真人幼稚園の先生が選ぶ絵本・12月の絵本
今年度も真人幼稚園の先生方による絵本の紹介をおこなってまいります。これは年間二冊の絵本をそれぞれが書店などで選び、教職員同士で読み聞かせをしたり、それぞれ選んだ理由や見どころなどを発表し合う、教員研修の一環としておこなっている取り組みです。そこで紹介された作品をぜひ各ご家庭にもお勧めしたいという願いから、毎年1・2学期末にこのような形で発表させていただいている次第です。
さあ、今回はどんな絵本が選ばれたのでしょうか? それぞれ作品を選んだ先生がブック・レビューを書いていますので、それらを参考になさって、この冬はぜひ親子で絵本に親しんでみてはいかがでしょうか。
なお、それぞれの作品は園の図書に収蔵され、さっそく貸し出しをおこなっています。
『いちねんせいになったから!』
くすのきしげのり 作 田中六大 絵 講談社
(阿部直実先生のブックレビュー)
たきのりゅうたろうくんは、入学式を迎えました。今までずーっと楽しみにしていた小学校!新しい環境にドキドキわくわく。友だち百人作るため、りゅうたろうくんの頭の中には面白いアイディアがたくさん浮かびます。ともだちひゃくにんできるかな? きびしいせんせいだったらどうしよう?・・・誰しも感じたことのある悩みだと思います。りゅうたろうくんに友だちはできるのか?!どんな先生なのか!?ちなみに、シリーズものになっています。ぜひお子さんと一緒にシリーズ制覇してみてはいかがでしょうか。
『ふまんがあります』
ヨシタケシンスケ 作・絵 PHP研究所
(堀川紗楽先生のブックレビュー)
大人ってずるいんじゃない?!どうして子どもだけ夜は早く寝なくちゃいけないの?大人は欲しいものすぐ買うのに子どもの欲しいものは買ってくれないの?どうしてすぐに「今忙しい」とか、「また後で!」とか言うの?などなど、誰しも子どものころに一度は思ったことがあるのではないでしょうか?子どものどうして?に困ったことのある方、ぜひ読んでみてください。私も子どもの疑問にこんなユニークな返しをしてみたいものです。大人も子どものころに思ったであろうどうして?が満載です。童心に帰ってお子さんと一緒に楽しんでみてはいかがですか?
『もうぬげない』
ヨシタケシンスケ 作・絵 ブロンズ新社
(板垣里奈先生のブックレビュー)
あ、失敗した。だめだな・・・と、マイナス思考になってしまう方はいらっしゃいませんか?この本に出てくる主人公は服が脱げなくなった状況(頭もすっぽりと隠れた状態)になっても、「脱げなくなったんだから脱がなきゃいいんだ!」と、プラスに考え、様々な試練に立ち向かっていくお話しです。私も落ち込んでしまうことが沢山ありますが、考え方ひとつでこんなにも物事が楽しく思えるのか、と勇気づけられました。あともう少し「自分で挑戦する力」を持って欲しいと願う保護者の皆様、ぜひこの本をお子様と一緒に読んでみてください。もしかしたらお子さんの頑張りスイッチを刺激できるかもしれません。
『おれさまは ようかいやで』
あんずゆき 作 あおきひろえ 絵 文溪堂
(山路紫央先生のブックレビュー)
みんなから怖がられていたようかい。ある日、星の子と出会ったことをきっかけに強がっていた少しずつ変わっていきます。誰かに助けを求められたことも、助けられたこともないようかいは、星の子を無事に空の世界へ連れていくことはできるのか・・・?! 関西弁で繰り広げられるユーモアたっぷりの作品です。
『スプーンのさじろうくん スプーンしんぶんのおはなし』
もりやしげやす 作 山口マオ 絵 小学館
(佐藤美樹先生のブックレビュー)
カレーやシチューを食べる時に大活躍のスプーン。でも実はスプーンの仕事は食事の時だけではないのです。そんな知られざるスプーンの世界を、新聞社に勤めるさじろうが「しゅうかんスプーンしんぶん」で一番人気の「こんしゅうのスプーンさん」のコーナーで紹介されたお話を通して教えてくれます。さじまろさん(74歳)、さじのしん選手(21歳)のほか、様々なスプーンの活躍が気になる方は、ぜひこの絵本を手にとってみてください。毎週スプーンしんぶんが読みたくなってしまうかも!?
『ヘルシーせんたい ダイズレンジャー』
やぎたみこ 作・絵 講談社の創作絵本
(猪俣愛先生のブックレビュー)
ここは「イソフラの国」。この国ではずっと昔から、人々が大豆を育てて生計を立てていました。ところが、先代のお殿様が亡くなり、新しいお殿様にかわると、状況は一変。なんと、大豆を作ることも食べることも禁止した「大豆禁止令」が突然お城から出されたのです。このピンチに立ち向かったのは、力を合わせて合体・変身をした「ダイズレンジャー」です。豆腐レッドや納豆グリーンらが繰り出す技の数々は、思わず笑ってしまうものばかりです。
『マーロンおばさんのむすこたち』
穂高順也 作 西村敏雄 絵 偕成社
(原 亜里沙先生のブックレビュー)
マーロンおばさんには三人の息子がいます。もうすぐやってくる息子の誕生日をお祝いしようと、マーロンおばさんは手紙とセーター、マフラー、ズボンを送りました。待ちに待った当日、息子たちは忘れてはいけない大切なものを忘れてしまいます。思わずくすっと笑ってしまうような楽しい絵本です。
『どろきょうりゅう』
中川ひろたか 鈴木翼 作 市居みか 絵 世界文化社
(石山弥佳先生のブックレビュー)
きょうりゅうずかんが大好きなてるくん。ある日、てるくんは砂場できょうりゅうのたまごそっくりのどろだんごを作りました。そのどろだんごから生まれたどろきょうりゅう。子どもたちと、どろきょうりゅうは毎日一緒に楽しく過ごすようになりましたが、ある夏の日、大変なことが起こってしまいます・・・。わくわくするような楽しいお話と、カラフルでほのぼのした絵が素敵な一冊です。ぜひ、読んでみてください。
『おこめようちえん』
苅田澄子 文 陣崎草子 絵 講談社
(眞柄香澄先生のブックレビュー)
この絵本はお米の子どもたちが立派になって、卒園するまでを描いたお話です。おこめようちえんでお米たちは様々な経験をしていますし、子どもたちの園生活と重なるところもあります。また真人幼稚園の年長組はカレーパーティーに向けお米を育てました。この絵本を読むとより一層身近に感じるお米。最後は寂しいですが、立派に卒園しお米ならではの食べ物に変身します。ぜひお手にとって読んでみてください。
『ほしじいたけ ほしばあたけ』
石川基子 作・絵 講談社
(佐々木雅代先生のブックレビュー)
この世の中は金・金・金。(いや?キン違い?)この世の中は菌・菌・菌だらけ・・・。バイキンまんが喜ぶ色々な菌でいーっぱい!もう一つ忘れちゃいけない菌がある。それはキノコ菌。今回のおはなしの主人公は、キノコのほしじいたけとほしばあたけ。二人はひなたぼっこが大好きで、とにかく身体をカラッカラに乾かすことに命を懸けている村の長老。そしてほしじいたけの口癖は「菌類みな兄弟。仲良く、仲良く!」。ある日、ほしじいたけが散歩をしていると、崖から落ちてしまった子どものキノコを発見。ほしじいたけは子どもキノコを助けられるのでしょうか?それは見てのお楽しみ・・・。干しシイタケを見るたびに、二人のことを思い出してしまう、そんな一冊です。*水で戻すときはご注意を!!
『パンツはちきゅうをすくう』
クレア・フリードマン 作 中川ひろたか 訳 講談社
(高橋沙季先生のブックレビュー)
「地球の未来はパンツにかかっている!?」うちゅうじんたちがパンツを使って地球を救う物語です。「パンツを使って?」と不思議に思われるかもしれませんが、とにかくパンツが大活躍するんです。他にもシリーズがあります。「うちゅうじんパンツシリーズ」というものがあったなんて・・・。今まで知らなかったことを後悔しました。
『だいおういかのいかたろう』
ザ・キャビンカンパニー 作 すずき出版
(小林明日香先生のブックレビュー)
湖で凍ってしまったダイオウイカのいかたろうを登園途中のゆめたくんが見つけて助けてあげるほっこりストーリー。原画はベニヤ板に描かれているそうで、絵本でもところどころに木目の質感が浮き上がっています。寒い日には作中に登場するイカダンスを踊ってぽかぽかになるのもおススメです! ぜひお手にとってご覧ください。
『あっ、ひっかかった』
オリヴァー・ジェファーズ 作・絵 青山 南 訳 徳間書店
(鎌田千秋先生のブックレビュー)
フロイドという男の子の‘たこ’が木に引っ掛かってしまうところからお話は始まります。フロイドはこのたこを落とそうと自分の靴や猫のピッチを投げますが上手くいきません。次々に引っ掛かった物を落とすためにフロイドがとった行動とは?
果たして木に引っ掛かってしまった物はどうなってしまうのでしょうか? 表紙の文字まで木に引っ掛かっていたり、投げられてしまった人たちの小さな呟きにもぜひご注目ください。
『びっくりゆうえんち』
川北亮司 さく コマヤスカン え 教育画劇
(園長のブックレビュー)
びっくりゆうえんちには楽しい乗り物がたくさんあります。なかでも人気なのは、ジェットコースター。これに乗れば誰でも奇想天外な冒険の旅に出られるのです。こんなジェットコースターが本当にあったら楽しいでしょうね! 実際にはあり得ない乗り物でも、絵本を開けば何度でも乗ることができ、私たちを不思議の世界へと連れて行ってくれる。これこそが物語や絵本の素晴らしさであります。さあ、この冬は、ご家族お揃いでびっくりゆうえんちに出かけてみてはいかがでしょう? あなたもきっと虜になりますよ!
『ゆきのひのいえで』
まるやまあやこ 作・絵 学研教育出版
(理事長のブックレビュー)
妹の世話で忙しいお母さん。何かあるといつも叱られるのはまなちゃんばかりです。理不尽な怒りとさみしさで、降りだした雪の中、まなちゃんは家出をします。誰でも一度は経験したことのある、切なく、悲しく、少し大人になったような旅立ちの決意です。でもお母さんはそんなまなちゃんの気持ちをよくわかっていました。最後に降りしきる雪の中で、ふたりは堅く、堅く互いを抱きしめ合います。真っ白な初雪がふたりの深い愛と思いやりの気持ちを鮮明に浮き立たせます。
『ママがおばけになっちゃった!』
のぶみ 作 講談社
(理事長のブックレビュー)
4歳のかんたろうくんを残して、ママは車にぶつかって死んでしまいますが、夜の12時を過ぎるとおばけになって会いにやって来ます。
「あなたを生んだこと、そのことのために生まれて来たんだと思ったわ」
「ぼくがママの子どもだってわかった?」
「もちろんよ!大好き!」「ぼくもママのこと大好き」
「ママに会いたい!」「私も会いたい!」
子育ては大変なことも多いですが、共に生きて触れ合っていられることが、どんなにか嬉しく、楽しく、幸せなことなのか、熱く語りかけてきます。
【さあ、真人幼稚園の先生がおすすめする「12月の絵本」はいかがでしたか? またまた新しい発見がたくさんありましたね。どうぞこれらを参考になさって、冬休みはお子さんと本屋さんや図書館などに出かけてみてください。それではまた次回をお楽しみに!】