【真人幼稚園の先生が選ぶ絵本・夏の絵本】
皆さんいかがお過ごしですか? 謹んで残暑お見舞い申し上げます!
さて、今年度も担任11名と教務主任・鎌田、園長、の13名で年間2冊ずつ、まだ園の図書に収められていない絵本や図鑑、詩集など、知られざる名作、珍作、快作(怪作?)を新たにリサーチ、発見・発掘!購入して、子どもたちに読み聞かせたり、保護者の皆様にもご紹介していこうという試みを実施してまいります。
それぞれ休日などを利用して本屋などへ足を運び、思い思いの一冊を選んで買ってくると、まずは職員朝会の時間などを使って職員同士で紹介し合い、実際に読み聞かせをし合います。短い時間ながら、これが誠に有意義な朝のひと時であり、一日のスタートラインであり、実のある大切な研修にもなっていて、元気に登園してくる子どもたちを清々しい心持ちで迎えることができます。この7月には今年度第一回目ということで、すでにそれぞれが絵本を選び互いに紹介しあって、園内では子どもたちにもこれらの本の読み聞かせをいたしました。
さあ、この夏はどんな楽しい本が選ばれたのでしょう? ここで選者である各教諭のブックレビューを添えて皆様にもご紹介したいと思います。どうぞ絵本選びのご参考になさってください。園の図書コーナーに「先生たちが選んだ今月の絵本コーナー」を設け、そちらに実物を展示しますので、興味のある方はぜひ手に取ってご覧になってみてください。
『あかにんじゃ』 種村弘 作・木内達朗 絵 岩崎書店
(長谷川繭子先生のレビュー)
あかにんじゃは、まっかなにんじゃ。秘密の巻物をねらってお城に忍び込みましたが、まっかな姿が目立ってしまいます。呪文をとなえて変身しますが、やっぱり見つかるあかにんじゃ。次は何に変身するのかな?もしかしたらあなたの近くにもあかにんじゃが忍び込んでいるかもしれません・・・。
そんなお話です。
『ぼくのトイレ』 鈴木のりたけ 作・絵 PHP研究所
(岡部望美先生のレビュー)
この絵本はいつも見慣れたトイレに飽きてしまった主人公が楽しいトイレを想像して展開していくお話です。カプセルトイレやみつばちトイレ、空飛ぶトイレなど・・・、とってもユニークなトイレが登場します。それだけでも面白いのですが、よ~く見てみると、ジブリの名作『魔女の宅急便』に出てくるキキがさりげなく隠れていたりと、「次は何が隠れているのかな?」となんだかワクワクしてきます。トイレに一人で行くことに不安を感じている子にも、トイレは怖い所じゃないと思うきっかけになってくれたらとこの絵本を選びました。是非読んでみてください。
『てのひら』 瀧村有子 作 PHP研究所
(堀川紗楽先生のレビュー)
ゆみちゃんは幼稚園に通う女の子。でも幼稚園に行きたくありません。恥ずかしくて先生におはようございますが言えません。そんなゆみちゃんが元気に幼稚園に行けるようになるためにはどうしたらいいのか・・・、お母さんは考えて考えて、ゆみちゃんのてのひらにおまじないをかけます。そのおまじないとは・・・?
この絵本を読んだとき、4月泣きながら幼稚園に来た子どもたちを思い出しました。ほんの些細なきっかけでも子どもたちにとっては大きな支えや力になるんだなと感じた一冊です。ぜひご覧になって下さい。
『むしばいっかのおひっこし』 にしもとやすひこ 作 講談社
(原亜里沙先生のレビュー)
歯磨きをしない口の中。いったいどうなっていると思いますか? 虫歯一家がざっくり穴を掘っているかも・・・。そんな虫歯一家の秘密を覗くことができます!! ユニークな表情にも注目です。
『りんごちゃんとビートルカード』
中川ひろたか 文・酒井絹恵 絵 偕成社
(佐藤美樹先生のレビュー)
りんごちゃんはお散歩の途中で4ひきのかぶとむしを助けました。お礼にりんごちゃんがもらったのはビートルカード。困ったときに役に立つというこのカードをもらってから、りんごちゃんの周りでは不思議でびっくりするような困った事件が次々と起こります。
りんごちゃんが巻き込まれる奇想天外な事件をリズミカルでユーモア溢れる文章が盛り上げる楽しい一冊です。
『ねこのおすしやさん』 鈴木まもる 作 偕成社
(吉田ひろ子先生のレビュー)
おすしは子どもたちにとっても身近なごちそうですが、それはお魚大好きなねこたちにとっても同じ。この絵本はおすしが大好きなねこたちが「江戸前ずし」のお兄さんとの出会いを通し、すし職人になっていくというストーリーです。ねこたちが人間のようにふるまう姿にとてもユーモアを感じますし、おすしを食べるシーンからどんどん広がっていく展開に次は何が起こるかな?? とわくわくした気持ちにさせてくれる一冊です。
『バムとケロのもりのこや』 島田ゆか 作 ぶんけい社
(立川紗織先生のレビュー)
子どもたちに大人気のバム・ケロシリーズ。今回のお話では古い小屋がみんなの力でひみつの場所に大変身!とってもかわいくて個性的なキャラクターがいたるところに登場し、あたたかい雰囲気の中、お話は進んでいきます。ケロちゃんの仕草や細かい絵にも注目してみてください!とっても素敵な発見がたくさん隠れていますよ!ぜひ手に取ってみてください。
『ぼくのトイレ』 鈴木のりたけ 作・絵 PHP研究所
(渡邉亜希子先生のレビュー)
数えきれないくらいの様々なトイレが出てきて、どのトイレも斬新でお話も斬新!!トイレがより好きになり、盛り上がること間違いなし!!
『へんてこ へんてこ』 長新太 作 佼成出版社
(高橋沙季先生のレビュー)
ある所に、へんてこな橋がありました。この橋を渡ると体がニュ~っと伸びてしまいます。「ネコ」が「ネ―コー」になります。「ヘビ」が「ヘービー」になります。他には誰が渡ってしまったのでしょうか・・・?
へんてこなことが大好きな子どもたち!素朴でちょっとへんてこな長新太さんの絵本が私は大好きです。
『よろしく ともだち』 内田麟太郎 作・降矢なな 絵 偕成社
(三冨奈津美先生のレビュー)
キツネくんとオオカミさんの最新刊です。コダヌキは、見かけだけでオオカミのことをこわがり、なかなか一緒に遊ぶことができません。そんなコダヌキのことが気になるオオカミ。なんで自分のことをそんなにこわがるのかオオカミは悩み考えます。オオカミのストレートな気持ちの伝え方で、ついに最後は・・・。続きが気になる方はぜひ手にとってご覧になってください。
『なつのおとずれ』 かがくいひろし 作・絵 PHP研究所
(佐々木雅代先生のレビュー)
またまたかがくいひろしさんの絵本の登場です。
表紙には夏の代表選手たちがまばたきもせずに、じーっとこちらを見つめながら出番待ちをしている可愛らしい姿が描かれており、どうしても手に取らずにはいられなかったのです。梅雨明けまでのドラマが空の世界ではこんな風に繰り広げられているのかぁと、思わず空を見上げたくなるようなお話です。スピード感があり、こちらも一緒に走っている気分になりますし、「がんばって!」と応援したくなる可愛い夏のメンバーたち。夏の足音が今にも聞こえてきそうな、まさに今、この時期にピッタリの一冊です。どうぞご覧になってみて下さい。
『おへそのあな』 長谷川義史 作・絵 BL出版
(鎌田千秋先生のレビュー)
もうすぐ生まれてくる「赤ちゃん」。お母さんのおへそのあなから見える世界はどうなっているのでしょう。ページをめくる度に「赤ちゃん」の誕生を心待ちにしている様子がほのぼのと描かれています。もうすぐ会えるね、早く会いたいねという家族みんなの優しい思いがたくさんあふれているような素敵な一冊です。
『新幹線のたび はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断』
コマヤスカン・作 講談社
(園長のレビュー)
いま、新幹線が青森から鹿児島まで一本の線路で繋がったことをどれくらいの人が知っているだろう? 子どもの頃の私にはそんな日がいつか訪れるだろうことを知る由もなかった。子どもの頃は新幹線といえば東海道新幹線と上越新幹線であったのだ。それが今では全国の主要な都市と都市が様々な新幹線で繋がろうとしている。私たちはごく当たり前に思っているが、このような世界最高水準の超高速輸送システムで国土の大部分を行き来できるような国は、世界中を探しても日本だけである。これはじつは凄いことなのである。けっして当たり前のことではないのである。私たちは感謝しなければならないのである。
さて、それはそうと、この絵本は青森から新幹線に乗って鹿児島まで出かける親子の話である。鳥のように空から俯瞰するようにして、読み手である私たちもまた新幹線と共に旅をする。こんな絵本が今まであっただろうか? なるほど、日本という国は上空から見るとこんな風になっているのだなぁ~と、これまで私の頭の中にはなかった新たな視点も与えられ、夢中になって何度も読み返した。大人も子どもも楽しめる一冊である。
まだ夜も明けきらないホームに姿をあらわした新幹線「はやぶさ」。さあ、はるかとお父さんの旅がはじまります。
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