令和元年度
真人幼稚園の先生が選ぶ絵本・12月の絵本
今年度も真人幼稚園の先生方による絵本の紹介をおこなってまいります。これは年間二冊の絵本をそれぞれが書店などで選び、教職員同士で読み聞かせをしたり、それぞれ絵本を選んだ理由や見どころなどを発表し合う、教員研修の一環としておこなっている取り組みです。そこで紹介された作品をぜひ皆様のご家庭にもお勧めしたいという願いから、毎年1・2学期末にこのような形で発表させていただいております。
さあ、今回はどんな絵本が選ばれたのでしょうか? それぞれ作品を選んだ先生がブック・レビューを書いていますので、それらを参考になさって、この冬はぜひ親子で絵本に親しんでみてはいかがでしょうか
『こどもかいぎ』 北村祐花 さく・え フレーベル館
(田中里奈先生のレビュー)
大人は‘今日あそこ行って、これして、これ買って・・・’と毎日色々な事を考えて日々過ごしていますよね。実は子ども達もあれこれ一生懸命に考えているんですよ。この本を通して大人から答えや知恵をもらうだけでなく、自分達で意見を出し合いよく考え試してみる。そこまでできる子どもたちへと成長してもらいたいと願いを込めて選びました。題名にもあるように、子どもたちが会議を始めます。子どもらしい視点から描かれているので、つい「くすっ」と笑ってしまうような場面もあります。ぜひ親子で手に取って読んでみてください。
『きょうふのおばけパンツ』
作 アーロン・レイノルズ 絵 ピーター・ブラウン 訳 中川ひろたか 学研プラス
(佐藤美樹先生のレビュー)
ある日、うさぎのジャスパーがお店でみつけたもの。それは怪しく緑に光る「きょうふのおばけパンツ」。気味が悪いとママは反対したけど、ジャスパーは一目惚れしたその魅力的なパンツを一枚だけ買ってもらいました。「だいじょうぶ。ぼくはもう大きなおにいちゃんなんだからね。」と嬉しそうにおばけパンツをはいて寝た日から、ジャスパーの身には次々と不気味な出来事が降りかかります。果たしてジャスパーとおばけパンツの関係はどうなっていくのでしょうか?気になる結末はぜひお手に取って読んでみてください。おばけパンツの鮮やかな蛍光緑が目印です.。
『いないいないばあさん』 佐々木マキ 作 偕成社
(猪俣愛先生のレビュー)
私の大好きな絵本の一冊である「へろへろおじさん」。その佐々木マキさんが描いたお茶目なおばあちゃんのおはなしです。りょうくんがおばあちゃんとでかけていると、毎回どこかへいなくなるおばあちゃん。橋の下、階段の裏、煙突の上・・・。えっ?そんなところに?想像して読むのも楽しいですし、こんなおばあちゃんがいたら楽しい毎日だなあと感じるような一冊です。
『みんなのおすし』 はらぺこめがね 作 ポプラ社
(園長のレビュー)
そのおすし屋さんにはいろんなお客さんがやって来ます。人間ではないお客さんもやって来ます。おすし屋さんの大将はお客さんの好みに合わせておすしを握ります。さて、今日はどんなお客さんがやって来るのでしょうか? 名作『やきそば ばんばん』でお馴染みの絵本創作ユニット・はらぺこめがねによるユーモアたっぷりのおすし絵本。とにかく見ているだけでよだれが出そうなくらいおすしが美味しそうなんです。これを読むたびに回転ずしの函太郎に行きたくなります。お話の最後は思わずニヤッと笑えるオチもついて、読んで楽しい見て美味しい、家族みんなで楽しめる素敵なおすし屋さんのお話です。
『だれのパンツ?』 シゲリカツヒコ 作 角川書店
(青木涼香先生のレビュー)
タロウくんがいつものように公園で遊んでいると、頭の上に大きな大きなパンツが落ちてきました…!!。隣にある団地の誰かの物だと思ったタロウくんはパンツを持って聞きに行きますが…??クモやサル、カメレオンなど様々な生き物が出てきますが、一体誰のパンツなんでしょうか?読みながら誰のパンツか一緒に考えてみてください。
『えらいこっちゃのいちねんせい』 かさいまり 文 ゆーちみえこ 絵 アリス館
(池田和先生のレビュー)
一年生になったばかりのまきのくんは小学校の生活に慣れるのに一苦労。時間割を見ると勉強勉強の文字が。休み時間になったと思ったらすぐにチャイムが鳴り遊べなかったり、給食は時間内に食べられなかったり、自分の教室が分からなくなったりと、不安な気持ちになりながらも、帰り際に「一緒に帰ろう」と声を掛けてくれたお友達に出会い、まきのくんはこれから楽しい小学校生活が送れるのではないかと思います。少し心温まるお話になっていますので、ぜひ読んでみてください!
『うみへいったちいさなカニカニ』 クリス・ホートン 作 木坂涼 訳 BL出版
(鎌田千秋先生のレビュー)
今日は小さなカニカニと大きなカニカニが初めて海へ行く日。ところが張り切って出かけた2匹のカニカニでしたが、何度も波をかぶってしまってすっかり弱気に・・・。カニカニたちの大冒険はどんな世界が待っているのでしょうか?迫力ある海や波、色彩鮮やかな海の中の様子とは対照的にカニカニたちの姿がとても可愛らしく描かれている楽しい一冊です。是非お子さんとご覧ください。
『ホーホーはらへりフクロウさまだ!』
ショーン・テイラー 作 ジャン・ジュリアン 絵 BL出版
(佐々木雅代先生のレビュー)
「オレさまとうじょう」と、お約束のセリフで登場するのはホーホーはらへりフクロウさまだ!このフクロウ、自己紹介が好きなようで、綾小路きみまろ氏に引けを取らないくらいよく喋る。返信するのが超得意で今夜の晩飯の獲物を見つけると、変身して近づくのだ。今日も名人級の変身が冴えわたる!!だが、・・・・失敗。ところがこのフクロウ、失敗しても気にしない気にしない。そんな楽天家の憎めないキャラクターに惹きつけられる。さて、フクロウのお腹は満たされるのでしょうか?とくとご覧あれ・・・・
『One ワン』 キャサリン・オートシ 作 乙武洋匡 訳 講談社
(伊藤美希先生のレビュー)
このお話は「いじめ」を考えさせてくれるお話です。いじめる人をみんなの輪から追い出すのではなく、自分の気持ちを伝え、また仲間として一緒に仲良くするために必要な勇気を感じさせてくれる絵本です。自分の気持ちを伝えるための勇気、仲間に入れる勇気、仲間に入る勇気と、「1」つの勇気がみんなの勇気に繋がっていく心温まる絵本です。また絵の具の濃さで感情が表現されていたり、英語や漢字で名前と色を分けていたり、と絵も訳もとても細かい所までこだわられています。英語(カタカナ)や漢字が使われているので年長さんも良いと思いますし、そのように難しい所には文字に色が付いているので、年少さんわかばさんも楽しめるかと思います。ぜひ一度手に取って読んでみてください!!
『そりゃあもういいひだったよ』 荒井良二 作 小学館
(本間愛梨先生のレビュー)
日常の中の何気ないこと、あたり前に思うようなことにも嬉しさや幸せが隠れていたり、そのような日常に隠れている小さいことにも喜びを感じられる、物事を考える視点や見る視点が、ガラッと変わるような素敵な一冊です。皆さんも一日一日の中で少し暗い出来事があっても、何か一つ明るい出来事を探してみてください。きっとその一日が「そりゃあいいひだったよ」と思えることと思います。
『アーサー王のひひひひひまご』 ケネス・クレーゲル 作 津森優子 訳 瑞雲舎
(新保欣位先生のレビュー)
中世イギリスの最も有名な英雄の一人であるアーサー王のひひひひひまごの男の子(ヘンリー・アルフレッド・グレマソン)が主人公である物語。ヘンリーは6歳の誕生日の朝、怪物退治の冒険にでかけます。いろんな怪物が登場する中、ヘンリーは戦うことができるのでしょうか・・・?。物語の最後には忘れていた大切なものを思い出させてくれる、そんな心温まる一冊です。ぜひ読んでみてください。
『カベのすきま』 中西翆 文 澤野秋文 絵
(櫻澤弥佳先生のレビュー)
夜、一人でお留守番をしているぼく。壁から出ている糸みたいなものを引っ張ったら壁のすきまができちゃった。・・・すると、壁のすきまからなんと、○○が現れた!!おっかなびっくり、だけど最後は大笑い。壁のすきまから始まる予想外のユニークな展開にきっと笑ってしまうはず。ぜひ手に取って読んでみてくださいね!!
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さて、今回の先生方が選んだ絵本の紹介はいかがでしたか? 真人幼稚園の子ども達は本当に絵本が大好きです。元気いっぱい遊ぶときは遊び、思い切り体を動かす。一方で、集中して絵本を読んだり、何かを作ったり、友だちや先生の話に耳を傾けたり、そういったこともとても得意です。その静と動、集中と発散のバランスが子どもの成長にはとても重要なのだと思います。そのような意味においても、心と体を鍛えるために絵本はとても大切なツールです。そしてなにより、お気に入りの特別な一冊があるということは、子ども達にとって何物にも代えがたい宝物であり、生涯にわたりその子どもを支えてくれる(時に本当に勇気づけてくれる)、大切な財産になるはずです。ぜひこれらのレビューをご参考になさって、本屋さんに親子で足をお運び頂き、お子さんと自分だけのお気に入りの一冊を探してみてはいかがでしょう。書棚の片隅で絵本たちは皆さんに発見されるのを待っています。