【真人幼稚園の先生が選ぶ絵本・3月の絵本】
「なわとびしましょ」作・長谷川義史 (佐々木雅代 選)
(雅代先生によるブックレビュー)
真人幼稚園にぴったりの題名とほのぼのした絵に魅かれて選びました。内容はとても簡単で繰り返しがリズミカルですし、次々縄に入ってくる人達が「えっ!こんなひとがとぶの?」と思うような顔ぶれがとても面白く、次はだれがとぶのだろうとワクワクします。とんでいる人たちの表情と空から見ている雲の表情の変化も見所です。そして色々なクイズも出せそうな楽しい絵本です。
「てんぐのそばまんじゅう」作・深山さくら 絵・長谷川義史 (佐藤美樹 選)
(美樹先生によるブックレビュー)
「天狗」といっても、この絵本に登場する天狗には恐ろしさなどなく、どこか人間味あふれる天狗です。天狗というと未知のものの存在と四季の移り変わりの不思議さ、美しさに引き込まれると同時に、おじいさんとおばあさんと天狗のやりとりが絵本全体を優しく包み込み、読んだ後はほんのり温かな気持ちが残ります。ちょうど季節の変わり目の今の時期や、夜寝る前にゆっくり読んで頂きたい一冊です。
「ふしぎなキャンディーやさん」作・絵 みやにしたつや (尾亜樹子 選)
(亜樹子先生によるブックレビュー)
ブタ君が森の中で見つけた不思議なキャンディー屋さん。
「ここにあるキャンディーをなめると不思議なことがおこるんだよ」と、お店のタヌキのおじさんにすすめられてキャンディーをなめると、なんとブタ君が・・・。ドキドキ、ワクワク、最後はホッと笑顔になれる夢いっぱいのお話です。
「ねむい ねむいおはなし」作・ユリー・シュルヴィッツ (吉田ひろ子選)
(ひろ子先生によるブックレビュー)
ねむいねむいおうちでできた素敵な出来事を、優しいタッチの絵と優しい言葉で表現しています。絵本を開いてみるとお話の世界に引き込まれ、なんだか眠くなったり…。パッと世界が明るく開いたように感じたり、心が穏やかになれる素敵なお話です。読み方を一工夫するとさらに面白くなりますよ!
「ごめんね ともだち」作・内田麟太郎 絵・降矢なな (立川紗織 選)
(紗織先生によるブックレビュー)
大好きな友達との思わぬケンカ。心の中では簡単に言える「ごめんね」。その「ごめんね」がなぜだか言えない苦しい気持ち。仲直りするきっかけや勇気がほしい。そんな誰もが経験したことのある気持ちをオオカミとキツネの仲良し二人組が伝えてくれる心温まる一作です。
「おおきな木」作・シェル・シルヴァスタイン 訳・村上春樹 (熊倉紗希子 選)
(紗希子先生によるブックレビュー)
この本は「木」と「少年」のお話です。お互いは母と子の関係でもあったり、親友の関係でもあったり・・・。様々に感じることができます。また「木」や「少年」は自分でもあるように思えます。ひとり一人、読む人によって感じ方は違うと思いますが、何度も読み返したくなる本です。少し大人向けの絵本のように思いますが、ぜひ読んで頂きたいと思います。
「おおきくなるっていうことは」作・中川ひろたか 絵・村上康成 (佐藤亜希子 選)
(亜希子先生によるブックレビュー)
「おおきくなる」ということを、一つ一つわかりやすいイラストとリズムある文章で描かれていて、「春」にピッタリの一冊です。子どもたち自身が一つ一つ振り返って、自分の体の成長、そして心の成長を自覚することができますし、保護者の方も客観的にわが子の成長を感じることができるでしょう。おススメです!!
「ともだちくるかな」作・内田麟太郎 絵・降矢なな (三冨奈津美 選)
(奈津美先生によるブックレビュー)
すみれ組のお気に入りシリーズで、新しいものを・・・と思い選びました。オオカミとキツネのやりとりは子どもたちの姿とピタッと合わさる姿が多く、読み進めて行くうちに子どもたちはうなずいて、見てくれています。オオカミのちょっと乱暴だけれど親友のキツネを想うストレートな表現にグッと来て、「友達っていいな」と思える一冊です。
「まくらのせんにん~そこのあなたの巻~」作・かがくいひろし (高橋沙季 選)
(沙季先生によるブックレビュー)
かがくいひろしさん独自の「ゆるキャラワールド」が広がっています。様々なシリーズがありますが、ゆるキャラ好きの私が選ぶイチオシの絵本です。何にも難しいことは考えずに読んでみてください。心温まるほのぼの話となっております。
「いっしょならもっといい」作ルイス・スロボドキン 訳・木坂涼 (長谷川繭子 選)
(繭子先生によるブックレビュー)
ひとりでも、楽しいことがたくさんある。でも誰かと一緒なら、もっとおもしろいことができるかも。この絵本はそんなことを教えてくれる絵本です。新しい春と共に、子どもたちは自信を持って大きくなりますが、この絵本に出会って、友達の大切さを改めて感じてほしいと思います。
「ゆっくりにっこり」作・木島始 絵・荒井良二 (石橋実季 選)
(実季先生によるブックレビュー)
3月、4月は新たなスタートや環境の変化がたくさん訪れる時期ですね。この本はクラス替えや進学に対して不安に思っている子に「焦らなくても大丈夫」と語りかけてくれるような本です。「進学=ひっこし」と絵本の中では表現されているので、楽しみでワクワクするものに思えてくることでしょう!
「ブロントリーナ」文 ジェイムズ・バウ 訳 長野由紀 (鎌田千秋 選)
(千秋先生によるブックレビュー)
ブロントリーナは恐竜の女の子です。ブロントリーナには夢がありました。ブロントリーナは夢をかなえるために勇気を出してバレエスクールをたずねたのでした。大きな体よりも大きな夢を持ち、あふれる才能と「バレリーナの心」でかなえた恐竜のお話です。ぜひご覧下さい。
「うちゅうの目」詩・まど みちお 写真・奈良美智 ほか (園長 選)
童謡「ぞうさん」、「やぎさんゆうびん」、「いちねんせいになったら」などの作詞で知られる百歳の現役詩人・まどみちおさんの最新詩集。ひらがなの、平易で短い詩の言葉は自然や人や宇宙の成り立ちを私たちにわかりやすく教えてくれる。お勉強的にではなく、ボソっとつぶやくように。詩はすごい。詩の言葉はひとりですっくと立ち上がっている。まどさんの言葉を通して私たちも自然や人や宇宙と繋がることができる。それはきっと素敵な体験に違いない。そんな素敵な体験をぜひ子どもたちにもさせてあげたいものだなぁと願っているのです。
≪絵本の世界を旅する≫
一年間を通しておこなってまいりまいりました「絵本の発掘・紹介」の取り組みはいかがでしたか。お気に入りの一冊に出会うことができましたでしょうか? 詩や絵本の中に書かれる言葉は一つの宇宙であり、世界でもあります。その無限の広がりに旅立ち、遊び、ドキドキし、出会い、恐れおののき、胸を痛め、途方に暮れ、ときに悲しみに涙し、ときに歓喜の雄叫びをあげ、何事かを成し遂げ、一つ大人になって、そうして再び温かな我が家へと帰ってくる。その体験が私たちの心を豊かに耕してくれるのです。大人になってもそれは大切な宝物であり、かけがえのない自分の財産です。絵本や詩の世界を旅する機会をひとつでも多く子どもたちに与えようではありませんか! 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
23年3月17日 まえだ かん