老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

バンソウコウの呼び方 

2020年08月01日 19時21分05秒 | その他
先日自宅で昼寝がてらまどろみながらつけていたTVで、どこの家庭にも必ずといっても良いくらいに備えられていて、切り傷やすり傷などをしたときに、傷口に雑菌が入るのを防ぐために用いる「絆創膏(ばんそうこう)」の呼び方が全国各地で異なることを知りました。

余りにも身近なありふれたものだけに、不思議に思い調べて見ました。


◆バンソウコウの歴史
WIKIPEDIAと島津製作所 「ココにも科学」などに拠ると、バンソウコウの大まかな歴史は下記の様です。

・18世紀以前は硬膏で、たとえばダイアキロン硬膏などは棒状で売られている膏体を熱して軟らかくし布や皮に塗布して使っていたが、均一に塗りにくく、膏体にひび割れが入るなど不便であった。

・18世紀後半にはドイツで松脂と蜜蝋などを加え柔軟性と粘着性が改良された「松脂硬膏」が開発され、
19世紀半ばになりゴム工業が盛んになると、これらのゴム技術を用い樹脂と蜜蝋に天然ゴムが加えられるようになった。

・救急絆創膏は、1921年にアメリカ合衆国ニュージャージー州のアール・E・ディクソン(後のジョンソン・エンド・ジョンソン社の副社長)が考案した「バンドエイド」が最初であり、その後さらに改良を重ね、今日まで色々な種類の絆創膏が開発されるようになっている。

・日本では1948年に、初めてニチバン(当時は日絆工業㈱といい、1944に企業整備により全国25の絆創膏製造業者が統合された会社です)がニチバンQQ絆創膏という商品名で、救急絆創膏を発売したようです。

・そして、日本においては、
1959年 ジョンソン・アンド・ジョンソン社からバンドエイドが国内発売
1960年 リバテープ社が国産初の救急絆創膏を開発し「リバテープ」の名称で発売しました。
1961年 「カットバン」販売
1963年 「サビオ」が発売


◆さて、問題のこのバンソウコウの各地での呼び方については、
・阿蘇製薬のホームページに判り易い県ごとの代表的な呼び方が図示されていますので、引用させて頂きます。


・それぞれの呼び方については、一般名称の「ばんそうこう」以外すべて固有の商品名で、それぞれの簡単な注釈は、同社のホームページに拠ると

バンドエイド: ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社の商標です。全国で大々的にテレビコマーシャルを展開していることもあり、絆創膏のことを「バンドエイド」と呼ぶ人は、全国に広く分布しています。特に都市部での認知度が高いのが特徴です。

サビオ:  元々はスウェーデンのセデロース社の絆創膏ブランドです。
セデロース社は、1963年にニチバン(株)を通して日本市場に進出。その後、サビオブランドは、ライオン歯磨株式会社【現:ライオン㈱】に譲渡され、全国で販売されました(製造会社は阿蘇製薬㈱)。
2002年にサビオブランドの絆創膏は販売が終了となりましたが、北海道、和歌山、広島など 一部のエリアでは、いまだに絆創膏のことをサビオと呼ばれる方もいらっしゃるようです

カットバン: 佐賀県に本社のある祐徳薬品工業株式会社の商標です。1961年から発売されている老舗ブランドで、東北地方や中国・四国地方で、よく認知されているようです。

リバテープ: 熊本県に本社のあるリバテープ製薬株式会社の商標で、発売開始は1960年という老舗ブランドです。名称の由来は、消毒薬「アクリノール」を、当時製薬大手の三共【現:第一三共㈱】が、「リバノール」の商標名で販売しており、その「リバノール」を付けたテープというところから生まれたようです。

キズバン: 富山県だけでキズバンと呼ばれているかについては、色々と調べてみましたが、明確な理由は分かりません。「ライトキズバン」という商品が販売されているのですが、富山県との直接の関係はなく、これが由来なのかを裏付けるものはありません。また、その他にも「キズに貼るばんそうこう」を略したものからきているのかなど、諸説あり、本当の理由は明らかになっていません。


 要するに、バンソウコウの便利さは衆目が一致するところで、商品名の一般名称化が進んだものの、各商品の発売年が近く、本社所在地を中心に薬局の店頭を巡って熾烈な拡販競争が繰り広げられていたため、そのとき店頭で優勢だった商品名が浸透し、その県で一番メジャーな絆創膏の銘柄が、方言のように呼び名として定着したようです。
 隣り合う県でも呼び名が違うのは、製造元の所在地や、商品の流通ルート関係(問屋の影響力)などが考えられます。(まさ)