クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

朴竜文庫 51(骨を彩る)

2018年01月31日 | 朴竜文庫
彩瀬まるさんの作品を初めて読みました。

この「骨を彩る」は2013年に幻冬舎から出版され2017年2月に文庫化されたもので、当時、本の帯に小泉今日子が大絶賛していたので手に取ってみたのですが、他の小説を読んでいくうちに、この作品を買ったことすら忘れていました。

今週月曜の出勤前に何か読み残したものはないかと本棚を漁っていたらこの「骨を彩る」を思い出したのです。

さて、ここには5編が収められているのですが、どれも素晴らしい(言葉の紡ぎ方や文章が切ないくらい美しい)ものばかり。

気になってググってみると多くの読者の方達が2017年読んだ小説のベストスリーに入ると書評していました。

5編の作品の主人公のいずれも心に「ない」ものを抱えていてもがき苦しんでいます。

「喪失感」に一歩が踏み出せないのです。

例えば「指のたより」で主人公は10年前に29歳の妻を亡くしているのですが、夢に出てくる妻と何か語ろうとするのですが、夢で見るたびに手の指が一本ずつ減っているのです。

遺された主人公は罪悪感から新しい出会いに一歩踏み出せないでいたり・・・

どの作品もどの主人公もひりひりとした「欠けたもの」を抱えて生きていて、それを埋めようとして、新たな人とのかかわりの中から気づきを得ています。

僕らもそんなことたくさんありますよね。

今「マウス」の村田沙耶香さんに嵌っていますので、一通り読んでみたら、次はゆっくりと彩瀬まるさんの作品に触れて行きたいと思います。