皆様こんにちは!
今年度も真人幼稚園の先生方による絵本の紹介をおこなってまいります。これは年間二冊の絵本をそれぞれが書店などで選び、教職員同士で読み聞かせをしたり、それぞれ選んだ理由や見どころなどを発表し合う、園内研修の一環としておこなっている取り組みです。そこで紹介された作品をぜひ皆様のご家庭にもお勧めしたいという願いから、毎年1・2学期末にこのような形で発表させていただいております。
さあ、今回はどんな絵本が選ばれたのでしょうか? それぞれ作品を選んだ先生がブック・レビューを書いていますので、それらを参考になさって、この冬はぜひ親子で書店に足を運んでいただき、絵本に親しんでみてはいかがでしょうか。
なお、それぞれの作品は園の図書に収蔵され、さっそく貸し出しをおこなっています。
『オレ、カエルやめるや』
デヴ・ペティ 文 マイク・ボルト 絵 マイクロマガジン社
(松野祐実先生のブック・レビュー)
おたまじゃくしの後はカエル、カエルの次はまた違う生き物になれると思っているカエルの子。「オレさ、ネコになることにするや」という言葉に父はいつも決まって「おまえにはなれないよ」と一言。じゃあウサギは? ブタは? フクロウは? そんなヌルヌルで虫ばっかり食べているカエルではない生き物になりたいカエルの子と父の会話のやり取りが面白い一冊。ぜひ読んでみてください。
『しましまかしてください』
林なつこ 作 教育画劇
(鎌田千秋先生のブック・レビュー)
主人公のぞうは虫や動物たちに「そのしましまぼくにかしてくれませんか?」とたずねます。「いいけどちゃんとかえしてね」と言ってもらい、次々にしましまを借りていくことにしました。するとぞうの体には少しずつしましま模様が増えていきました。しかし「そろそろ返してほしいんだけど」と言われて戸惑ってしまいます。ぞうが動物たちにしましまを借りたかった本当の理由は何だったのでしょうか?全身しましま模様のぞうもちょっと素敵に見えてくる、ほのぼのとしたお話です。
『おじゃまなくまの おいだしかた』
エリック・パインダ― 作 ステファニー・グラエギン 絵 岩崎書店
(板垣里奈先生のブック・レビュー)
主人公のトーマスがクッションや毛布を集めてほら穴を作りました。何故だか小さい頃って“小さくて自分だけのヒミツのスペース”を作りたくなりますよね。☆その時、そのほら穴に迫りくる姿が・・・。クマです!あらゆる手を使い追い出そうとするのですが、あーあと一歩というところでクマが先にほら穴へ戻ってきてしまいます。ついつい読んでいるうちに負けるな!頑張れー!と応援したくなる一冊です。さて、そのクマの正体とはいかに! 是非お手に取って読んでみてください。
『たぬきがのったら へんしんでんしゃ』
田中友佳子 作・絵 徳間書店
(佐藤美樹先生のブック・レビュー)
時間を守って真面目に走ることがモットーの電車のまじめさんが、初めて「びっくりせん」を走ることになりました。最初の駅で乗り込んできたのは、たぬきの団体さん。大はしゃぎのたぬきたちに困り気味のまじめさんですが、さらにそこはおかしなことが起こることが当たり前のびっくりせん!! まじめさんもびっくりの大ピンチが次々と襲ってきますが、たぬきたちの「ぽんぽこぽーん!」の呪文に合わせてまじめさんが大変身!まじめさんとたぬきたちのピンチの切り抜け方にドキドキ・ワクワクして、ページをめくるのがとっても楽しい一冊です。
『おもちのかみさま』
かとうまふみ 作 佼成出版社
(石山弥佳先生のブック・レビュー)
“わたしはとくべつなおもちだ たべられるなんてまっぴらごめん”
ながいながい時間で身も心も固くなってしまったおもち。おもちは誰にも食べられまいと心に決め、旅に出ます。そして高い山にこもり、もっともっと固いもちになるために、修行を始めます。ある日、神様に言われた一言がきっかけで「おもちのかみさま」を目指すおもち。果たしてなれたのでしょうか・・・?ガンコなおもちの運命やいかに?
『にいちゃんのなみだスイッチ』
いとうみく 文 青山友美 絵 アリス館
(小林明日香先生のブック・レビュー)
「涙」といっても嬉し涙、悔し涙、悲しい涙など様々あります。物語に出てくるのはちょっぴり泣き虫なお兄ちゃんと泣き虫じゃないお兄ちゃんが欲しかった弟くん。ある日、弟くんが楽しみにしていた遠足に風邪を引いて行けなくなってしまいます。涙が出そうなくらい悲しい弟くん。そんな弟くんを見たお兄ちゃんの行動とは・・・?お兄ちゃんの行動で弟くんの気持ちにある変化が・・・!?兄弟愛あふれる一冊です。ぜひお手に取って読んでみてください。
『おじいちゃんとパン』
絵・文 たな パイインターナショナル
(池田和先生のブック・レビュー)
パン好きのおじいちゃんと、孫のお話です。甘いものが大好きなおじいちゃんは、食パンにイチゴジャムやマシュマロなどを塗ったり、乗せたりして食べます。甘いパンを食べるのを楽しみにしているちびすけの成長が、絵やちびすけの書く文字にも表現されているので、読んでいて楽しいと思います。途中、あれ・・・?と思ってしまいますが、心温まるお話です。また何と言っても描かれている甘いパンが美味しそうなので、楽しみながら読んで頂きたいと思います。
『ペンギンホテル』
牛窪良太 作 アリス館
(猪俣愛先生のブック・レビュー)
広い海のどこか遠くにあるペンギンホテル。このホテルの魅力は3つ。「海からのアクセス抜群」、「すべてのお部屋はオーシャンビュー」、「夜のディナーとショー」です。そんなペンギンホテルは今日も新しいお客様がやって来ます。おや?7号室のお部屋が地上には見当たりませんよ?6号室はこの時期に毎年予約をしているようですが誰でしょう?ペンギンたちの働く姿は可愛らしく、ほっこりする、そんな絵本です。是非お手にとってご覧ください。
『やきざかなの のろい』
塚本やすし・作 ポプラ社
(佐々木雅代先生のブック・レビュー)
最初に申しあげておきますが、“何?この怖い題名”と思われた皆様・・・安心してください。ホラー、オカルト感、全くゼロ~の絵本です。
焼き魚の嫌いなぼく。焼き魚は食べてほしくて、しつこくぼくに付きまといます。(ストーカー行為?)お話はテンポ良く進んでいきますし、題名とは違う可愛い絵がとても読みやすいです。ぼくは焼き魚が食べられるようになるのでしょうか?それは読んでのお楽しみ。
『まほうのでんしレンジ』
さいとうしのぶ 作・絵 ひかりのくに
(青木涼香先生のブック・レビュー)
お父さんと男の子が家にいると、荷物が届きました。中身は電子レンジ。しかし!普通の電子レンジではありません。空のお皿をレンジに入れて、ある呪文を唱えると食べたい料理が出来上がるのです!! たくさん作って何のパーティーかというと・・・??読んだ後も会話を楽しめる一冊になっております。ぜひ読んでみてください!!
『ぼく、仮面ライダーになる! ビルド編』
作・のぶみ 講談社
(井関麻衣先生のブック・レビュー)
誕生日に仮面ライダーになりたい!というかんたろうくんの願いを叶えるために試行錯誤するママ。決してあきらめない姿を見ていたかんたろうくんは、いじめっこのゴンちゃんに会っても勇気を出して立ち向かいます。果たしてかんたろうくんはゴンちゃんに勝つことができるのでしょうか? ママとかんたろうくんのコミカルなやり取りは面白く、またママの気持ちにどこか親近感がわいてくる絵本です。
『ピカピカヒーロー せっけんくん』
作・うえたに夫婦 PHP研究所
(井関麻衣先生のブック・レビュー)
手のひらをじーっと見てみると、手のひらには町があって“よごれ団”が遊んでいるかも・・・。そんな町を救うヒーローが「せっけんくん」。そのせっけんくんがどうやってよごれ団に立ち向かっていくのか、時おり豆知識も紹介しながら面白楽しく描かれています。これから風邪もひきやすい時期、お子さんの手洗いへの興味・関心がわくきっかけになる一冊です。
『こんもりくん』
山西ゲンイチ 作・絵 偕成社
(本間里穂先生のブック・レビュー)
生まれてから一度も髪の毛を切ったことがない「こんもりくん」の髪型とは・・・!?表紙からインパクト大です!
ある日、ひょんなことから自分のこんもりとした髪の毛の中へと入りこんでしまいます。そこには一体どんな世界が待っているのでしょうか?子どもたちが好きそうな言葉やシーンがたくさんあり、大人でもクスッと笑える楽しい一冊です。内容も分かりやすく、最後はスッキリします。どうぞ皆様も髪の毛の中の世界へ!
『くいしんぼうのクジラ』
谷口智則 作 あかね書房
(園長のブック・レビュー)
おいらはクジラ。「いただきます」が大好きで、「ごちそうさま」が大嫌い。海の魚を食べつくし、川の魚も食べつくす。そうして魚だけでは飽き足らず、畑の野菜も食べつくし、町中の食べ物という食べ物を食べつくす。とにかくごちそうさまを言わずに食べて食べて食べまくる、食いしん坊のクジラくん。果たしてクジラくんの運命やいかに?
食べても食べても決して満足することなくひたすら食べ続けるクジラくんの姿が、飽食の時代を生きる私たち現代人の姿に重なって、絵本を読み終えた後も様々な事柄について考えさせられました。しかしそのような私の個人的な感想を抜きにしても、この物語にはある種の勢い(読む者をぐいぐい引き込んでいく圧倒的なチカラのようなもの)があり、とても心惹きつけられます。何がそんなに私の心を惹きつけるのでしょう? おそらくは何でもかんでも呑み込んでしまう欲張りで滑稽で可笑しくて、でもどこか憎めないこのクジラくんが、私はたぶん好きなのだと思います。皆様はこのクジラくんが好きですか? 嫌いですか? 機会があればぜひ一度お手に取ってお読みください。
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さて、今回の先生方が選んだ絵本の紹介はいかがでしたか?
しんじんようちえんの子ども達は本当に絵本が大好きです。元気いっぱい遊ぶときは遊び、思い切り体を動かす。一方で、集中して絵本を読んだり、何かを作ったり、友だちや先生の話に耳を傾けたり、そういったこともとても得意です。その静と動、集中と発散のバランスが子どもの成長にはとても重要なのだと思います。そのような意味においても、心と体を鍛えるために絵本はとても大切なツールです。そしてなにより、お気に入りの特別な一冊があるということは、子ども達にとって何物にも代えがたい宝物であり、生涯にわたりその子どもを支えてくれる(時に本当に勇気づけてくれる)大切な財産になるはずです。ぜひこれらのレビューを参考にして頂きながら、本屋さんに親子で足を運んで頂き、お子さんと自分だけのお気に入りの一冊を見つけてみてはいかがでしょう。書棚の片隅で絵本たちは皆さんに発見されるのを待っています。
それでは皆様、良い年をお迎えください!