが、きょうは営業していた。ちょっとしたカフェテーブルがあって、ここで焼き上がったサツマイモをあしらった「鳴門金時」パンをコーヒーの友にして食してみる。すごい黒胡麻の風味だ。パン生地は素晴らしく密度が濃く、硬く焼き締まっている。胡麻を炒った香味と芋の甘みのコンビネーションが絶品の130円である。これは週末個人事務所兼用読書カフェのお茶の友としては最高の贅沢になりそうな味わいだ。いつも町田で食べている「HOKUOU」パンが児戯みたいに思えてしまう大人の味である。
ちょうど真言宗・円光院の庭には「芍薬」の花壇が全盛時を迎えている。松陰神社駅から上町駅前までは徒歩で10分位の所要時間だ。GWの隙間にはまたまた花や味の寄り道が再燃する気配だ。