五年間を過ごした日向薬師の夏で、もっとも爽快だった夏の風物情景がいくつかある。段々の田んぼの際を走る水路に野生化したニジマスの魚影が走るのを目撃したとき。日向川を覆う針葉樹林の繁みに営巣する「青鷺」のつがいが舞飛ぶ様子。そして底抜けの夏空を何度も往復する肥えた「オニヤンマ」の飛翔である。カメラ好きな売店のご隠居さんの鋭敏な観察によれば、「オニヤンマ」の繁殖は日向薬師の霊山寺境内にある池が繁殖元になっているらしい。ここで育ったヤゴがあの大きな雄姿に変身するとそのご隠居さんから聞いたことがある。この「オニヤンマ」はバス停の広場とか、道路のような人間臭い場所が好きなようだ。一度現れると何度も行ったり来たり付近を旋回して大抵単独行である。引っ越しをした為に今年はもう見ることができないと思っていたら、今度は夏季休業に入った工場の一角で「オニヤンマ」と再会する。羽を休めている至近の場所へ忍びの術みたいに息を殺して近づいて撮影に成功する。
工場というまさかの場所にハヤブサ類の「チョウゲンボウ」が出没したり「アライ熊」まで目撃することがあるのだから、「オニヤンマ」が現れても不思議はない。工場に近接する川沿いの炎天を歩いて白や紅の夾竹桃の夏花を愛でていたら、またもや夏の印というより、しのびよる秋の徴にもであう。山クワの大木にツルを絡ませていたアケビだ。春のただなかにモウブ色の三弁の花を可憐に咲かせていた「アケビ」がすでに大きな実を垂らしているではないか。未だグリーンの保護色をまとっているが、秋めいた時期の色彩の変化はこれまた小さくて大きな楽しみが待っている。
工場のフェンスは朝顔が咲き誇っている。遅く植えてしまった我が家の庭ではまだ朝顔の出番が巡ってこない。ようやく蕾が顔をのぞかせて来た。朝顔の水遣りの為に用意してある昭和46年製の手桶はこの前に古道具店で買ったばかりである。手持無沙汰のこの木桶もあと10日もしたら活躍の日々がやってきそうだ。
工場というまさかの場所にハヤブサ類の「チョウゲンボウ」が出没したり「アライ熊」まで目撃することがあるのだから、「オニヤンマ」が現れても不思議はない。工場に近接する川沿いの炎天を歩いて白や紅の夾竹桃の夏花を愛でていたら、またもや夏の印というより、しのびよる秋の徴にもであう。山クワの大木にツルを絡ませていたアケビだ。春のただなかにモウブ色の三弁の花を可憐に咲かせていた「アケビ」がすでに大きな実を垂らしているではないか。未だグリーンの保護色をまとっているが、秋めいた時期の色彩の変化はこれまた小さくて大きな楽しみが待っている。
工場のフェンスは朝顔が咲き誇っている。遅く植えてしまった我が家の庭ではまだ朝顔の出番が巡ってこない。ようやく蕾が顔をのぞかせて来た。朝顔の水遣りの為に用意してある昭和46年製の手桶はこの前に古道具店で買ったばかりである。手持無沙汰のこの木桶もあと10日もしたら活躍の日々がやってきそうだ。