春一番のあたたかい風が吹いたある朝、ウサギのぴょん子さんはひとりで家を出て、西に向かって歩き始めました。
ぴょん子さんが歩いていくと、かわらの公園でぞうのぞうじろうくんとくまのくまごろうくんに会いました。
「やあ、ぴょんこさん、いい天気だね」くまごろうくんが言いました。
「そうねとってもいい天気。ところでふたりとも、こんなところで何しているの?」
ぴょん子さんが言いました。
「あんまり天気がいいから、川をながめながらひなたぼっこしていたんです」
ぞうじろうくんが言いました。
「それならわたしといっしょにいかない?」
「えーっ!どこへー?」ふたりは声をそろえて言いました。
「海よ」ぴょん子さんはこともなげに言いました。
「うみ?」と、ぞうじろうくん。
「うみ!」と、くまごろうくん。
「いいね」
「うん、いいね」
「さ、はやくいくわよ!」
そうして三人は海に向かってすたすたと歩き始めました。
三人が海に向かってすたすた歩いていると、ライオンのライアンくんが自転車に乗ってむこうからやって来ました。
「やあ、みんなおそろいでどこへいくんだい?」ライアンくんは言いました。
「おれたち、これから海へいくんだ」くまごろうくんが言いました。
「へえ~、それは楽しそうだね」
「あなたもいっしょに行かない?」ぴょん子さんが言いました。
「みんなで行きましょう」ぞうじろうくんが言いました。
「よーし、それなら出発だ!」ライアンくんはにっこり笑って言いました。
「ところで、海はどうやって行けばいいんだろう?」くまごろうくんが言いました。
「そうですね、考えてもみなかったですね」ぞうじろうくんは言いました。
「おひさまのしずむほうに歩いて行けばいいのよ」ぴょん子さんが言いました。
「この川にそって歩いていけば、そのうち海にでるよ」ライアンくんが言いました。
「なーるほど」ふたりは大きくうなずきました。
そうして四人は川ぞいの道を海に向かっててくてくと歩いていきました。
四人が川ぞいの道を海に向かっててくてくと歩いていると、ねずみのちゅーたくんとさるのもんきちくんが川のほとりにならんですわり、魚つりをしていました。
「おーい、みんなどこへいくんだーい!」ちゅーたくんがさけびました。
「海へいくところだよー」四人は声をそろえて言いました。
「へーっ、それは楽しそうだね」ふたりは顔をみあわせて言いました。
「あなたたちもいっしょに海へ行きましょうよ!」ぴょん子さんが言いました。
「うん、いいアイディアだね。今日は魚がちっともつれなくて、たいくつしていたところだったんだ」もんきちくんが言いました。
「それならさっそくでかけよう」くまごろうくんは言いました。
「これで全員そろったね」ぞうじろうくんは言いました。
「魚つりなら海でもできるしね」ライアンくんがクールに言いました。
そうして六人は川ぞいの道を海へ向かってタッタカタッタカ歩いていきました。
しばらく歩いていくと、川に大きな橋がかかっていました。
またしばらくいくと、小さなヨットがとめてありました。
もう少しいくと、どこからかカモメのむれが飛んできて、六人の頭の上でぐるぐるとまわりながらさかんに鳴きました。
どれくらい歩いたでしょうか。はじめはおしゃべりをしたり、みんなで歌をうたったりしながら楽しく歩いていた六人ですが、いつまでたってもなかなか海にたどりつかないので、だんだんと言葉もすくなくなり、さいごにはだれもがだまってもくもくと歩いていました。
やがて、だれかがつぶやきました。
「海のにおいがする」
みんな鼻をくんくんと鳴らして、においをかいでみました。
「ほんとだ!海のにおいがするね」
「さあ、みんないくわよ!」そう言って、ぴょん子さんがとつぜん走りだしました。
それにつられて、五人も走りだしました。
海だ!
とうとう、すてきなおんがくたいの六人は海につきました。はるのうみは、ぽかぽかあたたかく、波もおだやかで、とてもしずかでした。六人は浜辺にならんですわり、さっそく海をながめることにしました。
それからどれくらいの時がたったでしょう。だれかがふと思いついたように言いました。「せっかく海に来たんだから、ここで演奏会をしようよ」
「うん、いいね」べつのだれかが言いました。
「春の海にきかせてあげましょう!」ぴょん子さんは言いました。
「そうだ!そうしよう!」みんなは声をそろえて言いました。
「でもぼくたち、だれも楽器を持ってきてないよ」
「そうだね、魚つりのさおしか持ってない」
もんきちくんとちゅーたくんが言いました。
「歌なら楽器がなくてもうたえるけれどね」
ライアンくんが言いました。
「だいじょうぶ、楽器ならこの砂浜でさがせばいい」
くまごろうくんが言いました。
「ん?」
みんなはびっくりしてくまごろうくんを見ました。
「そうよ!かいがらやりゅうぼくで楽器を作ればいいのよ!」
ぴょん子さんはそう言うと、足もとに落ちていたかいがらをひろって重ね、カリカリッとこすり合わせてみました。みんなはじっと耳をすませてみます。
(かりっかりっかりっかりっ、こりっこりっこりっこりっ)
それはまだだれも聞いたことがないような、すてきな音でした。
「いい音だねー」
それから六人は浜辺を歩きまわり、落ちていたかいがらやりゅうぼくをひろい集め、どんな音が出るかじゅんばんにためしてみました。
さて、どんな楽器ができあがったかというと、
「ぼくはかいがらのカスタネット!」と、ちゅーたくん。
「ぼくはりゅうぼくの木琴!」と、もんきちくん。
「わたしはかいがらの笛よ!」と、ぴょん子さん。
「ぼくもかいがらでギロ!」と、ライアンくん。
「おいらはりゅうぼくのウッドブロック!」と、くまごろうくん。
「わたしはちょっと大きいけど、りゅうぼくのクラベス!」と、ぞうじろうくん。
そうして、みんなは波の音を聞きながらそれぞれの楽器を奏で、歌をうたい、海辺の演奏会を開くことにしましたとさ。
ぴょん子さんが歩いていくと、かわらの公園でぞうのぞうじろうくんとくまのくまごろうくんに会いました。
「やあ、ぴょんこさん、いい天気だね」くまごろうくんが言いました。
「そうねとってもいい天気。ところでふたりとも、こんなところで何しているの?」
ぴょん子さんが言いました。
「あんまり天気がいいから、川をながめながらひなたぼっこしていたんです」
ぞうじろうくんが言いました。
「それならわたしといっしょにいかない?」
「えーっ!どこへー?」ふたりは声をそろえて言いました。
「海よ」ぴょん子さんはこともなげに言いました。
「うみ?」と、ぞうじろうくん。
「うみ!」と、くまごろうくん。
「いいね」
「うん、いいね」
「さ、はやくいくわよ!」
そうして三人は海に向かってすたすたと歩き始めました。
三人が海に向かってすたすた歩いていると、ライオンのライアンくんが自転車に乗ってむこうからやって来ました。
「やあ、みんなおそろいでどこへいくんだい?」ライアンくんは言いました。
「おれたち、これから海へいくんだ」くまごろうくんが言いました。
「へえ~、それは楽しそうだね」
「あなたもいっしょに行かない?」ぴょん子さんが言いました。
「みんなで行きましょう」ぞうじろうくんが言いました。
「よーし、それなら出発だ!」ライアンくんはにっこり笑って言いました。
「ところで、海はどうやって行けばいいんだろう?」くまごろうくんが言いました。
「そうですね、考えてもみなかったですね」ぞうじろうくんは言いました。
「おひさまのしずむほうに歩いて行けばいいのよ」ぴょん子さんが言いました。
「この川にそって歩いていけば、そのうち海にでるよ」ライアンくんが言いました。
「なーるほど」ふたりは大きくうなずきました。
そうして四人は川ぞいの道を海に向かっててくてくと歩いていきました。
四人が川ぞいの道を海に向かっててくてくと歩いていると、ねずみのちゅーたくんとさるのもんきちくんが川のほとりにならんですわり、魚つりをしていました。
「おーい、みんなどこへいくんだーい!」ちゅーたくんがさけびました。
「海へいくところだよー」四人は声をそろえて言いました。
「へーっ、それは楽しそうだね」ふたりは顔をみあわせて言いました。
「あなたたちもいっしょに海へ行きましょうよ!」ぴょん子さんが言いました。
「うん、いいアイディアだね。今日は魚がちっともつれなくて、たいくつしていたところだったんだ」もんきちくんが言いました。
「それならさっそくでかけよう」くまごろうくんは言いました。
「これで全員そろったね」ぞうじろうくんは言いました。
「魚つりなら海でもできるしね」ライアンくんがクールに言いました。
そうして六人は川ぞいの道を海へ向かってタッタカタッタカ歩いていきました。
しばらく歩いていくと、川に大きな橋がかかっていました。
またしばらくいくと、小さなヨットがとめてありました。
もう少しいくと、どこからかカモメのむれが飛んできて、六人の頭の上でぐるぐるとまわりながらさかんに鳴きました。
どれくらい歩いたでしょうか。はじめはおしゃべりをしたり、みんなで歌をうたったりしながら楽しく歩いていた六人ですが、いつまでたってもなかなか海にたどりつかないので、だんだんと言葉もすくなくなり、さいごにはだれもがだまってもくもくと歩いていました。
やがて、だれかがつぶやきました。
「海のにおいがする」
みんな鼻をくんくんと鳴らして、においをかいでみました。
「ほんとだ!海のにおいがするね」
「さあ、みんないくわよ!」そう言って、ぴょん子さんがとつぜん走りだしました。
それにつられて、五人も走りだしました。
海だ!
とうとう、すてきなおんがくたいの六人は海につきました。はるのうみは、ぽかぽかあたたかく、波もおだやかで、とてもしずかでした。六人は浜辺にならんですわり、さっそく海をながめることにしました。
それからどれくらいの時がたったでしょう。だれかがふと思いついたように言いました。「せっかく海に来たんだから、ここで演奏会をしようよ」
「うん、いいね」べつのだれかが言いました。
「春の海にきかせてあげましょう!」ぴょん子さんは言いました。
「そうだ!そうしよう!」みんなは声をそろえて言いました。
「でもぼくたち、だれも楽器を持ってきてないよ」
「そうだね、魚つりのさおしか持ってない」
もんきちくんとちゅーたくんが言いました。
「歌なら楽器がなくてもうたえるけれどね」
ライアンくんが言いました。
「だいじょうぶ、楽器ならこの砂浜でさがせばいい」
くまごろうくんが言いました。
「ん?」
みんなはびっくりしてくまごろうくんを見ました。
「そうよ!かいがらやりゅうぼくで楽器を作ればいいのよ!」
ぴょん子さんはそう言うと、足もとに落ちていたかいがらをひろって重ね、カリカリッとこすり合わせてみました。みんなはじっと耳をすませてみます。
(かりっかりっかりっかりっ、こりっこりっこりっこりっ)
それはまだだれも聞いたことがないような、すてきな音でした。
「いい音だねー」
それから六人は浜辺を歩きまわり、落ちていたかいがらやりゅうぼくをひろい集め、どんな音が出るかじゅんばんにためしてみました。
さて、どんな楽器ができあがったかというと、
「ぼくはかいがらのカスタネット!」と、ちゅーたくん。
「ぼくはりゅうぼくの木琴!」と、もんきちくん。
「わたしはかいがらの笛よ!」と、ぴょん子さん。
「ぼくもかいがらでギロ!」と、ライアンくん。
「おいらはりゅうぼくのウッドブロック!」と、くまごろうくん。
「わたしはちょっと大きいけど、りゅうぼくのクラベス!」と、ぞうじろうくん。
そうして、みんなは波の音を聞きながらそれぞれの楽器を奏で、歌をうたい、海辺の演奏会を開くことにしましたとさ。